FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価は大幅下落:肺炎拡大や本邦企業の決算失望で売り優勢

米国株が後半に失速してFOMCの内容が失望と受け止められたことから売り優勢の展開となった。開始早々に下げ幅を3桁に広げた。安く始まった後の戻りも鈍く新型肺炎の日本人への感染ニュースや、日本企業の決算失望、今後の日米企業の決算発表に対する警戒感などから、売り優勢の展開となった。結局、前営業日比401円安の2万②9⑦7円と大幅反落して終了した。

 

東京外国為替市場:リスク回避でも108円後半でもみ合う展開

ドル/円は、中国の武漢から帰国した日本人3名が新型コロナウイルスに感染していたため、リスク回避の円買いが強まり108.87円まで軟化した。日経平均株価の大幅反落や米長期金利が低下したことも、ドル売り・円買いを誘った。午後もこの流れが続き、日経平均株価が心理的節目の2万3000円を割り込むと、さらにドル売り・円買いが進んで108.84円近辺まで下落した。しかし、27日に付けた108.73円が下値目処として意識されると、下げは一服した。その後は108.90円を挟んで小動きとなった。ユーロ/ドルは1.1015ドル前後でこう着相場となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

中国の成長率はウイルス感染拡大で5%かそれ以下の可能性も

 政府系シンクタンク中国社会科学院のエコノミスト、張明氏は、新型コロナウイルスの感染拡大で中国の経済成長率が5%かそれ以下に鈍化する可能性があり、政府が追加の景気刺激策を強いられる可能性があるとの見方を示した。29日発行の経済誌『財経』が報じた。

米中貿易摩擦の激化により、中国の景気鈍化は欧州にも多大な影響を与えることが判明した。そのため、ウイルスの感染拡大や解決に時間がかかり中国景気減速が鮮明にあると、欧州景気鈍化の思惑からユーロ売りが強まる可能性がある。

 

新型ウイルスの感染者は数万人の可能性も

米ノースイースタン大学のアレサンドロ・ベスピニャーニ教授は、『翌週または翌月に終わるようなものではない』と指摘している。疫学者らに先のことは分からない。昨年12月に出現した新型ウイルスについても、断片的な情報しかない。また、国際感染症学会で新型ウイルスに関する分析を発表した、カナダ・トロント大学のデービッド・フィスマン教授は、『知れば知るほど、重症急性呼吸器症候群(SARS)に似ているように思われる』と明かしている。『SARSは制御可能だった。恐らくはこれ(新型ウイルス)も制御可能だろう。だが今後数週間は分からない』『何週間、もしかしたら数か月かもしれない。どこまでいくか誰にも分からない」と、フィスマン教授は話している。

中国における公式な感染者数は4000人以上で、死者数は100人以上とされているが、ベスピニャーニ教授は、ノースイースタン大などの研究班の分析を基に、感染者数は現在確認されていない人も含めると、2万5000人以上ではないかという見方を示している。

 

他国と比べるとザル過ぎる本邦のウイルス対策

フランス、英国、韓国は中国武漢からの帰国者に対して2週間隔離することになっている。また、豪州にいたっては、インド洋にあるクリスマス島に帰国者を一定の期間隔離すると、モリソン豪首相が発表した。そして、北朝鮮でさえ潜伏期間以上の1ヵ月にわたっての隔離と報道されている。一方日本では、29日に武漢から帰国した邦人は症状のない人は検診後、2週間自宅待機を要請している。その期間は体温を毎日測ったり、咳などの症状がないか健康状態に注意したりするよう依頼している。このような対応では、新たな感染拡大の可能性は否定できないと思われる。一部ヘッジファンドなどからは『日本政府が武漢から帰国させた日本人をきちんと管理できないなど、コロナウイルスに対する政策がザル過ぎる』ことに驚きを隠せない様子。『こんな状況が続くようであれば、取引自身を控えざるをえない』と真剣に憂慮する声も聞こえてきている。

 

FOMCとパウエル米FRB議長会見ではハト派内容

米連邦準備制度理事会(FRB)は連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を1.50-1.75%に据え置くことを決定した。市場の予想通りとなった。超過準備預金金利は予想外に5ベーシス引上げ1.6%とした。
声明では景気やインフレ判断を据え置いたが、消費の判断を若干引き下げた。政策は適切とし、世界の展開を引き続き監視していくとした。
パウエルFRB議長の会見で、短期証券購入を少なくとも4月まで継続し、いずれはペースを緩めるとした。短期金融市場を監視していく方針を維持した。新型肺炎に関しては『深刻な問題』で中国やおそらく世界の活動を抑制する可能性が強いとし、中国経済に短期的な影響がでるだろうと指摘した。しかし、ウィルスがどのように世界経済に影響するかを判断するのは『時期尚早』とし、『FRBは新型肺炎感染拡大の状況を注意深く監視していく』との言及にとどめた。

米連邦準備制度理事会(FRB)は当面政策金利を据え置く方針を修正する意向がないととらえられている。また、消費判断が引き下げられたことや、パウエルFRB議長が『不透明性が残る』と慎重な姿勢を示したため、次回の行動は依然『利下げ』ととらえられる。

 

米国市場では10-12月期国内総生産(GDP)速報値を公表

参考となるアトランタ連銀の経済予測モデル『GDP Now』の試算(1月17日時点)では、前期比年率+1.8%とされている。12月分の経済指標の一部はやや改善していることから、予測モデルの成長率予想を多少上回る可能性がある。

 

欧米イベント

○15:00   12月南アフリカマネーサプライM3(予想:前年比7.50%)
○16:00頃  雨宮正佳日銀副総裁、講演
○17:00   1月スイスKOF景気先行指数(予想:97.0)
○17:55   1月独雇用統計(予想:失業率5.0%/失業者数変化5000人)
○18:30   12月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.2%/前年比3.4%)
○19:00   1月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲8.1)
○19:00   1月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:101.8)
○19:00   12月ユーロ圏失業率(予想:7.5%)
○21:00   10-12月期メキシコ国内総生産(GDP)速報値(予想:前期比▲0.2%/前年同期比▲0.5%)
○21:00   英中銀金融政策委員会(MPC)2日目、終了後政策金利発表(予想:0.75%で据え置き、資産買取プログラムは4350億ポンドで維持)
○21:00   MPC議事要旨
○21:00   英中銀イングランド銀行、四半期ごとの物価報告(インフレリポート)
○21:30   カーニー英中銀(BOE)総裁、記者会見
○22:00   1月独CPI速報値(予想:前月比▲0.6%/前年比1.7%)
○22:30   10-12月期米GDP速報値(予想:前期比年率2.1%)
           個人消費(速報値、予想:前期比2.0%)
           コアPCE(速報値、予想:前期比1.7%)
○22:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.5万件/173.3万人)
○30日03:00   バイトマン独連銀総裁、講演

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