★日経平均株価:利益確定売りで上値の重い展開継続
前日の米国株がほぼ横ばいで取引を終えるなど全体的に手掛かり材料に乏しい中、利益確定売りが優勢となった。午前10時半前に、米下院がトランプ大統領の弾劾訴追決議案可決したと伝わるとやや下げ幅を拡大した。結局、前日比69円安の2万3864円と続落して終了した。
★東京外国為替市場:109円台半ばでもみ合う展開
ドル/円は、国内輸入企業などのドル買い・円売りに支えられ、109.68円付近まで上昇した。日経平均株価がマイナス圏から一時プラス圏へ転じたことも、円売り誘った。しかし、2日につけた109.73円が上値の目処として意識されると上げは一服、109.65円を挟んでもみ合う展開となった。その後、複数のメディアが『米下院は、トランプ米大統領の弾劾訴追決議案を可決した』と報じられると、持ち高調整などのドル売り・円買いが入り、109.55円近辺へ押し戻された。日銀金融政策決定会合の結果が発表されたが、予想通りの内容だったため、市場の反応は限られた。午後は、日経平均株価や米長期金利の動向をにらみながら、109.50円台を中心とした狭いレンジでもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、1.11ドル台前半で小動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。
★トランプ大統領への弾劾決議が可決されたが反応薄
米議会下院本会議で18日にトランプ大統領の弾劾決議が採決された。民主党議員から一部造反が出たことが若干注目されたが、市場では上院で弾劾が成立する可能性が低いことから、相場への影響としては年末年始の短期市場の混乱回避に伴うFRBの資金供給対応に関心が高い。なお、トランプ氏の弾劾に関しては年明け後の一般教書演説や来秋の米議会下院選挙などへの影響が見込まれている。
米下院でトランプ米大統領のウクライナ疑惑をめぐる弾劾訴追決議案で、大統領の議会妨害に対する採決が行われ、過半数216票に達した。現時点での投票推移は下記のようになる。
賛成 218 (民主党217、独立派1)
反対 161 (民主党3、共和党158)
★中国の次はEUとの通商交渉
通商交渉の時間はかかったものの、中国と『第1段階の合意』に達したトランプ米政権は、今後はEUに対しても圧力を強める。17日にライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は、EUとの積み上がった貿易赤字の削減に向けて、同地域からの輸入製品に対する関税引上げの可能性を示唆した。USTR代表によれば、米国の対EU貿易赤字は、18年1690億ドルから19年には1800億ドルに増加する。 米国による関税引き上げは、以前から批判の的となっていた航空機大手エアバスへの補助金を巡り、75億ドル相当のEU製品がまずは対象となる。米航空機大手であるボーイングが今週、2度の墜落事故を起こした737MAXの来年1月からの生産停止を発表した。今後、米国が航空機業界でのパワーバランスを維持するためにも、エアバスの余分なシェア拡大はぜひとも防ぎたい、ということもある。
★FRB当局者は米経済の道筋は良好という認識
米連邦準備理事会(FRB)当局者2人は18日、今年実施した3回の利下げを踏まえ、米経済の道筋は良好という認識を示し、FRBが金利を当面据え置く姿勢に傾いている実態が改めて浮き彫りになった。米シカゴ地区連銀のエバンズ総裁は18日、FRB活力のある労働市場や消費動向を背景に米経済は『際立って堅調』との認識を示した。しかし、インフレは依然として懸念すべき低水準にあると述べた。 ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は、景気支援に向けてFRBの金融政策は良好な状況にあるとし、2020年について楽観的な見通しを示した。 ウィリアムズ総裁はCNBCとのインタビューで『今年の米経済の進展を非常に満足に感じており、来年の動向についても自信を持っている』と語った。来年の米成長率見通しは約2%とし、失業率は3.5%近辺にとどまり、インフレ率はFRBの目標である2%に近づくと予想した。
★トランプ政権はトルコのアルメニア・ジュノサイドは認定せず
米上院は先週、20世紀前半に(トルコの前身)オスマン帝国が多数のアルメニア人を殺害した事件を、『ジュノサイド(民族虐殺・集団殺害)』と認定する決議案を全会一致で可決した。下院は10月に同様の決議案を可決していたが、11月にエルドアン・トルコ大統領が訪米したこともあり、上院は決議案採決を先延ばしにしてきた。ただ、米議会の可決にもかかわらずトランプ米政権は17日、アルメニア人に対する殺害行為を『ジュノサイド』とみなさないことを表明した。今年4月24日(追悼の日)にトランプ大統領は書面による声明で、『大規模な残虐行為』としながらも、ジュノサイドであるという主張を認める表現は避けた。今回も、4月の立場から変わらないことが確認された。トランプ米大統領はこのところ、トルコに対しては『おとなしめ』の姿勢をとっている。エルドアン・トルコ大統領がとった強気の態度、同国内の米軍基地(核弾頭も配備されている)の閉鎖も辞さない、というのも効いた可能性がある。今後の注目はやはり、発動への懸念が高まる米国による対トルコ経済制裁について、トランプ大統領の行動が注目される。
★欧米イベント
○15:30 黒田日銀総裁、定例記者会見
○16:45 12月仏企業景況感指数(予想:104)
○17:30 スウェーデン中銀、政策金利発表(予想:0.00%に引き上げ)
○18:00 ノルウェー中銀、政策金利発表(予想:1.50%で据え置き)
○18:30 11月英小売売上高(自動車燃料含む、予想:前月比0.3%/前年比2.1%)
英小売売上高指数(自動車燃料除く、予想:前月比0.3%/前年比1.9%)
○21:00 英中銀金融政策委員会(MPC)2日目、終了後政策金利発表(予想:0.75%で据え置き、資産買取プログラムは4350億ポンドで維持)
○21:00 MPC議事要旨
○22:30 10月カナダ卸売売上高(予想:前月比▲0.1%)
○22:30 7-9月期米経常収支(予想:1221億ドルの赤字)
○22:30 12月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:8.0)
○22:30 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22.5万件/168.1万人)
○24:00 11月米景気先行指標総合指数(予想:前月比0.1%)
○24:00 11月米中古住宅販売件数(予想:前月比▲0.2%/年率換算544万件)
○20日04:00 メキシコ中銀、政策金利発表(予想:7.25%に引き下げ)
○米財務省2年、5年、7年債入札条件
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