FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:高値警戒感から上値の重い展開

前日の米国株高を好感した買いや、朝方はSQ算出に絡む買い注文も加わり、上昇して始まった。しかし、3連休を控えていることや、高値警戒感から伸びを欠いた動きとなった。年末にもたついた水準まで戻したが、日経平均で2万4000円レベルでは重いとの印象があり、上値を積極的に買う様子はなかった。結局、前営業日比110円高の2万3850円と続伸して終了した。また、日経平均のSQ(特別清算指数)値は2万3857.19円となった。

 

東京外国為替市場:全般リスク選好の円売りが若干優勢

ドル/円は、国内輸入企業などのドル買い・円売りや日経平均株価の続伸に支えられ、109.58円まで上昇した。米中通商交渉が進展するとの期待が高まっていることも、リスク選好の円売りを誘った。しかし、中東情勢の先行き不透明感が強まっているため、上値を追う動きは限られた。その後は、週末を控えた利益確定や持ち高調整などのドル売り・円買いも見られ、109.50円近辺まで下落した。午後は日経平均株価や上海総合株価指数の動向をにらみながら、109.50円台を中心とした狭い値幅で取引された。ユーロ/ドルは1.1110ドル前後でこう着した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

今年の世界経済成長は2.5%:世界銀行

世界銀行が8日に発表した最新の世界経済見通し(GEP)を報じている。GEPは2020年の世界成長率予測を2.5%とし、昨年6月時点での予想から0.2ポイント下方修正した。19年成長の2.4%からは緩やかながらも上向きだが、同年の成長率はここ10年で最低水準とされている。 世界経済のリード役である米中の成長率は、米国が1.8%と前回予測から0.1%上方修正の一方、中国が5.9%と0.2%下方修正された。中国においては、(第1段階の合意はなされたものの)米国との貿易摩擦が、内需の弱含みとともに成長の足かせとなっている。

 

急速に積み上がる世界の債務拡大

低金利を背景に2010年から始まった世界の債務拡大の波は、1970年代から数えると第4波目となる。第1波が1970年から1989年、第2波が1990年から2001年、そして第3波が2002年から2009年だ。そして波の最後には、世界的な金融危機に辿り着いた。4波目の今回、前3波と比べると『最大で最速、そして広範囲に及ぶ債務増加』とされている。2018年、世界債務の合計は世界GDPの2.3倍と過去最高に達し、そのなかでも新興・途上国の債務伸び率(2010年と比較すると54%)が危惧されている。れらの国々が陥りやすい問題、『対外債務比率が多いにもかかわらず外貨準備高が少なく、持続不可能なマクロ経済政策にくわえて構造・制度的な弱さ』が指摘される。国際金融協会(IIF)の調査によれば、19年上半期までで世界全体の債務残高は約250兆9000億ドルまで膨れ上がった。1ドル=110円換算とすると約2京7600兆円になる。

 

イランは対米戦争など望むべくもない理由

市場を席捲した米国とイランの緊張は、威嚇応酬は続くとしても、イランは対米戦争など望むべくもなく、1)インフレ率35%の疲弊した経済にあって国民経済を犠牲に本格的な軍事行動は不可能であり、2)何より殺害された司令官は実は『ならず者シーア派テロリスト』と疎まれ報復の代償は大きすぎるなど2つの理由から中東地政学リスクの短期収斂を想定している。確かに、同司令官は、最高指導者ハメネイ師直轄イラン革命防衛隊で対外工作を担う『コッズ部隊』を率い、イラクやシリア等のイスラム教スンニ派の過激派組織『イスラム国』(IS)掃討作戦を指揮、近年のイランの中東での影響力拡大の立役者でありロシア訪問時にはプーチン大統領が面会に応じた大物だった。しかし、イラクでIS掃討を口実に内政介入を強めてきたイランに生活苦を訴える反政府デモの怒りの矛先が向けられ『独立愚連隊』と揶揄されるなど革命防衛隊の影響力に陰りが出ていた。


 

米中は貿易第1段階協定を来週署名で米景気見通し改善

中国商務省は劉副首相が第1段階合意署名 のため1月13日から15日に交渉団を率いて訪米すると発表した。これより前、トランプ大統領はすでに『米中貿易部分協定は合意しており、15日に署名する』と表明していたものの、中国側の正式発表がなかったため、米中部分貿易合意の行方に懐疑的見方も広がっていた。中国の発表で正式な合意成立がより確実となった。

中東情勢の緊迫化やトランプ大統領に対する弾劾へのリスクがくすぶるが、引き続き強い米国の労働市場や貿易協議の進展で少なくとも追加関税が避けられる見通しがたったため、製造業や企業の設備投資の低迷が少なくとも一段の悪化を回避可能と見られ、米国経済の成長を助ける。
第1段階貿易協定の合意により中国は米農産物の購入を500億ドル規模に増やす。一方、米国は昨年12月15日に計画されていた1560億ドル規模の中国消費関連の製品を対象とした新たな関税を見送り、さらに1200億ドル規模の中国輸入品に対する15%関税を半分に引き下げる。

 

欧米イベント

○15:45   12月スイス失業率(季節調整前、予想:2.4%)
○16:00   12月ノルウェー消費者物価指数(CPI、予想:前月比▲0.1%/前年比1.5%)
○16:00   10月トルコ失業率
○16:45   11月仏鉱工業生産指数(予想:前月比0.1%)
○18:30   テンレイロ英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○21:00   11月インド鉱工業生産(予想:前年同月比▲0.6%)
○21:00   12月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前月比1.08%)
○21:00   11月メキシコ鉱工業生産(季調済、予想:前月比1.0%)
○22:00   12月ロシアCPI(確報値、予想:前月比0.4%)
○22:30   12月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化2.50万人/失業率5.8%)
○22:30   12月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化16.4万人/失業率3.5%/平均時給、前月比0.3%/前年比3.1%)
○24:00   11月米卸売在庫(予想:前月比0.1%)
○24:00   11月米卸売売上高(予想:前月比0.2%)

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