FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:閑散相場に売りなしの展開

前週末の米国株式市場が軟調となったほか、英国のEU離脱で離脱案の採決について議会が先送りする動議を可決したものの、これらは材料視されなかった。一方、連休の谷間とあって模様眺めムードが強く、出来高は細った。それでも、下値不安は感じられず、全般は強い基調を維持した。結局、前週末比56円高の2万2548円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:108円台半ばでもみ合う展開

ドル/円は、朝方は英国のEU離脱問題を巡る先行きを警戒したポンド安・円高が波及し、108.20円台へ値を下げた。しかし、東京市場に入ると国内輸入企業のドル買い・円売りや日経平均株価の上昇に支えられ、108.50円付近へ値を持ち直した。米長期金利が小幅ながら上昇したことも、ドルの買い戻しにつながった。午後もこの流れは続き、108.55円へじり高となった。ただ、米国の景気減速懸念がくすぶっていることから、上値を追う動きにつながらなかった。ユーロ/ドルは、1.11ドル台半ばで方向感に欠く値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

日9月貿易収支は3ヵ月連続赤字

財務省が朝方発表した9月貿易統計速報は、貿易収支が1230億円の赤字となり、3ヵ月連続の赤字となった。輸出が前年比5.2%減と予想4.0%減少より減少幅が大きかった半面、輸入は前年比1.5%減にとどまり、予想2.8%減ほど落ち込まなかった。対米輸出は7.9%減の1兆1874億円で2ヵ月連続の減少、対中輸出は6.7%減の1兆1771億円となった。中国向け輸出は7ヵ月連続の減少となった。中国の景気減速などを受け、2019年度上半期の貿易収支は8480億円の赤字と2週連続の赤字となった。

 

トルコの軍事作戦もトルコリラ相場次第

トルコはシリア北部に軍事作戦を5日間停止することで米国と合意したが、トルコが今後の作戦を継続できるかどうかは、外国為替市場の値動き次第かもしれない。シリア北部情勢を巡り再びトルコリラ売り圧力を受けており、当局のリラ買い介入によってトルコの乏しい外貨準備は脅かされている。西側諸国が制裁を強化すれば通貨防衛のための外貨準備が足りなくなり、ただでさえ弱っているトルコ経済は悪化し、エルドアン大統領は軍事作戦に反発する国際社会の圧力に抵抗しづらくなる可能性がある。中銀のデータによると、トルコの外貨準備は360億ドル程度で、リラの防衛を続けるにはぎりぎりの水準となっている。

 

米中通商合意が破棄される可能性も

10-11日にワシントンで開催された第13回米中通商協議での『第1段階』としての『部分合意』に関して、電話による米中閣僚級通商協議が予定されている。『部分合意』が正式に合意され、文書化された後、11月16-17日のアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議に併せて開催される米中首脳会談で、トランプ米大統領と習中国国家主席が署名することが見込まれている。しかしながら、第13回米中通商協議で関税(第1・2・3弾の約2500億ドルへの25%と第4弾の一部約1250億ドルへの15%)の撤廃を求めていた中国側は、米国に対する報復関税を維持する限り年間500億ドル相当の米国産農産物の購入は難しく、報復関税を撤廃する条件はトランプ大統領が同様に関税を撤廃することだと懸念を表明した。さらに、15日に米下院で『香港人権・民主主義法案』が可決されたことで、中国外務省は報復措置を警告しており、関税による報復措置と外交による報復措置により、米中通商部分合意が破棄されることへの警戒感が高まりつつある。

 

10月FOMCで予防的利下げも休止か

FOMCで投票権を持つエバンス・シカゴ連銀総裁も『リスクに対する緩衝材を供給するため今は追加緩和の議論がある。10月会合でしっかり話し合うはずだ』と利下げ支持をにおわせた。よほどのことがない限り、今月のFOMCで3会合連続の利下げが決まるとみるべきだろう。経済が悪化する前に先手を打つ『予防的利下げ』は一定の効果を上げた。米国内外で低調な景気指標が相次いだ中でも米株価は利下げ前の水準をほぼ保った。景気後退の兆しとされ、米2年国債利回りが10年債利回りを逆転する『逆イールド』も解消された。前回9月のFOMCで17人の委員のうち、7人が年内残り1回の利下げを予想し、2回を予想したメンバーはいなかった。1998年の予防的利下げも3回で終了しており、今回も10月利下げで打ち止めになる公算が大きい。問題はそれをどう市場に織り込ませるかである。

 

欧米イベント

○15:00   9月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比▲0.1%)
○24:00   ホールデン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○22日00:40   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○カナダ総選挙

 

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