FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:新型コロナウイルスの感染拡大を嫌気した売り継続

前日の米国株式市場でNYダウとS&P500が5日続落したことや、新型コロナウイルスの感染が5大陸に拡大したことが嫌気された。市場では、これまで楽観的なムードがあった米国市場が、ここから新型ウイルスの影響を本格的に織り込み始めることを懸念する関係者が多い。米CDC(米疾病対策センター)が国内での新型コロナウイルス地域感染の可能性を指摘したと伝わったことも嫌気された。また、世界的な新型コロナウイルス感染拡大への警戒感に加え一部で東京五輪1年延期論が浮上する等海外投資家の先物への売りが加速した。結局、前営業日比477円安の2万1948円と4日続落となった。終値で2万2000円を下回るのは2019年10月11日以来、約4ヵ月半ぶりとなった。

 

東京外国為替市場:米国内で感染が拡大するとの警戒感からドル売り

ドル/円は、日経平均株価の下げ幅拡大や米長期金利低下を眺めたドル売り・円買いが先行、110.20円近辺まで下落した。一部米メディアが『米CDCが、米国内で感染源が不明となる新型コロナウイルスの初のケースが確認された』と報じたことも、ドルの押し下げにつながった。しかし、下値では値ごろ感から国内輸入企業などがドル買い・円売りに動き、110.30円を挟んでもみ合いとなった。午後は、日経平均株価の下げ幅が一時500円を超えると、調整色が強まって109.97円付近まで下落する場面があった。デンマークで初の新型コロナウイルスの感染が確認されたことも、リスク回避の円買いを誘った。ユーロ/ドルは、新型コロナウイルスの感染が米国内で拡大するとの警戒感から、ユーロ買い・ドル売りが優勢となり1.09ドル台前半の高値圏で推移した。

 

中国の1月自動車販売台数は予想以上に減少

中国汽車工業協会(CAAM)が集計した1月の自動車販売台数は前年同月比18.7%減と、予想以上に減少した。減少は19カ月連続となった。新エネルギー車(NEV)の販売台数は前年比51.6%減した。
CAMMは、新型コロナウイルスの感染拡大により、2月の生産・販売の落ち込みはもっと厳しいものになるとの見通しを示した。

 

逃避マネーが金に集中する可能性も

ニューヨーク商品取引所(COMEX)で金先物相場の4月限は週明け24日に一時1トロイオンス=1691.7ドルと中心限月として7年1カ月ぶりの高値を付けたものの、そのあとはやや利食い売りなどに押されている。ただ、新型コロナウイルスによる肺炎が世界的にまん延し、景気を冷やすとの警戒感が根強いため、『金相場は目先強気』な予想が多く聞かれる。日本のファンダメンタルズの悪さが材料視される中、『米国債や円ではなく金市場に逃避マネーが集中する可能性があり、1700ドルを突破する可能性もある』という。米ジョーンズトレーディングの上場投資信託(ETF)取引責任者であるデイブ・ルッツ氏は『マーケットには1800ドル突破を予想する声もある』と明らかにした。

 

米国では質の逃避から米長期金利が過去最低を記録

米国のトランプ政権は今のところ米国内での新型肺炎の感染が制御されているとする一方で、米疾病対策センター(CDC)や米保健社会福祉省(HHS)アザー米厚生長官は『米国で新たに新型肺炎の感染が拡大する可能性』を警告した。潜在的なパンデミックに備えるよう呼びかけた。CDCはさらに、新型肺炎のパンデミックで『なるか・ならないかの問題ではなく、時間の問題だ』と警告した。米国での新型肺炎の急激な拡大が成長を一段と悪化させるとの警戒感に、米国では追加利下げ観測が強まりドル売りが加速した。さらに、『質への逃避』としての投資資金が米国債に大量に流入したため、米長期金利は過去最低を記録した。

 

強い米住宅市場が新型肺炎によるマイナス要因を相殺できるか

米国住宅市場において、新築住宅が占める割合は10%に過ぎないが、契約時点での統計となるため、住宅市場の先行指標として注目されている。本年の米国の住宅市場は、住宅ローン金利が8年ぶりの低水準となったほか、労働市場が強く、賃金の上昇で国内総生産(GDP)の成長にプラスに寄与すると期待されている。2020年の第1四半期GDPでの居住住宅投資は0.3%ポイントプラスに寄与する見込みとなっている。
1月の1戸建て建設許可件数も2007年6月来で最高となった。建設中の住宅件数も2007年2月来で最高と、住宅不足を補う。新築住宅の中間価格は14%増の348200ドル(3800万円相当)と過去最高に達した。また、住宅の売却にかかる時間は5.1カ月と、12月の5.5カ月を下回り2017年11月以来で最短となった。健全な住宅市場をはかるうえでは6カ月が平均的なペースと見られている。
強い住宅市場が、新型肺炎によるマイナス要因を相殺し、米国経済の11年目となる成長継続を支援すると期待される。

 

欧米イベント

○18:00   1月ユーロ圏マネーサプライM3(予想:前年比5.3%)
○18:30   1月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.2%/前年比4.4%)
○18:30   パネッタ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○18:45   ラガルドECB総裁、講演
○19:00   2月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲6.6)
○19:00   2月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:102.8)
○19:05   シュナーベルECB専務理事、講演
○19:30   カンリフ英中銀(BOE)副総裁、講演
○21:00   1月メキシコ失業率(季節調整前、予想:3.40%)
○21:15   レーンECB専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○22:30   10-12月期カナダ経常収支(予想:90.0億カナダドルの赤字)
○22:30   10-12月期米国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比年率2.1%)
           個人消費(改定値、予想:前期比1.7%)
           コアPCE(改定値、予想:前期比1.3%)
○22:30   1月米耐久財受注額(予想:前月比▲1.5%/輸送用機器を除く前月比0.2%)
○22:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.2万件/171.5万人)
○24:00   1月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比2.2%/前年比2.3%)
○28日01:00   デギンドスECB副総裁、講演
○28日01:30   エバンズ米シカゴ連銀総裁、講演
○28日03:00   米財務省、7年債入札

 

 

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