FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

★米国は8日から夏時間に移行済み

 

日経平均株価:原油価格急落と円高進行を嫌気した売り

週末に『OPECプラス』の協調減産協議の決裂やサウジアラビアの原油大幅増産計画などを受け、原油価格が急落したことが嫌気されほか、為替の円高進行に伴って朝方から全面安の展開となった。市場では、原油価格の急落という新型コロナウイルスとは別の次元から切り込んできた話によって想定外の下落となった。心理的な節目の2万円を下抜けても下げ止まらず、一時1万9500円を割り込んだ。日銀の株式ETF買いが意識されたが、下げの勢いは止まらなかった。結局、前週末比1050円安の1万9698えんと大幅続落で終了した。

 

東京外国為替市場:円買いが殺到し一時101円台半ばへ

ドル/円は、新型コロナウイルスの感染が世界中に拡大していることや、日経平均株価の大幅続落を背景にドル売り・円買いが殺到し、104円台前半から一時101.51円まで暴落しておよそ3年4ヵ月ぶりの安値を付けた。原油先物相場の急落やNYダウ先物の大幅安も、リスク回避のドル売り・円買いに拍車をかけた。ただ、このところ一本調子の下げが続いているため、下値では本邦実需筋などのドル買い・円売りが入り、102円台後半へ切り返す荒い展開となった。午後は、急低下していた米長期金利の持ち直しに支えられ、103円台を回復する場面があった。しかし、世界同時株安で、リスク回避姿勢が強まっていることからドル買い・円売りは続かず、102.60円近辺へ押し戻される展開となった。ユーロ/ドルは、米国内での新型コロナウイルスの感染拡大や、FRBの追加利下げ観測を背景としたドル売り一巡後は、1.13ドル台後半へ水準を切り下げた。

 

不安心理の高まりから金ETFの2月末残高は3000トン

世界の金上場投資信託(ETF)が価値の裏付けとして保有する金現物の残高が2月末時点で初めて3000トンを超えた。新型コロナウイルスの感染拡大で世界的に景況感が悪化しており、安全資産を求めるマネーの金への流入に拍車がかかった。金の国際価格は7年1カ月ぶりの高値まで上昇し、金ETFの運用残高も7年4カ月ぶりに過去最高に達した。金への資金集中は不安心理の広がりを映している。

 

東京五輪中止なら損失総額は7.8兆円:SMBC日興

SMBC日興証券は6日、新型コロナウイルス感染が7月まで収束せず、東京五輪・パラリンピックが開催中止に追い込まれた場合、約7.8兆円の経済損失が発生するとの試算を公表した。国内総生産(GDP)を1.4%程度押し下げ、日本経済は大打撃を被るという。SMBC日興は、新型ウイルスの世界的な感染拡大が7月まで長期に及ぶ場合は五輪開催中止の可能性が高いとみている。五輪に絡む損失では、宣伝や輸送といった大会運営費に加え、訪日客を含む飲食・グッズ購入など観戦関連支出で計6700億円とはじいた。新型肺炎の感染拡大が収まらず、国内消費のほかサプライチェーン(部品供給網)の依存度が高い中国を取引先とする輸出入減少などの影響と合わせると、損失総額は7.8兆円程度に上ると見込んだ。 

 

東京五輪が中止ならマイナス成長に:ゴールドマンのリポート

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大による経済への悪影響が警戒される中、ゴールドマン・サックス証券は6日付のリポートで『新型コロナの国内感染が4月末にかけて実質的に終息することを標準シナリオとしているが、国内感染が相当に長期化し、オリンピックも中止を余儀なくされるという厳しい環境下でのストレス・シナリオを想定し、その下で日本経済に対する影響をシミュレーションする』との見解を示した。ゴールドマンは東京五輪の経済効果を8000億円程度(年感の国内総生産の0.15%)と試算しながら、『5月末までに新型コロナの国内感染の影響に歯止めが掛からず、東京オリンピックの中止が決定される場合には、①オリンピックによる経済効果の喪失だけでなく、②長期化する新型コロナ問題による悪影響が日本経済に圧し掛かることになる』としながら、『GDPに対する影響は、後者の要因の方が圧倒的に大きい』とし、ストレス・シナリオの下で東京五輪中止の影響も含め、2020暦年(年度)の成長率は標準ケースをマイナス0.9パーセントポイント(マイナス1.2パーセントポイント)それぞれ下回りマイナス2.0%(マイナス1.6%)となると試算した。

 

減産交渉が決裂したことでサウジアラビアが増産方針で原油暴落

OPECとロシアなど非加盟の主要産油国は、3月末が期限となる現行の日量210万バレルの減産の枠組みを継続・強化することをめざしたが、ロシアの反対で交渉が決裂した。そのため、世界最大の石油輸出国であるサウジアラビアは自主的な減産を取りやめ、石油増産に転じる見込み。石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の主要産油国の減産交渉が決裂したことが背景にある。2016年ごろから実施する価格下支えの取り組みをやめシェア重視の戦略に転換した。新型コロナウイルスが石油需要に影を落とす中、石油価格下落に拍車をかける可能性がある。ロイター通信などによると、サウジは現在日量970万バレルの生産量を4月に日量1000万バレルを超す水準まで引き上げる方針とした。OPEC内部の合意と別にサウジが自主的に実施している減産をとりやめるかたちとなる。生産能力いっぱいの日量1200万バレルまでの増産の可能性も非公式に示唆している。

 

NYダウのボラティリティの近年にない多さ

NYダウが今年に入り前日比で3%超上昇・下落したのは6日までに6回。2019年(2回)や18年(5回)をすでに上回った。リーマン・ショックが起きた08年(38回)や翌年の09年(15回)並みの多さとなる可能性がある。加速する金利低下を『景気悪化の予兆』とみる株式市場では日増しに先行きへの懸念が高まる。長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは3日に初めて1%を下回り、6日には一時0.66%と過去最低を更新した。日本の長期金利が初めて1%を下回ったのは1998年である。その後、スイスやドイツなどが続き、米国も仲間入りした形となる。

 

欧米イベント

○15:45   2月スイス失業率(季節調整前、予想:2.6%)
○16:00   1月独貿易収支(予想:150億ユーロの黒字)
○16:00   1月独経常収支
○16:00   1月独鉱工業生産(予想:前月比1.7%/前年同月比▲3.8%)
○21:00   2月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.28%)
○21:15   2月カナダ住宅着工件数(予想:20.65万件)
○21:30   1月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比▲3.0%)
○ロシア(国際婦人デーの振替休日)、休場
○米国は8日から夏時間に移行済み

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