FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:中東情勢の緊迫化後退でリスク選好の買い優勢

懸念されていた中東情勢の緊迫化は、前日のイランによる攻撃が象徴的なものにとどまった印象がある一方、トランプ米大統領が軍事力行使の必要性を拒否したことで、リスクオフのムードが一気に後退した。また、円安が急速に進んだことが好感され、輸出関連株を中心に全面高の様相を呈した。結局、前日比535円高の2万③⑦39円と大幅反発で終了した。

 

東京外国為替市場:リスク選好の円売り優勢

ドル/円は、国内輸入企業などのドル買い・円売りや日経平均株価の大幅高に支えられ109.25円近辺まで上昇した。米国とイランの軍事衝突は回避されるとの見方が広がっていることも、リスク選好の円売りを誘った。しかし、前日の欧米市場から一歩雲長氏の上げが続いたため、上値では利益確定売や戻り待ちのドル売り・円買いも見られ、109.20円前後でもみ合った。午後に入っても、109.20円台を中心とした狭い値幅でのもみ合いが続いた。ユーロ/ドルは1.1115ドル前後でこう着した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

世界の成長率は2019年は金融危機以降最低の伸び

世界銀行は8日発表した経済見通しで、2020年の世界の成長率を2.5%と予測した。米中貿易協議『第1段階の合意』でリスクが後退したことを受け、19年の2.4%からわずかに加速すると予想した。ただ主要国の景気回復が鈍く、19年6月公表の前回予測から0.2ポイント下方修正した。日本の成長見通しは0.7%に据え置いた。
21年は2.6%、22年は2.7%と緩やかな回復を見込む。19年はリーマン・ショック後にマイナス成長に陥った09年以来の低い伸びにとどまる。

 

 

中国側からも米国との第1段階合意に向けて準備を進めていると伝わる

『環球時報』の胡錫進編集長はこのほど、ツイッターを通じて、中国が「第1段階合意」の署名に向けて米国と積極的に準備を進めていることを明らかにした。
胡氏は官製メディアの代表的な人物として知られ、同氏の発言に対する国内外での注目度は高い。これまでの報道によると、中国の劉鶴副首相は今月13日に米国を訪問し、15日にホワイトハウスで合意書の署名を行う予定となっている。一方、中国当局はこれまでのところ、署名の日程について説明を行っていない。

 

イスラエルが攻撃されれば大規模紛争に至る懸念

イラン革命防衛隊は8日、国営メディアを通じて『シオニスト体制(イスラエル)は犯罪国家の米国と一体だ』とし、攻撃対象に含まれると示唆した。イスラム教シーア派大国のイランはパレスチナ問題の原因を作ったとして米の同盟国イスラエルを敵視し、周辺国の民兵組織と連携して『シーア派の弧』と呼ばれる親イラン勢力を構築してきた。イスラエルが攻撃されれば米国を巻き込む大規模紛争に至る懸念がある。
イラク、シリアをへてレバノンに至る親イラン勢力のネットワークが『シーア派の弧』だ。革命防衛隊の元司令官は昨年、取材に対し、この戦略について、『周辺国の民兵組織支援はイランの安全保障戦略の根幹だ。イランが攻撃にさらされればこうした組織が米軍やイスラエルを襲撃する』と語っていた。イランは特にイスラエルに隣接するシリアとレバノンに布石を打ってきた。

 

中東情勢悪化での原油高はトルコ経済の悪化の懸念

一昨年のトルコは、対米関係の悪化によるリラ相場の暴落やインフレ昂進を受け、中銀は大幅利上げに追い込まれた。しかし、昨年は米FRBの『予防的利下げ』も追い風にリラ相場は安定し、インフレ鈍化を受けて一転大幅利下げに動いた。昨年末以降、エルドアン大統領は度々今年の政策金利を一桁台にすべく、中銀に利下げ実施への圧力を掛けてきた。ただし、インフレ率は昨秋に一時的に一桁台に鈍化するも、足下では再び加速感を強めている。 対米関係悪化の火種も残るなか、中東情勢悪化による原油高で経済のファンダメンタルズ悪化も懸念される。同国は『世界10大リスク』に挙げられており、中東情勢が同国を一段と危うい方向に誘うリスクも要注意だ。

 

1月10日の12月米国雇用統計:強い労働市場が継続するとの見通し

市場エコノミストは平均予想で、失業率が3.5%と50年来の低水準を維持、非農業部門雇用者数は前月比+16万人と、11月の+26.6万人から伸び鈍化するものの、健全な伸びが継続すると予想している。
先行指標の中で、米労働省が発表する雇用統計と最も相関性が強いとされる民間部門の雇用者数を示すADP雇用統計の12月分は前月比+20.2万人と、予想外に4月来の20万人台の増加となった。11月分も6.6万人から12.4万人に上方修正されており、雇用統計にも期待が集まる。強い労働市場は賃金の上昇に繋がり消費を押し上げ、2020年の米国経済の成長を引き続き支援していくことになりドル支援材料となる。現在の地政学的リスクが長期化、深刻化しない限り、米連邦準備制度理事会(FRB)も2020年を通じて政策金利を据え置くと見られる。


欧米市場のイベント

○16:00   11月独貿易収支(予想:213億ユーロの黒字)
○16:00   11月独経常収支(予想:238億ユーロの黒字)
○16:00   11月独鉱工業生産(予想:前月比0.7%/前年同月比▲3.7%)
○16:30   11月スイス小売売上高
○18:30   カーニー英中銀(BOE)総裁、講演
○19:00   11月ユーロ圏失業率(予想:7.5%)
○21:00   12月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.51%)
○22:00   クラリダ米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○22:15   12月カナダ住宅着工件数(予想:21.00万件)
○22:30   11月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比1.0%)
○22:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22.0万件/172.0万人)
○23:30   カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
○10日01:30   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○10日02:00   ビルロワ・フランス中銀総裁、講演
○10日02:45   バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○10日03:00   米財務省、30年債入札
○10日03:00   シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○10日03:20   エバンズ米シカゴ連銀総裁、講演
○10日03:45   ポロズ・カナダ銀行(中央銀行、BOC)総裁、講演
○10日04:00   ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
○10日04:10   バイトマン独連銀総裁、講演
〇英下院、欧州連合(EU)離脱関連法案の採決

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