FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価は上昇:ソフトバンクがけん引して上昇

前日の米国株式市場が堅調だったことが好感されたほか、新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大の影響に対する懸念が後退し、地合いは落ち着いた。ただ、不安を感染には拭い切れておらず、上値を買い進むには材料不足との声も聞かれた。一方で、ソフトバンクグループ(SBG)が傘下の米携帯大手スプリント合併期待から急伸し全体相場の上昇に寄与し前日の半導体関連株の米フィラデルフィア半導体株指数(SOX)の上昇が半導体関連株への買いを誘いった。結局、前営業日比175年高の2万3861円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:110.00円を目前にして上値の重い展開

ドル/円は、本邦輸入企業などのドル買い・円売りや日経平均株価の反発に支えられ、109.90円付近までじり高となった。米長期金利が上昇したことも、ドルの押し上げにつながった。ただ、心理的節目の110.00円前後ではドル売り・円買いオーダーが厚いと見られているため、上げは一服した。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら、109.85円を挟んだもみ合いとなった。週後半に予定されている米経済指標や米大統領選に向けた民主党の候補者選びを見極めたいとの雰囲気から、積極的な売り買いは手控えられた。ユーロ/ドルは、1.09ドル台前半で小幅な値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

新型肺炎は2月にピークとなりその後は減少:中国政府の専門家チーム

感染症研究の第一人者で中国政府の専門家チームを率いる鐘南山氏がロイターのインタビューに応じ、新型コロナウイルスの流行は2月にピークを越える可能性があると指摘した。その後は横ばい状態が続いたうえで終息すると予想した。同氏によると、中国国内の一部の州では既に状況が改善しており、新たな感染件数が減少している。
同氏は2003年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)対策で大きな役割を果たし、国際的に高い評価を得た。

 

中国向け輸出の急減が円高の抑制要因

日本は中国向け輸出の依存度が高まっており、昨年1年の輸出総額に占める対中輸出の比率は19%に及んでいる。昨年1年の中国向け輸出は貿易摩擦や中国減速などで、前年比-7.6%減と3年ぶりに減少したが、それでも14兆6823億円と、2009年の10兆2356億円からは+43%の大幅増となってきた。これから中国が再減速となり、改めて対中輸出が落ち込むと、日本の貿易収支の悪化を通じて円安基調の要因となる。ただでさえ日本では昨年の貿易収支が、-1兆6438億円の赤字となった。昨年5月以降は6月と10月を除いて赤字化が定着している。2年スパンのトレンドを示す24カ月移動平均では、昨年5月から赤字基調へと転落してきた。


 

中国発のデフレは円高圧力を抑制する可能性も

現在の中国経済は新型肺炎が打撃となっており、先行き中国の景気悪化と物価下落が予想される。現状のところは最新1月の中国CPI(消費者物価指数)が前年比+5.4%となり、前月の+4.5%から上昇した。2011年10月以来の高い伸び率になっている。豚肉などの食品価格上昇のほか、春節連休前の需要が物価を押し上げた。
中国では1月のPPI(生産者物価指数)も前年比+0.1%の上昇となり、前月の-0.5%から7カ月ぶりのプラス回復になっている。中国での過剰供給の抑制を示唆するものだ。
現在は中国での新型肺炎により、日本企業を含めた中国でのサプライ・チェーン(供給網)寸断が警戒されている。生産活動の停滞は短期的に経済打撃となる反面、中国発の過剰生産や過剰在庫の是正に寄与していく。
日本にとっては企業業績の悪化が警戒されるものの、『中国発のデフレ・円高圧力』の伝播波及は制御される可能性がある。

 

中国景気減速の影響を受けユーロ圏も成長鈍化傾向

好調さを維持する米国経済の一方で、(株式市場は堅調ながらも)ユーロ圏の成長鈍化が目立つ。ユーロ圏では4番目の経済規模・スペインでは11日、政府による経済成長見通しが従来1.8%から1.6%に引き下げられた。くわえて失業率の悪化も予想されている。金融市場では新型肺炎に対する警戒感が大きく後退しているが、米格付け会社S&Pは、新型肺炎は中国経済の成長率を0.7%押し下げて20年は5.0%まで低下すると発表した。ユーロ圏でも中国と経済的結びつきを強める国が増加しているだけに、中国経済の回復に不透明感があるうちは通貨ユーロも買い難い展開が続く。

 

米国大統領選を意識した予算配分:財政規律の緩みが深刻化する可能性も

トランプ米政権が10日議会に提出した2021会計年度(20年10月~21年9月)の予算教書は、今後の財政赤字が毎年ほぼ一貫して減る楽観的なシナリオを示した。今秋に迫る大統領選を意識した予算配分も目立ち、財政規律の緩みが深刻化する恐れがある。
歳出の約3割を占める政策予算である『裁量的経費』の非国防予算が切り詰められる中、地方の公益事業インフラ支援などに85億ドル(約9300億円)、退役軍人省向け予算は前年から二桁増を要求した。米中貿易戦争で打撃を受けた農家、支持基盤の保守派への配慮がにじんだ。

 

欧米イベント

○17:30   スウェーデン中銀、政策金利発表(予想:0.00%で据え置き)
○18:50   レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○19:00   12月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比▲1.6%/前年比▲2.3%)
○20:00   12月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比1.5%)
○21:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:00   12月ブラジル小売売上高指数(予想:前年同月比3.5%)
○21:00   12月インド鉱工業生産(予想:前年同月比1.8%)
○22:30   ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
○24:00   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、米上院銀行委員会で証言
○13日00:30   EIA週間在庫統計
○13日03:00   米財務省、10年債入札
○13日04:00   1月米月次財政収支(予想:115億ドルの赤字)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

カテゴリー

カレンダー

4月 2024
« 1月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ページの先頭へ