FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:利益確定売りで上値の重い展開

米中通商協議が貿易戦争の過程で発動した追加関税を段階的に撤廃することで合意したことを受け、米国株式市場が最高値を更新し、その流れを受けて買い先行で始まった。ナバロ大統領補佐官の米FOXビジネスTVインタビュー「現時点で『第1段階』の合意に関税撤廃は含まれていない」発言が浸透し年金基金等の利益確定売りに押され、結局、前日比61円高の2万3391円と4日続伸して終了た。

 

東京外国為替市場:109円前半でもみ合う展開に終始

ドル/円は、前日の海外市場で焼く5ヵ月ぶりの高値109.49円をつけた反動から、利益確定売りや持ち高調整のドル売り・円買いが入り109.15近辺まで下落した。日経平均株価が朝高後に伸び悩み、一時マイナス圏へ転じたことも、円買いを誘った。しかし、米中通商交渉の行方を見極めたいとの雰囲気から下押しは限られ、109.20円前後でもみ合う展開となった。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら、109.20円台を中心に狭いレンジで取引された。ユーロ/ドルは、前日に発表された独経済指標が予想を下回り、欧州の景気減速懸念がくすぶっているため、1.10ドル台半ばで上値が重い展開となった。

 

米中通商協議の合意についてナバロ米大統領補佐官が否定

ナバロ米大統領補佐官は7日の米テレビ番組『フォックスビジネス』で、米中貿易交渉を巡り「『第1段階』ディールの条件として発動済みの関税を撤廃するという合意は、現時点ではない」と語った。中国商務部の高峰報道官は同日開いた記者会見で、通商協議の合意には「すでに発動した追加関税の撤廃が重要条件」と述べていた。
 しかしナバロ氏は、中国側の情報発信は交渉で主張を通すためのプロパガンダに過ぎない断じ、「合意を決められるのはトランプ米大統領ただ一人だ」と述べた。

 

世界の債務残高増が過去最大を更新

国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は7日、ワシントンでの講演で、世界の公的部門と民間部門が抱える債務が計188兆ドル(約2京円)に達し、過去最大を更新したと明らかにした。世界の国内総生産(GDP)の約2.3倍に当たり『債務の持続性や透明性の確保がより必要だ』と指摘し、リスク管理の強化を促した。

 

英中銀の利下げの行方は総選挙の結果次第

英国中央銀行(BOE)は7日に開催した金融政策決定会合で市場の予想通り金融政策据え置きを決定した。ただ、予想外に2名の金融政策委員会(MPC)委員が0.25ポイントの利下げを主張したことが明らかになった。英中銀はまた、EU離脱や世界的リスクが悪化した場合、利下げが必要になる可能性を指摘いした。さらに、カーニー総裁も会見で、『貿易の不透明感が世界経済の重しになる』と悲観的な見通しを示し、『景気見通しリスクが下方に傾斜した』と警告した。『もし、リスクが具体化したら、経済に補強が必要になる』と利下げも示唆した。英中銀がハト派姿勢に傾斜したにもかかわらず、エコノミストはもし選挙後、速やかに離脱が実行できれば英国中銀が利下げをする可能性は少ないと見ている。英国中央銀行のカーニー総裁はじめ委員は世界経済の弱さよりも、EU離脱の行方が英国経済を大きく左右すると見ている。

 

6日間少ない米年末商戦:配送サービスとセール前倒し対応

米年末商戦の開始を告げる感謝祭が目前に迫っている。今年は販売日数が例年よりも短いため、小売各社は配送サービスの加速やセールの前倒しを武器に商戦に挑む。
今年の感謝祭は11月28日と昨年より1週間遅いことから、クリスマスまでの商戦期間は6日少ない。小売各社はインターネット通販大手アマゾン・ドット・コムが展開する無料の1日配送サービスに攻勢をかけ、クリスマスなどの主要な期日までの商品配送に注力する。小売大手ウォルマートは今回初めて最低35ドルの購入で無料の翌日配送サービスを提供する。

 

今後大富豪VSウォーレン氏との税制論争は注目を浴びる

米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏(64)が6日、2020年米大統領選の民主党候補者レースでトップ争いを演じているエリザベス・ウォーレン上院議員(70)が提唱する富裕層への課税策について懸念を表明した。ウォーレン氏はすぐに『喜んで説明したい』と反応した。ウォーレン氏が掲げる『富裕税』は、富豪が持つ5000万ドル(約55億円)を超える資産に対して2%、さらに大富豪が持つ10億ドル(約1090億円)を超える資産には6%を毎年課税するというもの。大富豪を敵に回す税制は、ウォーレン氏の目玉政策の一つだ。一方のゲイツ氏は、米フォーブス誌によると1069億ドルの資産をもつ超大富豪だ。同氏は6日のイベントで、富裕税について言及した。『私は、スーパー累進的な税制にまったく賛成している。私は100億ドル超の税金を納めている。誰よりも税金を払っている。200億ドル払えとなっても構わない』と述べ、富裕層への課税に賛成の立場を示した。その一方で『しかし、1000億ドルの税金を払えとなると、私も資産がいくら残るのか、ちょっと計算し始めるだろう』と発言した。『インセンティブを与えるような制度が本当に必要だ。それが脅かされないことで、長期的な視野をもって進んでいくことができる』と述べ、ウォーレン氏の税制のもとでは、新たな起業や投資が停滞する恐れがあることを示唆した。

 

欧米市場イベント

○15:45   10月スイス失業率(季節調整前、予想:2.2%)
○16:00   9月独貿易収支(予想:195億ユーロの黒字)
○16:00   9月独経常収支(予想:191億ユーロの黒字)
○16:45   9月仏貿易収支(予想:48.00億ユーロの赤字)
○16:45   9月仏経常収支
○16:45   9月仏鉱工業生産指数(予想:前月比0.3%)
○22:15   10月カナダ住宅着工件数(予想:22.12万件)
○22:30   9月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比▲2.0%)
○22:30   10月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化1.59万人/失業率5.5%)
○24:00   9月米卸売売上高(予想:前月比0.1%)
○24:00   9月米卸売在庫(予想:前月比▲0.3%)
○24:00   11月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:95.9)
○9日01:45   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
○10日 スペイン総選挙

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