FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:中東情勢悪化懸念から売り優勢

イランがイラク領内の米軍基地を空爆したとのニュースを受け、朝方の為替市場でドルが一時107.60円近辺まで円高が進むと、株式市場も朝方から全面安の展開となった。ただ、イラン外相が『報復は一旦終了した』とツイッター投稿し中東情勢悪化懸念が後退してドル/円が買い戻されると、日経平均先物にショートカバーが入り下げ幅を縮小した。結局、前日比370円安の2万3204円と大幅反落して終了した。

 

東京外国為替市場:リスク回避の円買いも一巡すると買い戻し

ドル/円は、イランがイラクの米軍基地を攻撃したことを背景に一時107.60円近辺まで急落し、約3か月ぶりの安値をつけた。日経平均株価の下げ幅が一時600円を超えたこともあり、リスク回避の円買いに拍車をかけた。しかし、一部海外メディアが『イランは米国の報復がない場合は、これ以上の攻撃は行わない』と報じると、短期筋などからショートカバーが持ち込まれ、108.20円近辺へ値を戻した。その後も、イランと米国の軍事衝突は回避されるとの思惑から、さらにドル買い・円売りが進み、108.40円台へ急反発する荒い値動きとなった。午後は、日経平均株価や米長期金利の動向をにらみながら108.30円台を中心とした狭い値幅でもみ合いとなった。イランの報復に関する報復に関する米政府の対応を見極めたいとのムードが強く、積極的な売り買いは手控えられた。ユーロ/ドルは中東の地政学リスクが警戒されているため、有事のドル買いが優勢となり、1.11ドル台半ばの安値圏で推移した。

 

本日のイランによるミサイル攻撃と市場動向の流れ

朝方から慌ただしい市場となった。NY市場引け際には『イラクの米軍基地がイランのミサイル攻撃を受けた』と報じられると円高基調となり、一時108.35円まで円高が進んだものの、その直後に『サイレンのテストをしただけだった』ことが分かり108.52円近辺まで買い戻される展開となった。しかし、その1時間後には再び『イラクの別の米軍基地がイランのミサイル攻撃を受けた』ことが伝わった。今度はフェイクニュースではなく、イラン側からも『攻撃した』ことが表明されたほか、数十発に上るミサイルやロケットが2か所の米軍基地に着弾した状況が伝わってきた。市場は当然のようにリスクオフの動きとなった。
 CNNがシチュエーションルームに入ったトランプ米大統領が『今夜にも国民向けに演説する』とのフェイクニュースを流すと、『演説後に本格的な開戦』との思惑が急速に台頭することになった。また、かなり過剰な反応を示したのが米10年債で利回りは一時1.7032%まで急低下した。ただ、その後はイランから『米国からの報復がなければこれ以上の攻撃はしない』ことが伝わったほか、ホワイトハウスからは正式に『トランプ米大統領は今夜演説をしない』ことが発表されると、一斉に買い戻の動きになった。

エスパー国防長官もシチュエーションルームを後にして帰宅の途についたことが報じられるなか、最後はトランプ米大統領が『全く問題ない。イランから2か所にミサイル攻撃を受けたが、被害状況などは今確認しているところだ。米国は世界中に強固な軍事施設を持っている。これまでのところ大丈夫だ。明日の朝、会見する』とかなりの余裕ツイートとなると、108.46円近辺まで全戻しの状態となった。 

 

米国とイランの対立激化はトルコリア売りにつながる

イランと米国の対立激化への懸念が高まるなか、イランの隣国であり、(核兵器が配備されている)米空軍基地もあるトルコが紛争に巻き込まれるとの警戒感も強い。中東の緊張が緩和されない限りは、トルコの通貨リラを積極的に買う地合いにはなりにくい。

 

イランのミサイルによる米軍の死傷者は確認されず

アメリカ国防総省は、イランが、イラクに駐留するアメリカ軍の拠点をねらって十数発の弾道ミサイルを発射したと明らかにした。イラン側は、アメリカ軍が精鋭部隊の司令官を殺害したことへの報復だとしている。アメリカの複数のメディアは、政府関係者の話として、これまでのところ今回のイランからの攻撃によるアメリカ軍兵士の犠牲者は確認されていないと伝えている。

 

米国経済は順調に成長していることを裏付ける結果

米供給管理協会(ISM)が発表した12月ISM非製造業景況指数は55.0と、11月の53.9から予想以上に上昇し8月来最高となった。予想外に10年ぶり低水準に落ち込んだISM製造業指数とは対照的な結果となった。ただ、2019年通年の平均は55.5にとどまり3年ぶり低水準で、2018年の58.9から低下した。また、項目別では主要項目となる新規受注が54.9と、11月57.1や6カ月平均56を下回った。サービス業の雇用も50を上回ったものの55.5から55.2へ低下し雇用拡大ペースの鈍化を示唆した。輸入も48.0と、4カ月連続で50を下回った。 同時に、米国経済の7割を消費が占めるためサービス業が予想通りに拡大したことは順調な成長を裏付ける結果となった。

 

トランプ大統領の貿易赤字是正策が奏功して赤字額は減少

米商務省が発表した11月貿易収支は431億ドルの赤字となった。赤字幅は予想436億ドルを下回り10月469億ドルから縮小した。2017年2月以降3年ぶり最小となった。輸出の増加が赤字縮小につながった。対中は輸入が減少したため6年ぶり低水準となった。トランプ大統領の貿易赤字是正策が奏功した形が現れた。

 

欧米イベント
○16:00   11月独製造業新規受注(予想:前月比0.3%/前年同月比▲4.7%)
○16:45   12月仏消費者信頼感指数(予想:104)
○16:45   11月仏貿易収支(予想:50億ユーロの赤字)
○16:45   11月仏経常収支
○19:00   12月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲8.1)
○19:00   12月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:101.4)
○未定   ポーランド中銀、政策金利発表(予想:1.50%で据え置き)
○21:00   MBA住宅ローン申請指数(2週分)
○22:00   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○22:15   12月ADP全米雇用報告(予想:16.0万人)
○24:00   ブレイナード米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○9日00:30   EIA週間在庫統計
○9日03:00   米財務省、10年債入札
○9日05:00   11月米消費者信用残高(予想:150億ドル)
○ロシア(新年休暇)、休場

 

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