FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:G7電話協議では具体的な政策は盛り込まないを嫌気

朝方は米国株が上昇した流れを引き継いで強含んだが、その後は伸び悩みマイナス圏へ沈んだ。日銀のETF買いが心理的な下支えとなっているものの、新型肺炎の国内感染拡大や為替の円高に帰する懸念が根強い。また、3日夜のG7財務相・中銀総裁の電話会議に関しロイター通信が『現時点で、協調利下げや財政出動など具体的な対応は盛り込まない方向』と報じ協調利下げ期待が後退して売りに押された。結局、前日比261円高の2万1082円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:日本株の下げ幅拡大でリスク回避の円買い

ドル/円は、日経平均株価の伸び悩みや米長期金利低下を眺めたドル売り・円買いに押され、107.95円付近へ軟化した。新型コロナウイルスの感染者が韓国で急増していることも、リスク回避の円買いを誘った。午後になると、一部メディアがG7関係筋の話として『今晩予定されている電話協議では、現時点では協調利下げや財政出動といった具体的な政策は盛り込まれない方向で調整している』と報じた。この報道を嫌気して日経平均株価が下げ幅を拡大すると、調整色が強まり107.66円付近まで下落した。しかし、今晩の米国株動向やスーパーチューズデーの行方を見極めたいとの雰囲気もあり、下げは一服した。ユーロ/ドルは、FRBが今月の会合で大幅利下げに踏み切るとの観測から、ユーロ買い・ドル売りが優勢となり、1.11ドル台前半から1.11ドル台半ばへ水準を切り上げた。

 

トルコの地政学リスクの高まりがトルコリラの重石

トルコの隣国シリア内戦を巡り、『反体制派とそれを支援するトルコ軍』対『アサド政権軍とその後ろ盾ロシア』との戦闘が報じられている。トルコ軍に犠牲者が増えるなかエルドアン・トルコ大統領も引くに引けない状況となり、このまま事態が鎮静化しなければ、トルコ負担増・地政学リスクの更なる高まりがリラの重石となる。さて、トルコは隣国シリアだけではなく、東地中海の対岸・北アフリカのリビアの内戦にも首を突っ込んでいる。内戦が長期化するリビアでは、首都トリポリを拠点とする国連承認のリビア国民合意政府(GNA)とハフタル氏率いる民兵組織『リビア国民軍(LNA)』が対峙している。トルコはGNA側と接近し、昨年後半には、東地中海における排他的経済水域の境界線を締結した。エルドアン・トルコ大統領はその後、GNAを支援するため派兵すること表明した。一方、LNA支持に回っているのがロシアとされ、シリア同様にトルコと立場を異にしている。リビア内戦にトルコが深く引きずり込まれる可能性はあり、軍事リスクの高まりによる通貨リラへの影響には気を付けたほうが良さそうだ。

 

新型肺炎による経済減速に各中銀は対応に備える

FRBのパウエル議長は2月28日に緊急声明を発表した。経済を支援するために手段を用いて適切に対応するとの断固とした方針を表明した。パルエル議長の緊急声明は、各国中銀が新型肺炎による経済の下方リスクの一段の深刻化に焦点を集めている証拠だとゴールドマンは指摘している。カナダ中銀、豪州準備銀、NZ準備銀、欧州中央銀行(ECB)、ノルウェー中銀、インド準備銀、韓国中銀、スイス国立銀の利下げを予想している。日本銀行はETF過去最大規模となる1014億円買い入れ。黒田日本銀行総裁は日銀が潤沢な資金供給と金融市場の安定確保を公約した。高官筋の話として、欧州中央銀行(ECB)も新型肺炎の蔓延による経済への影響に対応するため追加利下げやさらなる資産購入も辞さない方針である。

 

OPECと非加盟産油国が減産協議:原油価格に大きく影響

石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟産油国は5-6日、ウィーンで会合を開催する。原油相場は2月以降、新型肺炎による世界経済悪化と原油需要の減退懸念により、大きく下落してきた。原油相場の底上げのため、会合で予想以上の減速が決まると一旦の原油反発へと作用する。反対に減産協議で足並みの乱れが見られたり、予想範囲内の失望に終わると原油相場が再下落していく。さらにリスク回避による円高や、資源国通貨の再下落につながる可能性もある。

 

新型肺炎の影響が米国経済にもじわりと歩み寄る

新型肺炎の世界中のまん延が経済に害を与えるとの脅威が根強い。警戒されたとおり、中国の2月製造業PMIは過去最低に落ち込んでいる。サプライチェーンの混乱による米国の製造業への被害も不可避となってきた。その証拠が出始めている。民間マークイットが発表した米国の2月製造業PMI改定値は50.7と、予想外に速報値50.8から下方修正され過去最低となった昨年8月来で最低となった。また、全米の製造業活動をあらわすISM製造業景況指数の2月分は50.1と、1月50.9から低下した。活動の拡大と縮小の境目となる50をかろうじて維持した。ただ、重要項目の新規受注は49.8と、1月52から再び50を割り込み活動の縮小となった。輸入は2009年来で最低、生産は2018年来で最低を記録した。また、入荷遅延は57.3と、52.9から急伸しており、サプライチェーンの混乱の証拠となっている。

 

欧米イベント

○15:45   10-12月期スイス国内総生産(GDP、予想:前期比0.2%/前年比1.3%)
○16:00   2月トルコ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.65%/前年比12.70%)
○16:45   1月仏財政収支
○18:30   10-12月期南アフリカ国内総生産(GDP、予想:前期比年率▲0.1%/前年同期比▲0.1%)
○18:30   2月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:48.8)
○19:00   1月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.5%/前年比▲0.5%)
○19:00   2月ユーロ圏HICP速報値(予想:前年比1.2%)
○19:00   2月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比1.2%)
○19:00   1月ユーロ圏失業率(予想:7.4%)
○19:00   ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○4日04:50   メスター米クリーブランド連銀総裁、講演
○米大統領選スーパーチューズデー
○主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁緊急電話会議

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