FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:世界経済の下押し懸念から売り優勢

新型肺炎の感染者が中国以外でも増加し、世界経済の下押し懸念をしたリスク回避の売りが強まった。前日の米国株式市場は新型コロナウイルスの世界的な感染拡大懸念から大幅下落した。東京市場もリスク回避の動きに支配され、日経平均株価の下げ幅は一時1000円超と22300円台まで下落したが、売り一巡後は22500円台で落ち着きどころを探る動きになった。結局、前営業日比781円安の22,605円と大幅続落して終了した。

 

東京外国為替市場:米長期金利の上昇でドル下げ止まる

ドル/円は、3連休明けとなる本邦輸入企業のドル買い・円売りやNYダウ先物の上昇に支えられ、111.04円付近までじり高となった。前日に急低下していた米長期金利が、時間外で持ち直したことも、ドルの買い戻しにつながった。しかし、新型コロナウイルスが世界的な大流行(バンデミック)になるとの警戒感から、上値ではドル売り・円買いも見られ、110.85円付近へ押し戻された。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら110.80円を挟んでもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、1.08ドル台半ばで小動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。 

 

新型肺炎で中国の構造問題の改革は一段と遠のく見通し

中国は設備の過剰投資などで、企業の債務問題が深刻となり、習中国指導部も真剣にこの問題に取り組もうとしたが、トランプ米政権の対中追加関税の発動などで景気減速懸念が高まり、昨年の中国政府は政策金利を引き下げ、2兆元(約31兆円)規模の企業向け減税と社会保障費負担軽減、地方債発行拡大によるインフラ投資促進などの景気対策を実施し、構造問題の改革は後回しにするしかなかった。
この最悪のタイミングで新型肺炎の感染拡大が強まり、中国経済は一段と打撃を受けることが見込まれる。中国政府は新型肺炎で景気が腰折れしないように緊急対応を優先する方針で、構造問題の改革は一段と遠のきそうである。

 

世界的なバンデミックの認定も時間の問題

新型肺炎の感染がアジアのみならず欧州、中東で確認され世界的に一段と拡大する兆しを見せた。オープンボーダーの欧州ではさらに感染拡大ペースが加速しドイツなど域内最大の経済国への波及も警戒されている。世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は今まで、感染や死者が中国に集中していると、懸念鎮静化に努めていたが、感染がイタリアや中東に広がったことに懸念を表明した。世界的なパンデミック(大流行)になる潜在性はあるが、現在のところ『まだ達していない』との見解を示している。ただ、『世界的なパンデミック(大流行)』に認定されるのも『時間の問題』と見ている医療関係者もいる。

 

米2月総合PMI速報値は2013年来で最低の50割れ

マークイットが発表した2月月製造業PMI速報値は50.8と、1月51.9から予想以上に悪化し、昨年8月来で最低となった。2月サービス業PMI速報値は49.4と予想外に50を割り込んだ。新規受注は2009年以降で初めての50割れ。新型肺炎の影響で観光が落ち込んだ。2月総合PMI速報値は49.6と、米国政府機関が閉鎖された2013年10月以降で最低を記録した。

 

ゴールドマンサックスの米経済成長見通し

1-3月期:+1.2%(従来:+1.4%。2019年10-12月期+2.3%)4-6月期:+2.7%
ゴールドマンサックスの米国経済チーフアナリストのハチアス氏は新型肺炎の感染拡大が明確に成長の下方リスクになると警告。1-3月期のGDPの成長見通しを従来の1.4%からさらに引き下げ+1.2%とした。前四半期は2.3%だった。ただ、在庫が十分で、サプライチェーン混乱による全般的な活動にはほとんど影響はないと指摘。もし、新型肺炎の影響が抑制されたら、その反動で第2四半期の成長は2.7%に回復すると予想している。成長減速懸念に、米国の利下げ観測も強まった。米国金利先物市場でも年内3回の利下げを織り込み始めた。早くて、4月または7月に1回目、 9月には2回目、12月には3回目の利下げを予想している。

 

過去実績から円安になりやすいパターン

過去実績として年度末決算が接近する2月にドル高・円安が進むケースでは、底流部分での円転需要の抑制が示され、最低でも4-5月、多くのケースでは年末にかけてドル高が進むパターンが目立ってきた。1995年から2019年までの過去25年でいえば、前年12月末のドル/円レートに対し、2月末時点でドル高に振れたケースは13回ある。そのうち年初のドル水準を年末値が上回ったのは、計8回と6割以上に及んでいる。しかも残り5回のうち4回は、昨年を含めて4-5月までドル高が進行してきた。今年は年初の開始が108.59円前後となっており、上下動を経ながらも同水準の上抜け維持が注目されやすい。

 

欧米イベント

○16:00   10-12月期独国内総生産(GDP)改定値(季節調整済、予想:前期比横ばい/前年同期比0.4%)
○16:00   10-12月期独GDP改定値(季節調整前、予想:前年同期比0.3%)
○16:45   2月仏企業景況感指数(予想:103)
○17:00   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○21:00   10-12月期メキシコGDP確定値(予想:前期比▲0.1%/前年比▲0.4%)
○23:00   12月米住宅価格指数(予想:前月比0.4%)
       10-12月期米住宅価格指数
○23:00   12月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比2.8%)
○24:00   2月米消費者信頼感指数(予想:132.0)
○24:00   2月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:10)
○26日03:00   米財務省、2年債入札
○26日05:15   クラリダ米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○ブラジル(カーニバル)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

カテゴリー

カレンダー

4月 2024
« 1月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ページの先頭へ