FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:新型コロナウイルスの死者報道受け上げ幅縮小

外国為替市場で円安が進行したことが支援材料となり、主力の輸出関連株が朝方から堅調に推移した。また、半導体関連や電子部品関連がしっかりした動きとなった。一時400円超の上昇となったが、買いが一巡すると利益確定売りなどが出て押し戻された。また、ランチタイム中に、新型コロナウイルスへの集団感染が確認されたクルーズ船の乗客に死者が出たと伝わり、日経先物に売りが出てたことで、現物指数も押し下げられた。結局、前日比78円高の2万3479円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:海外勢などの仕掛け的な円売りで底堅い展開

ドル/円は、前日の海外時間に急伸した反動から利益確定などのドル売り・円買いが先行し、111.10円付近まで下落した。しかし、中国政府が新型コロナウイルスの対策として、景気刺激策を打ち出すとの期待が高まっているため、下値を追う動きは限られた。その後は、国内輸入企業のドル買い・円売りや中国株高に支えられ、111.35円付近へじり高となった。ランチタイムに『新型コロナウイルスの集団感染が起きているクルーズ船で、日本人2人が死亡した』と報道された。これを受けて、国内で新型コロナウイルスの感染拡大や死者が増加するとの思惑から、海外勢などが仕掛け的なドル買い・円売りを持ち込み111.49円まで上昇した。その後は、日経平均株価の上げ幅縮小をながめた持ち高調整などのドル売り・円買いが入り111.40円を挟んでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、1.0795ドル前後でこう着となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

中国経済の影響を大きく受ける日本経済

武漢はじめ湖北省の『封鎖経済』が4-5月まで続けば、中国経済はむろん日本経済の年明け1-3月期以降の回復シナリオは絶望的である。特に、日本経済は17日発表された19年10-12月期のマイナス成長に加え、今年1-3月期の国内感染者拡大やインバウンド(訪日外国人)消費低迷による2四半期連続マイナス成長(リセッション)が現実味を帯びる。何より、日本経済は米経済と異なり中国経済の影響を大きく受ける。中国では史上初めて湖北省張湾区で『戦時統制命令』が発令される等、臨戦態勢にあり当然、感染拡大4月ピーク説が現実のものとなれば中国1-3月期の成長率はゼロ成長どころでなく、マイナス成長への陥落は避けられない。日本経済は消費税率引き上げ後の19年10-12月期に5四半期ぶりマイナス成長に陥落した。前回14年の増税後に比べ個人消費の落ち込みは小幅だが、設備投資の下げ幅が大きい。輸出も2四半期連続で前期比マイナスとなり、景気の牽引役が不在のまま先行き新型肺炎の流行拡大が暗雲となって垂れ込める。

 

米1月FOMC議事録の内容

米連邦準備制度理事会(FRB)は連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(1/28-29開催分)議事録を公表した。経済の成長が緩やかなペースで継続すると楽観的なメンバーの見通しが明らかになった。①貿易緊張の緩和、②ブレグジットリスクの後退、③世界経済の成長安定、④下方リスクの低下、を指摘した一方で、貿易に関する不透明感が存続していると加えた。また、新型肝炎が新たな世界成長リスクに加わったと警告した。 リスクが存続するものの、成長見通しを修正する段階ではなく、今のところ政策金利は『適切』との見解示した。2020年、2021年の成長は減速する前にいったん潜在的水準を上回ると見ている。注目されていたバランスシートに関しては第2四半期にはTビル購入を縮小していく方針を繰り返した。リスク資産価格に関しては一段と高い水準との見解を示した。準備を修正する策は金融政策の変更ではないと再表明している。FOMCの言及にもかかわらず市場ではFOMCによるTビル購入は『QE』との見方が根強く、株式相場を引き続き押し上げた。

 

強い米国経済指標を受け資金は米国市場へ

米労働省が発表した1月生産者物価指数(PPI)は前月比+0.5%と、市場予想+0.1%を上回り2018年10月以降で最高となった。前年比では+2.1%と、予想+1.6%を上回り5月来で最高となった。また、米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ指標として注視している変動の激しい食品、エネルギーを除いたコアPPIは前月比+0.5%と、市場予想+0.2%を上回り2018年10月来で最高とり、前年比でも+1.7%と9月来で最高となった。
また、同時刻に米商務省が発表した1月住宅着工件数は前月比‐3.6%の156.7万戸と、12月162.6万戸から減少したものの市場予想142.8万戸を上回った。12月分は162.6万戸と、160.8万戸から上方修正された。住宅着工件数の先行指標となる1月住宅建設許可件数は前月比+9.2%の155.1万戸となった。市場予想を上回り市場のピークとなった2007年3月以降で最高となった。今後の着工件数が増加する可能性が示唆された。

 

米国の景気の底堅さや金利の高さがドルの価値を引き上げる

ドルの総合的な価値を示すドルインデックス指数は19日、2017年5月以来の高値を付けた。世界で、景気の底堅さや金利の高さが際立つほか、新型肺炎の悪影響が比較的薄いとの見方が背景となっている。かつて安全通貨とされた円よりドルが人気化し、円相場は約9カ月ぶりに1ドル=111円台へと下落した。
インターコンチネンタル取引所が算出するドルの名目実効レートは19日に99.70まで上昇した。市場で新型肺炎への警戒が強まった1月下旬から上昇を強め、1カ月で約2%上昇した。米中対立が強まっていた19年10月初めの水準を超え、17年5月以来、2年9カ月ぶりの高値となった。

 

米国市場では2月フィラデルフィア連銀製造業景気指数が公表

米2月フィラデルフィア連銀製造業景気指数は10.0と、1月の17.0から悪化が見込まれている。直近のISM製造業景況指数は50を6ヵ月ぶりに上回ったが、製造業の回復の遅れが嫌気されれば、株売りを通じてドル売りにつながりやすい。

 

欧米市場イベント

○16:00   3月独消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:9.8)
○16:00   1月独PPI(予想:前月比0.2%)
○16:30   10-12月期スイス鉱工業生産指数
○16:45   1月仏消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比▲0.4%/前年比1.5%)
○17:30   1月香港CPI(予想:前年同月比3.1%)
○18:30   1月英小売売上高(自動車燃料含む、予想:前月比0.7%/前年比0.7%)
        英小売売上高(自動車燃料除く、予想:前月比0.8%/前年比0.4%)
○19:30   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○21:30   欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨(1月22日-23日分)
○22:00   1月ロシア失業率(予想:4.7%)
○22:30   2月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数数(予想:12.0)
○22:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.0万件/172.0万人)
○24:00   1月米景気先行指標総合指数(予想:前月比0.4%)
○24:00   2月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値、予想:▲8.2)
○21日01:00   EIA週間在庫統計
○米財務省2年、5年、7年債入札条件
○EU臨時首脳会議(ブリュッセル)

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