FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:リスク選好の買いの動きが強まった

米国は中国との通商協議で、発動済みの対中関税を停止あるいは引き下げ、今月15日に予定する1600憶ドル相当の中国製品に対する追加関税の発動を延期することで合意したと伝わり、リスク選好の動きが強まった。寄り付きで年初来高値を更新した後、上げ幅を拡大した。結局、前日比598円高の2万4023円と大幅続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:リスク選好の円売り優勢

ドル/円は、一部海外メディアによる『英総選挙の出口調査で、与党・保守党が過半数を大幅に上回る勢い』との報道を好感したドル買い・円売りが優勢だった。15日期限の米国による対中制裁発動『第4弾』が回避される見通しとなったことも、リスク選好の円売りを誘った。東京市場でもこの流れは続き、国内輸入企業などのドル買い・円売りや日経平均株価の大幅高に支えられ、109.55円付近へじり高となった。午後は、日経平均株価の一段高をながめ、109.63円付近まで値を上げた。ユーロ/ドルは1.1175ドル前後で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

18-19日の日銀金融政策決定会合では現状維持を予想

日銀は18、19日に開く金融政策決定会合で現行の超低金利政策を維持する公算が大きい。米中貿易戦争激化への懸念が和らぎ、外国為替市場も円安基調で推移していることも理由となる。当面は10月の消費税増税が経済に与える影響を見極める方針となっている。日銀は10月の前回会合で政策金利の先行きを予告するフォワードガイダンス(先行き指針)を修正し、今後の景気動向次第でマイナス金利の深掘りを辞さない姿勢を明確化した。消費税増税の影響で小売りなどの売り上げは10月に落ち込んだが、日銀内では『想定より大きな影響は出ていない』との見方が主流となっている。

 

米朝関係悪化懸念高まる:米国の弾道ミサイル発射実験

米国防総省は、地上配備型の弾道ミサイルの発射実験に成功したと発表した。8月に失効した米露の中距離核戦力(INF)廃棄条約が禁止していたミサイルの開発を本格化させた。トランプ政権はINFをアジアに配備したい考えを示しており、中国やロシアが反発するのは確実となっている。

米統合参謀本部のライダー報道官は、会見で『北朝鮮が非核化を実行し、核実験や長距離ミサイルの発射を行わないとした約束を守るよう願っている』と述べ、北朝鮮に対して、新たな挑発に踏み切らないよう自制を求めた。そのうえで『我々は北朝鮮の発言を真剣に受け止め韓国軍とともに、脅威に備えた適切な防衛体制をとっている』と述べ、備えは万全だと強調している。

朝鮮中央通信は、北朝鮮外務省報道官が、米国による国連安全保障理事会での弾道ミサイル発射を安保理決議違反けん制に対し、『敵対的な挑発行為を行った』と反発した。米国が安保理を主導し、北朝鮮に対する圧力を強化する雰囲気を高めていると非難したうえで、『米国の行動は絶対に黙って見過ごさない』と恫喝している。

 

米ハーバード大教授が朝鮮半島の地政学リスクを警告

政治学者でクリントン政権の国防次官補を務めたグレアム・アリソン米ハーバード大教授は12日、日本アカデメイア第1回『東京会議』で、米国との対立が深まる北朝鮮の核ミサイル問題をめぐり『第2次朝鮮戦争が起きる可能性が高まっている』と警告した。アリソン氏は情勢を『非常に危険な展開』と指摘した。年末を期限に米側に制裁解除など譲歩を迫る金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が今後数週間以内に何らかの方針を発するとの見通しを示した。
北朝鮮が米本土の脅威となる大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射や核実験を続けた2017年11月までの状態に復帰した場合、トランプ米大統領がミサイル発射台破壊など軍事攻撃を命じる用意があると指摘した。『第2次朝鮮戦争』に進む確率は『50%以上ではないが、かなり大きな可能性がある』と語った。
仏思想家・経済学者のジャック・アタリ氏も『北朝鮮は来年の大問題になる。どこまでもしたいことをさせると核不拡散の終わりとなる』と危機感を示した。

 

米国は物価圧力高まらずに成長維持:不健全になる可能性に懸念

米国の最新11月の消費者物価指数(CPI)は、前月比+0.3%と10月の+0.4%から低下した。前年比では+2.1%と1年ぶり高水準に達した。ただ、連邦準備制度理事会(FRB)がより注視している変動の激しい燃料や食品を除いたコアCPIは前月比+0.2%、前年比+2.3%で10月と同水準を維持した。
11月生産者物価指数(PPI)は前月比横ばいと、10月+0.4%から低下した。前年比では+1.1%と、上昇予想に反して10月と同水準にとどまった。コアPPIは前月比-0.2%と、予想外に9月来のマイナスに再び落ち込んだ。また、前年比では前年比+1.3%と、上昇予想に反して10月+1.6%から低下し、2017年2月以降ほぼ3年近くぶりの低水準を記録するなど冴えない。食料品やガソリン価格の上昇も、サービスコストの低下と相殺された形。関税による物価への影響も見られない。
パウエル議長は物価圧力が高まらずに成長が維持されることは『良いことだ』とする一方で、2%以下にとどまるインフレが『不健全になる可能性もある』と懸念も表明している。

 

米国市場では11月小売売上高を公表

10月実績は前月比+0.3%だった。自動車ディーラーやガソリンスタンドは好調だったが、衣料や家具の売上は低調だった。11月については、主要13項目のうち半数程度が減少する可能性があるものの、雇用情勢に大きな変化ないことから、売上高は10月実績と同水準か、やや上回る可能性がある。

 

欧米イベント

○16:00   11月独卸売物価指数(WPI)
○16:00   10月トルコ鉱工業生産
○17:00   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○17:30   ビルロワ・フランス中銀総裁、講演
○19:30   ロシア中銀、政策金利発表(予想:6.25%に引き下げ)
○22:30   11月米輸入物価指数(予想:前月比0.2%)
○22:30   11月米小売売上高(予想:前月比0.5%/自動車を除く前月比0.4%)
○24:00   10月米企業在庫(予想:前月比0.2%)
○14日01:00   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演

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