FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価は米中対立悪化懸念から売り優勢

米上院が香港人権法案を可決したことに対し、中国が強く反発した。米中対立悪化に対する懸念が高まった。香港ハンセン指数や上海総合指数が軟調に推移したことをながめ、日本でも中国関連株の一角が下げの勢いを強め、下げ幅を一時200円超に拡大した。結局、前日比144円安の2万3148円と続落して終了した。

米上院は、中国が香港に高度の自治を保障する『一国二制度』を守っているかどうか米政府に毎年検証を求める『香港人権・民主主義法案』を全会一致で可決した。下院では既に可決されており、今後上下両院の調整を経た上で、トランプ大統領に送付される。トランプ大統領が同法案を署名する意向かどうかを明らかにしていないものの、中国外務省は米議会の動きを強く非難した。国家の主権と安全保障を守るために必要な措置を取る、と表明した。

 

東京外国為替市場:売り一巡後は108円台半ばでもみ合う展開

ドル/円は、米上院が香港人権・民主主義法案を可決したことについて、中国外務省はこの法案が成立した場合に報復する意向を示した。これを受けて、ドル/円は調整色が強まり、108.36円近辺まで下落した。日経平均株価が急速に下げ幅を拡大したことも、リスク回避のドル買い・円売りに動き108.50円近辺まで切り返した。午後は、日経平均株価や上海総合株価をにらみながら、108.50円を挟んでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、1.1075ドル前後でこう着相場となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

日経平均動向は火曜日が重要日

大和証券の20日付けリポートで『積極的に日本株を買っていた海外投資家の買いが一服した可能性がある』との見方を示した。それは、19日(火曜日)に日経平均株価が反落した。これまで、海外勢が日本株を買い越す週は、火曜日に日経平均が大きく上昇していた。海外での週次のアロケーション変更や土曜日、日曜日のインターネットを通じた投信信託への買いが、東京市場の火曜日に反映される可能性が高いため。積極姿勢の後退などを背景に足元で株高は一服しているものの『日本の経済成長率が補正予算で再度上振れするほか、米国の年末商戦の活況さは来週末にも伝えられる。

 

与党・最大野党党首の討論会はほぼ互角の評価

12月の英総選挙を控えて19日、与党・保守党を率いるジョンソン首相と最大野党・労働党のコービン党首が討論会に臨んだ。ジョンソン氏は、英国の欧州連合(EU)からの早期離脱を可能にするのは保守党のみだと強調した。討論会直後に実施した世論調査では、どちらが良かったかとの質問に対して、ジョンソン氏とコービン氏がほぼ互角となった。ジョンソン氏は、EUと合意した新たな離脱協定を議会で通過させ、1月末までに離脱すると表明している。また、今後のEUとの関係において、新たな通商協定の締結に向け2020年中に設けられた期限を守ると確約した。
一方コービン氏は、1月末までに離脱を実現させるとのジョンソン氏の確約は『ナンセンスだ』と批判した。離脱後にEUと長期にわたる通商交渉を余儀なくされるほか、ジョンソン氏は、公的医療保険制度の民営化などを含む、EUがカナダと結んだような通商協定を目指す考えだと指摘した。ジョンソン氏はこれを否定している。

 

大統領のFRBへの追加利下げ要請は発言の矛盾を生む

トランプ米大統領は18日、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長と会談した。会談の詳細な内容は確認できないが、市場参加者の間では『パウエルFRB議長は早い時期に追加利下げを行うことをコミットしていない』との見方が多い。トランプ大統領はパウエル議長との会談後に、ツイッターに『とてもよい議論だった。マイナス金利や金融緩和、貿易問題などすべてを議論した』と投稿している。トランプ大統領は以前から、『米国の金利はドイツや日本と比べて高い』との見方を示しており、今回の会談でもそのことがパウエル議長に直接伝えられたことは間違いないとみられる。現時点で12月開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で、追加利下げが決定される可能性は極めて低いとの見方が一般的だが、米中通商協議に進展がみられない場合、米国経済の先行き不安は高まり、市場の追加利下げ期待は次第に高まる可能性がある。トランプ大統領は、現在の米国経済は良好であるとこれまで何度も述べているが、それが事実だとすれば、FRBに対する追加利下げの要請は自らの発言と矛盾するものであり、金融市場における不確実性を高める一因となる可能性がある。

 

中国政府の『千人計画』が米国との新たな摩擦にも

アメリカ議会上院は、中国政府が海外の優秀な研究者を国内に招致する事業を通じて、アメリカの技術を不当に入手しているとする報告書を発表し、警戒を強めるよう政府に求めた。アメリカ議会上院の調査チームは、海外から高度な専門知識を持つ研究者を招致する中国政府の事業『千人計画』に関する報告書を19日までに発表した。
報告書は『千人計画』が海外の最新技術を手に入れて中国の軍事や経済に役立てるのがねらいで、これまでに7000人以上が勧誘され、アメリカの政府機関や大学が主な標的になっていると指摘している。

 

米国市場では米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を公表(10月29-30日分)

前回の会合で政策金利を25bp引き下げることが決定されたが、会合後の声明では、景気拡大に向け『適切に行動する』との従来の文言は削除された。金融当局者内では、なお意見が分かれるが、早期追加緩和に否定的な意見が多く出ていた場合、ドル買い・円売りが強まり、心理的節目110円を目指す展開もあり得る。

 

欧米イベント

○16:00   10月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比横ばい)
○17:00   10月南アフリカ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.2%/前年比3.9%)
○21:00   MBA住宅ローン申請指数
○22:00   10月ロシア失業率(予想:4.6%)
○22:30   10月カナダCPI(予想:前月比0.3%/前年比1.9%)
○21日00:30   EIA週間在庫統計
○21日02:00   レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○21日04:00   米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(10月29日-30日分)
○ブラジル(黒人意識の日)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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