FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米国の景気下支え措置への期待から買い戻し

前日の米国株式市場は急落し、NYダウは2000ドル超安と過去最大の下げ幅を記録した。日経平均株価も朝方は売りが先行し、一時800円超安まで下げ幅を広げた。しかし、米国の景気下支え措置は『大規模』なものになるとのトランプ大統領の発言も徐々に好感されNYダウ先物も上昇したことに連れ下げ幅を縮小する展開となった。後場では、NYダウ先物が上げ幅を広げたことで、日経平均株価もプラス圏まで戻した。結局、前日比168円高の1万9867円と3日ぶり反発して終了した。

 

東京外国為替市場:ドルの買い戻しが優勢に

ドル/円は、オセアニア市場でトランプ米政権が打ち出す景気対策への期待からジョーとカバーが持ち込まれ、102円台前半から103円台を回復した。東京市場でもこの流れは続き、国内輸入企業のドル買い・円売りや日経平均株価の持ち直しに支えられ、103.70円付近へじり高となった。米長期金利が上昇したことも、ドルの押し上げにつながった。しかし、買一巡後は103円台前半へ小緩んだ。午後に入ると、日経平均株価の上げ幅拡大やNYダウ先物の大幅高を眺めて上値を試す展開となり、一時105.02円付近まで急伸した。一部メディアが『中国の習近平国家主席が武漢を訪問した』と報じたことで、新型コロナウイルスの感染が収束に向かっているとの思惑が浮上したことも、リスク選好の円売りに拍車をかけた。ただ、朝方から一本調子の上昇が続いているため、利食い売りなどに104.60円台へ押し戻された。ユーロ/ドルは、イタリアで新型コロナウイルスの感染者が急増し、北部に適用されていた移動制限を全土に拡大したことがユーロの重石となり、1.14ドル台前半から1.13ドル台半ばへ水準を切り下げた。

 

円高が継続すると本邦企業業績の先行き不透明に

ドルやユーロに対する円高が企業収益の逆風になりつつある。足元の1ドル=102円、1ユーロ=117円の水準が2020年度も続くと、為替影響が大きい主力輸出業20社の営業利益は19年度に比べて約7500億円の減益要因になる。19年度の営業利益見通しの1割に当たる規模だ。ただでさえ新型コロナウイルスの感染拡大で製品需要は低下しており、円高が定着すると企業業績の先行きは一段と不透明になる。

 

VIX指数はリーマンショック時以来の高水準

9日のシカゴ・オプション市場(CBOE)でS&P500種株価指数オプションの値動きに基づいて算出される変動性指数(VIX、恐怖指数)は急騰した。一時62.12と2008年12月以来、いわゆるリーマンショック時以来の高水準を付けた。リーマンショック時のVIX最高値は2008年10月の89台。同時期の本邦GDPは、2008年10-12月期が▲9.4%、翌1-3月期は▲17.8%と、確かにまだリーマン級には届いてはいない。ただし、新型ウイルスによるグローバル経済へのダメージは(短期的と言われながらも)計り知れず、今後の日本が本当にリーマンショック級のマイナス成長を記録する可能性は捨てきれない。

 

原油急落の具体的な影響

WTI原油先物が急落したが、具体的な影響としては、1)米国を始めとした世界の資源エネルギー会社のうち、低格付け企業が発行してきた高利回り社債(ハイ・イールド債)の信用不安拡大、2)資源国の経済・財政悪化拡大、3)日本でのデフレ・円高激化(原油急落で日本の物価は再下落。デフレは通貨高、インフレは通貨安の要因)、4)原油安による日本の輸入急減と貿易収支の悪化歯止め、といった要因がある。
一方でサウジアラビアについては、シェア拡大狙いの原油安売りが行き過ぎると、経済・財政の返り血打撃や自国株の下落が深刻化するリスクをはらむ。サウジ国内での政権不満や権力闘争に移行する可能性も無視できない。その前段階で、サウジが改めて原油安歯止めの減産協調に回帰する余地も残されている。同時にサウジ国内で政治混乱が高まったり、中東地域が不安定化すると、域内での武力衝突へと伝播。中東発の地政学リスクが、一転して原油供給の打撃懸念となり、原油高騰につながる波乱余地を秘めている。

 

今晩米国の景気刺激策の詳細を発表

トランプ米大統領は9日、給与税減税と、新型コロナウイルスで打撃を受けた産業への『非常に大規模な救済措置』を目指すと述べた。金融危機以来の大幅株安を受け、景気刺激策実施へとかじを切った。ホワイトハウスで記者会見したトランプ大統領は、経済を下支えする『極めて劇的』な措置を発表する計画だと発言した。『あす(10日)午後に経済対策の一部をここで発表するつもりだ。大きな措置になる』と語った。また、在宅を余儀なくされることで収入を失う恐れがある時間給労働者も支援する意向を示した。

 

欧米イベント

○16:00   2月ノルウェーCPI(予想:前月比0.3%/前年比1.6%)
○16:00   12月トルコ失業率(予想:13.5%)
○16:45   1月仏鉱工業生産指数(予想:前月比1.8%)
○19:00   10-12月期ユーロ圏域内総生産(GDP)確定値(予想:前期比0.1%/前年比0.9%)
○11日02:00  米財務省、3年債入札
○インド(水掛け祭)、休場

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