FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価は大幅下落:米国市場の暴落に連れて大幅3日続落

新型コロナウイルスがバンデミック(世界的な大流行)となり、金融市場を大きく揺らしている。前日の米国株市場が暴落し、東京市場も朝方から全面安商状となった。下げ幅は一時1800円を超え、取引時間中として約3年4ヵ月ぶりの安値を付けた。短期的に下げ過ぎとみた投資家が新型コロナウイルスの感染拡大による業績への悪影響が比較的小さいと市場で期待さている銘柄を中心に打診的な買いが入った。また、日銀が午後に通知した国債の買い入れオペや資金供給オペも『ひとまず市場に一定の安心感を与えた』との声も出ていた。午後に、株式市場の買い戻しと、為替市場の買い戻しはカナダの医薬品会社が新型コロナウィルスの治療薬をみつけ、週末に人体テストを行うという噂が流れている。ただし、ワクチンができるのは早くても11月になるとの話も出ている。 結局、前営業日比1128円安の1万7431円と大幅3日続落した。

 

東京外国為替市場:アジア市場でもドル/円は荒い値動き

ドル/円は、本邦輸入企業のドル買い・円売りや低下していた米長期金利が持ち直したことに支えられ、105.20円付近へじり高となった。午後もこの流れは続き、日経平均株価の下げ幅縮小やNYダウ先物の上昇を眺めてさらにドル買い・円売りが進み、一時106.01円付近まで急伸した。日銀が予想以外の買い入れオペ2000億円を通知したことも、リスク回避姿勢を和らげて円売りに拍車をかけた。ただ、前日の海外市場でつけた106.10円が上値の目処として意識されると上げは一服、利食い売りなどに105円台半ばへ押し戻される荒い値動きとなった。ユーロ/ドルは、米長期金利の上昇がドル買いを誘い、1.1200ドル付近まで下落した。

 

株式市場弱気相場入りで景気後退のシグナルに

新型コロナウイルス感染拡大がアジアから欧米に広がり世界経済悪化への懸念が強まり世界32ヶ国の株式相場が高値から下落率が2割を超え『弱気相場』入りの様相を呈している。財政など政策が株価を支えるとの期待も揺らぎ過去には株価『弱気相場』入りの後に景気後退(リセッション)に陥るケースが多く、株安を加速させている。

 

NY金の持高が高水準にあり手仕舞い売りに注意

3月7日に一時1704.3ドルと2012年12月以来約7年3カ月ぶりの高値を付けたものの、その後失速した。新型コロナウイルスによる肺炎が世界的にまん延し、景気を冷やすとの警戒感が根強いため、金相場は目先『強気』な予想が多く聞かれるものの、あらゆる資産のキャッシュ化が加速すれば今後は金にも売りが広がりやすい。『危機時は手元にドル・キャッシュを厚めに確保する動きが出る。キャッシュを確保していれば、決済困難に陥る事態を回避できる』との見方もある。商品先物取引委員会(CFTC)が6日発表した3日時点の建玉報告によると、COMEXで投機筋(非商業部門)による金先物の買い持ち高は2週続けて縮小した。前週比1万6132枚減少の31万9733枚だった。とはいえ、過去最高の35万3649枚(2月18日時点)には及ばないものの、金の買い持ち高は高水準にある。持ち高が偏ると反動のエネルギーはたまる。想定外のポジションの巻き戻しには注意が必要となる。

 

米国債ETF(GOVT)から大量の資金流出

12日の米国市場で1~30年物の米国債を投資対象とするiシェアーズ米国債ETFから大規模な資金が流出した。7億4641万ドルの資金流出となり、2019年6月20日に記録した同ETFとして過去最大の流出額(4億3556万ドル)を上回り、過去最大の流出額を更新した。この日の米国市場でGOVTは0.10%安で小幅に3日続落した。米株安が続く中で債券ETFは買われる展開だったが、9日に設定来高値(28.54ドル)まで上昇して以降は利食いが優勢となっている。リスク回避のムードが強い中、この日の米国市場ではNY金先物も下げてキャッシュ化とみられる動きが出ている。

 

ECBの金融政策手段も底が見えてきた感が

欧州中央銀行(ECB)は定例理事会で市場の予想通り政策金利据え置きを決定した。また、『インフレ見通しが目標に強く収束するまで、金利は現行またはそれ以下となる』『資産購入は必要である限り継続、利上げ直前まで続く』とのフォワードガイダンスも据え置いた。ECBはすでにマイナス金利を導入しており、利下げによる効力はほとんどないと見られている。同時に、緩和措置として2020年末まで、資産購入総額で1200憶ユーロ増額するとしたほか、貸出条件付き長期資金供給オペ(レーション(TLTROの第3弾を供給すると発表した。これからもQEプログラムのあらゆる柔軟性を活用していく方針を示した。ECBは同時に2020年度の成長見通しを引き下げた。ラガルド総裁は新型肺炎が欧州経済の主要ショックだと警告した。ECBの緩和策拡大や成長見通しの引き下げ、加えて、米国のトランプ政権が欧州からの入国停止を発表したことがユーロ売り圧力となった。

 

米国市場では3月ミシガン大学消費者信頼感速報

2月実績は101.0だった。3月については、雇用情勢は特に悪化していないものの、新型コロナウイルスの感染拡大に対する警戒感が高まっていることから、信頼感指数は100を大幅に下回る可能性がある。

 

欧米イベント

○16:00   2月独卸売物価指数(WPI)
○16:00   2月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比0.4%/前年比1.7%)
○16:00   1月トルコ鉱工業生産(予想:前月比0.5%)
○16:45   2月仏消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比横ばい/前年比1.4%)
○17:30   2月スウェーデン失業率(予想:7.6%)
○21:00   1月メキシコ鉱工業生産(季調済、予想:前月比0.4%)
○21:30   2月米輸入物価指数(予想:前月比▲1.0%)
○23:00   3月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:95.0)

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