FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価は:米国株高や経済対策期待から買い優勢

米国市場はトランプ米大統領の発言に一喜一憂しているが、前日は米国株高となったことやドル/円の持ち直しを好感し、朝方から買いが先行した。さらに、国内の経済対策に対する基地あも支えとなり、上げ幅を200円超に拡大する場面もあったが、追随する買いは入らず、次の材料待ちの展開となった。結局、前営業日比164円高の2万3300円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:108円台後半でもみ合う展開

ドル/円は、米中通商交渉が進展するとの期待からドル買い・円売りが先行し、108.93円付近まで値を上げた。一部メディアが『日本政府が打ち出す経済対策の事業規模は26兆円程度で、財政支出は13.2兆円ほどになる』と報じた。この報道で、日経平均株価が上げ幅をやや拡大したことも、リスク選好の円売りを誘った。ただ、前日の米経済指標で景気先行きに対する楽観的な見方が後退しているため、上値を追う動きは限られた。その後は、利益確定などのドル売り・宴会が入り、108.80円台を中心とした狭い値幅でもみ合う展開となった。午後は、日経平均株価や米長期金利の動向をにらみながら、108.80円前後でもみ合った。ユーロ/ドルは、1.1085ドルを挟んだこう着状態となった。欧州勢待ちの状態となっている。

 

国内生保の米ドル建て資産の半数以上はヘッジ無し運用

国内の生命保険会社が保有する外債投資の為替リスクを回避するためのドルヘッジ比率がここ10年で最低水準となっている。ヘッジコストが割高なまま推移しているうえ、ドル/円相場が値幅の狭い推移を続けていることが背景にある。ブルームバーグの試算によれば、日本の主要生保9社が保有する米ドル建て資産は9月末時点で38兆2000億円規模。そのうち、ドルヘッジを施している資産は17兆7000億円程度で、比率では約46%と少なくとも2009年以降で最低水準に達している。ブルームバーグのデータによると、6カ月物の米ドルのヘッジコストは年率換算2.20%前後で、米30年債利回りとほぼ同水準となっている。このため、ドルのヘッジコストを負担すると、国内投資家による米国債運用利回りはマイナスになりかねない。一方、ヘッジを付けなければ為替が大きく変動しない限りプラスを確保できる公算が大きくなる。

為替市場でボラティリティが高まると、生保が為替ヘッジに動くことになり円高基調が強まる可能性もあるので注意が必要となる。

 

欧州市場では10月ユーロ圏小売売上高が公表

9月実績は前月比+0.1%だった。失業率の低下や賃金の段階的な伸びがユーロ圏の個人消費を支えている。食品・飲料・たばこは減少したが、食料以外の製品はやや増加した。10月については、複数の項目で減少は予想されているが、増加の項目もあることから、前月比横ばいか、やや増加する可能性あると予想される。

 

トランプ大統領はフロリダ州へ移転:税金対策と大統領選に備える

トランプ大統領は、10月末に居住地登録をニューヨーク州からフロリダ州に移した。フロリダ州は個人に所得税を課さない9州の1つであり、フロリダ州パームビーチに有名な別荘マール・ア・ラーゴを持つ大統領は、今回の定住地移転は税金対策だろうとされている。そして加えて、同州が大統領選で重要な州であることも十分に考慮してのことだろう。 米国の大統領選で常に激戦が繰り広げられるフロリダ州は、『勝利した候補者が大統領選を制す』とまで言われている。実際に2016年は共和党、2012年と2008年は民主党(オバマ氏)、2004年と2000年は共和党(ブッシュ氏)が勝利し、全州で3番目に多い選挙人29人を獲得している。

 

今後の米ISM製造業指数次第で株価上昇アノマリーが現実味

1979年以降、米ISM製造業指数が好不況節目『50』を割り込むも政策対応でリセッションを回避したケースが6回あり、いずれも米国株はその後1-2年、上昇トレンドを辿るアノマリーがある。米国の対中関税『第4弾』発動等の米中貿易戦争の激化を受けて米ISM製造業景況指数は8月に49.1と7月の51.2から悪化して節目50を割り込んだ以降、9月が同47.8、10月も同48.3とすでに3ヶ月にわたり50を割り込んだまま低迷してきた。
だが、米中協議の進展など米中『宥和ムード』と米FRBの7月以降3度にわたるpreemptive(予防的)利下げが奏功して逆イールドが解消され、米ISM製造業指数と相関性が強い30日発表の中国11月製造業PMI(購買担当者景気指数)がクリスマス商戦などの受注好調を受けて前月比+0.9ptの50.2と好不況節目50を7ヶ月ぶりに上回った。
これで米ISM製造業指数の11月分もしくは12月分が50台を回復する可能性が高まり、そうなれば過去6回のうち、2015年パターン(ISM製造業50割れ3ヶ月)のリセッション回避年の向こう1年後の株価上昇アノマリーが現実味を帯びる。

 

米国市場では10月貿易収支が公表

9月実績は▲525憶ドルの赤字となった。輸出は▲0.9%の2,060億ドル、輸入は▲1.7%の2,584億ドルだった。輸入額の減少が貿易赤字の縮小に寄与した。10月については中国から輸入額減少が予想されているが、輸出も伸び悩んでいる。ただし、農産物やエネルギー資源の輸出はやや増加する可能性が高いとみられている。

 

欧米市場イベント

○15:15   インド中銀、金融政策決定会合(予想:4.90%に引き下げ)
○16:00   10月独製造業新規受注(予想:前月比0.3%/前年同月比▲4.7%)
○18:00   7-9月期南アフリカ経常収支(予想:1608億ランドの赤字)
○19:00   10月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比▲0.3%/前年比2.2%)
○19:00   7-9月期ユーロ圏域内総生産(GDP)確定値(予想:前期比0.2%/前年比1.2%)
○19:00   マクルーフ・アイルランド中銀総裁、議会証言
○21:30   11月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○22:30   10月カナダ貿易収支(予想:13.7億カナダドルの赤字)
○22:30   10月米貿易収支(予想:487億ドルの赤字)
○22:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.5万件/165.0万人)
○24:00   11月カナダIvey購買部協会景気指数
○24:00   10月米製造業新規受注(予想:前月比0.3%)
○24:00   クオールズ米連邦準備理事会(FRB)副議長、米上院銀行委員会で証言
○米財務省3年、10年、30年債入札条件
○石油輸出国機構(OPEC)総会(ウィーン)

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