FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:リスク選好も上値の重い展開継続

前日の米国株式市場が急騰したことが好感され買いが先行した。ただ、寄り付きで高値を形成した後は、上値を追う展開には至らなかった。新型コロナウイルスによる国内景気の悪化懸念が引き続き重石となっているほか、米カリフォルニア州が非常事態宣言を発令したことが嫌気された。結局、前営業日比229円高の2万1329円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:107円台前半でもみ合う展開継続

ドル/円は、NYダウ先物の下落や米長期金利低下を眺め107.26円付近まで下落した。カリフォルニア州知事が新型コロナウイルスで非常事態宣言を発令したことや、日経平均株価が朝高後に伸び悩んだことも、ドル売り・円買いにつながった。しかし、前日の海外市場でつけた107.15円が下値目処として意識されると下げは一服した。その後は、国内輸企業などがドル買い・円売りに動き107.30円近辺でもみ合う展開となった。午後は、日経平均株価と上海総合株価指数の上げ幅拡大が円売りを誘い、107.45へ持ち直した。しかし、今晩の米国株価動向を見極めたいとの雰囲気から上値を追う動きは限られ、107.40円前後でもみ合った。ユーロ/ドルは、1.11ドル台前半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

2020年中国の成長率を下方修正:S&Pの最新レポート

米格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は最新リポートで、2020年の中国国内総生産(GDP)成長率について、新型コロナウイルスの感染拡大による影響を踏まえ、見通しを4.8%増に引き下げた。これまでは5.7%増と予測していた。20年の世界全体の経済成長率見通しについても2.8%増に引き下げ、19年12月時点の予測(3.3%増)から0.5ポイント下方修正した。『信報』が4日伝えた。また、旅行や高級品小売りなど消費に依存する分野や、自動車、電子製品、化学製品などグローバルサプライチェーンに依存する分野の信用リスクが高まる可能性があるとした。

 

英国とEUの将来関係協議が開始したが

1月末にEUを離脱した英国は、移行期間終了後のEUとの将来関係協議を正式に開始した。自由貿易の継続を求めている点で両者は一致しているが、公正な競争条件、漁業、金融サービス、司法管轄などを巡って溝は大きい。6月までに協議の進捗を確認したうえで、移行期間を延長するか、協議を打ち切るかを判断する。主権回復を掲げて誕生したジョンソン政権にとって、移行期間の延長は政治的に難しい。加盟国の議会承認が必要な包括的な貿易協定を僅か10ヵ月で締結することも困難とみられる。貿易協定を締結できぬまま移行期間が終了すれば、経済や産業界へのダメージが無視できない。結局、部分合意で関税なし貿易を続け、積み残した案件を継続協議とするのが現実的なシナリオとなる。

 

3月日銀金融政策決定会合の予想:JPモリガン証券リポート

JPモルガン証券のリポートでは、日銀は18-19日の金融政策決定会合で、ETF買い入れ目標を現行の6兆円から9兆円に増額し、そこを基準に柔軟な調節を行うだろうと予想している。さらに、黒田総裁は執行部に対し、新型肺炎のために一時的に資金繰り難に直面し得る特定産業を支援する金融機関に向けた長めの資金供給オペレーションか、担保適格要件の緩和を検討するように指示を出すのではないかと予想している。
短期金利の引き下げは、資金調達コストの高さが新型肺炎問題の本質ではなく、ドル・円相場も安定しているので行われないと予想した。ただし、3月会合前に事態が変わっていくことも十分あり得る

 

緊急利下げも新型ウイルスのパンデミックには効かず

米連邦準備制度理事会(FRB)は、米経済のあらゆる病気を診る『かかりつけの医師』となってきた。3日には、金融の医者たるFRBは、新型コロナウイルスによる経済的打撃への鎮静剤になるとの期待を込めた処置を行った。2日に相場が急騰していたこともあり、金融市場への治療効果は期待外れだった。これは、パンデミック(感染病の世界的大流行)による供給面のショックに対しては、利下げの効果が限定的であることを示しているのかもしれない。

 

6日の米2月雇用統計は前月より減速傾向と見込む

先行指標の中で、米労働省が発表する雇用統計と最も相関性が強いとされる民間部門の雇用者数を示すADP雇用統計の2月分は前月比+18.3万人と、市場予想を上回った。ただ、1月分は+29.1万人から+20.9万人へ下方修正された。エコノミストは製造業の低迷などから、雇用ペースの鈍化を予想している。しかし、米連邦準備制度理事会(FRB)が4日に公表した米地区連銀経済報告(ベージュブック)の中で、企業は労働市場のひっ迫で、雇用を確保するのが困難になっていることを主張している。雇用のペースの減速は企業が雇用を差し控えているためというよりも、適切な労働者が見つからないためである可能性もある。全般的に労働市場で雇用が引き続き順調に拡大している兆候が見られる可能性がある。しかし、現時点で新型肺炎が経済に与える影響は未知である。ベージュブックでは生産、製造業がサプライチェーンの混乱に懸念を示していることが明らかになったほか、観光などにも悪影響を与えている兆候が指摘されている。

■市場予想失業率:3.6%(1月3.6%)非農業部門雇用者数:前月比+17.5万人(1月+22.5万人)民間部門雇用者数:前月比+16万人(1月+20.6万人)平均時給:予想:前月比+0.3%、前年比+3.0%(1月+0.2%、+3.1%)

 

欧米イベント

○18:00   10-12月期南アフリカ経常収支
○21:30   2月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○22:00   ホールデン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○22:30   10-12月期米非農業部門労働生産性・改定値(予想:前期比1.4%)
○22:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.5万件/173.3万人)
○24:00   1月米製造業新規受注(予想:前月比▲0.1%)
○6日02:00   カーニー英中銀(BOE)総裁、講演
○6日02:45   ポロズ・カナダ銀行(中央銀行、BOC)総裁、講演
○米財務省3年、10年、30年債入札条件
○石油輸出国機構(OPEC)臨時総会(ウィーン)

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