FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:トランプ米大統領の演説後に失速

新型コロナウイルスの感染がパンデミック(世界的な大流行)の段階に進んだことが投資家心理を圧迫した。また、日本時間午前中に行われたトランプ米大統領の演説で欧州からの米国への入国を向こう30日間全面的に停止すると発表した。しかし、景気対策で具体策が示されなかったことが嫌気された。NYダウ先物が1000ドル以上の下落する中、為替市場では円高進行したことで日経も下げ幅を広げた。結局、前営業日比856円安の1万8559円と続落して終了した。

 

東京外国為替市場:トランプ大統領演説後に下値模索の展開

ドル/円は、トランプ大統領が演説で新型コロナウイルスの対策として『英国を除いた欧州からの渡航を30日間制限し、13日から適用する』と発表、世界景気の先行き懸念が一段と高まった。そして、市場が期待していた財政政策などへの具体的な言及なく、失望感が広がった。ドル/円は、トランプ大統領の演説後に下値を模索する展開となり、一時103.05円近辺まで急落した。日経平均株価の下げ幅が1000円を超えたことやNYダウ先物も大幅安も、ドル売り・円買いに拍車をかけた。ただ、心理的節目の103.00円が視野入りすると、値ごろからドルの押し目買いが入り、103円台半ばへ切り返した。午後は、日経平均株価の下げ幅縮小や低下していた米長期金利の持ち直しに支えられ、104.25円近辺へ急反発した。黒田日銀総裁が安倍首相との会談後に『市場の状況を注視して、適切に躊躇なく対応する』と発言、日銀が来週の金融政策決定会合で追加緩和に踏み切るとの思惑が広がったことも円売りを誘った。一巡後は、103.85円台へ下落する荒い値動きとなった。ユーロ/ドルは、米長期金利の上昇をながめた持ち高調整などのユーロ売り・ドル買いが入り、1.13ドル台前半から1.12ドル台後半へ水準を切り下げた。

 

トランプ大統領の演説に失望感でリスク回避の動き

トランプ米大統領の国民向け演説を前にして、市場には『根拠なき期待感』なるものが漂っていたことは確かである。そして、実際の演説を聞くにつれ、その期待感は『やっぱりだめか』との失望感に変わった。市場が注目していたのは、減税を本当にやるのかやらないのかの、トランプ米大統領としての決意を聞きたかったが、結局のところ『議会に提案している』にとどまってしまうと、NYダウ先物の売り仕掛けとなった。ナスダック先物などは一時サーキットブレーカーが発動するなどの騒動となった。

 

ドル/円オプションからみた次の円高ポイント

ドル円は、オプション(OP)設定が観測された104.00円の下支えが期待されたものの下抜け、次の心理的節目103円に近づくように下落が進んだ。103円の買いはさほど規模が大きくなく、オーダー面で支えとなりそうなのは102.75円に置かれたOPとなる。しかし、OPがあった104円を割り込んで下落を強めた現状を鑑みれば、同OP付近がサポートされるかどうかは、市場のセンチメント次第の面が大きい。

 

欧州市場では1月ユーロ圏鉱工業生産が公表

12月実績は前月比▲2.1%になった。資本財の大幅な落ち込みが影響した。1月いついては、ドイツの鉱工業生産がある程度持ち直すと予想されており、フランやイタリアも多少回復する見込みであることから、前月比ではプラスとなる可能性が高い。

 

欧州市場ではECB定例理事会が開催

欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は、新型コロナウイルス感染拡大に対して首脳らが緊急に行動しなければ、欧州は金融危機時と同様の重大な経済的ショックに直面するリスクがあると警告した。ECBが今週にも行動することを示唆した。ラガルド総裁は10日遅くに欧州連合(EU)加盟国首脳らとの電話会議で、協調した行動がとられなければ欧州は『2008年の金融危機をほうふつとさせるような展開を目にすることになるだろう』と語った。発言内容を知る関係者が明らかにした。正しい対応をすれば、ショックは一時的なものとなる公算が大きいとも述べたという。
発言は金融政策による景気刺激策で速やかに行動することを総裁が政策委員会に働きかける意向を示唆する。多くのエコノミストは12日の利下げ発表を予想しているほか、量的緩和(QE)拡大や銀行への低コスト資金供給措置の調整が想定されている。

 

逆オイルショックでシェールオイル潰し

プーチン露大統領は、原油価格が上昇した場合、米国のシェールオイル開発や生産活動が活発化して米国の原油生産が大幅に増加するため、採算原油価格が50ドル程度のシェールオイル産業に打撃を与える目論見があるとされている。 投機的格付けを付与されたジャンク債が米国のシェールオイル業界の設備投資を金融面で支援しており、原油価格が低迷し続けた場合、ジャンク債の大量デフォルト(債務不履行)が起こる可能性が警戒されている。さらに、原油価格の下落は、原油資源国での政情不安やデフォルト懸念などに繋がり、産油国のソブリン・ウェルス・ファンドによる主要国株式・債券市場からの資金逆流懸念も高まることで、国際金融市場にリスク回避地合いを生じさせることで、『逆オイルショック』の様相を呈すことになる。
 米国のシェールオイル産業が弱体化した場合、エネルギー業界を重要な支持層としているトランプ米大統領の再選が危うくなる。

 

欧米イベント

○17:30   2月スウェーデンCPI(予想:前月比0.6%/前年比1.3%)
        コア指数(予想:前月比0.4%/前年比1.1%)
○19:00   1月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比1.4%/前年比▲3.1%)
○21:00   1月インド鉱工業生産(予想:前年同月比0.7%)
○21:30   2月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比▲0.1%/前年比1.8%)
        食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.1%/前年比1.7%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.8万件/173.3万人)
○21:45   欧州中央銀行(ECB)定例理事会、終了後政策金利発表(予想:0.00%に据え置き)
○22:30   ラガルドECB総裁、定例記者会見
○13日02:00   米財務省、30年債入札

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