FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:投資家心理改善で買い優勢

英国とEUが離脱交渉で合意に近づいているとの報道も投資家の不安心理を後退させた。また、米企業が決算が好調だったことを受け、米国市場が上昇したほか、為替が1ドル108円台後半と円安方向に振れたことも好感された。そのため、朝方から買いが先行した。ただ、市場では、これまで急ピッチな上昇で警戒ムードが台頭しているほか、利益確定売が出やすい地合いだった。結局、前日比265円高の2万2472円と4日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:108.60円台のレンジでもみ合う展開

ドル/円は、一部メディアが『米下院が香港人権・民主主義法案を可決したことについて、中国は報復を示唆している』と報じた。この報道を受けて、米長期金利が低下すると、108.60円近辺まで下落した。前日のNY市場で約2ヵ月ぶりの高値108.90円をつけた反動もあり、利益確定のドル売り・円買いが散見された。しかし、日経平均株価の大幅高で、リスク回避姿勢が和らいでいるため下げ渋り、108.70円近辺まで値を戻した。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら、108.60円台を中心とした狭いレンジでもみ合った。ユーロ/ドルは、1.10ドル台前半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

冷めた中国の米中閣僚級貿易協議についての定例会見

中国外交部の耿爽報道官は14日開いた定例会見で、中国が米国との貿易交渉で米農産品の大量購入を約束したとする米国政府の発表について、『中国側はすでにニュースを配信済みだ』として確認を避けた。中国の国営新華社は12日、米国と10-11日に閣僚級貿易協議を開き、『農業、知的財産権の保護、為替相場、金融サービス、貿易拡大の協力、技術移転、紛争解決などの分野で実質的進展があった』と報じ、『合意』には触れていない。耿報道官は新華社の報道を引用した上で、貿易関係の健全な発展へ向けて『米国が中国と歩み寄り、ともに努力するよう望む』と語った。

一方で、トランプ米大統領は11日、閣僚級貿易協議の後の記者会見で、中国が年間500億米ドルに上る米農産品を買うことで合意したと明らかにするなど、米中間での熱量の差が気になるところである。

 

急転直下で英国でEUとの合意実現の可能性も

離脱期限の再延期は避けられないとのムードが一転、17・18日の欧州首脳会議での急転直下の合意実現と10月末の秩序立った離脱に向けてぎりぎりの折衝が続けられている。ジョンソン首相は、南北アイルランド間で税関検査を回避、北アイルランドが関税を代行徴収する妥協案を提示したとみられる。北アイルランド以外の英国から流入した物品が北アイルランドにとどまる場合、輸入業者は関税の納付義務を免除される。北アイルランドを経由してアイルランドに流入する場合、北アイルランドが代行徴収した関税はアイルランドが受け取る。協議の行方はなお不透明で、新たな合意案を英議会が受け入れるかも予断を許さない。

 

米中合意文書作成までは紆余曲折も

米中摩擦は先週の閣僚級協議を経て『第一段階の合意』という部分合意に至った。今後は来月のAPEC首脳会談での両首脳の署名に向けた詰めの協議が行われるが、構造問題の行方は依然不透明である。世界経済及び米国経済の変調が懸念されるなかで『一時休戦』に至ったが、過去にも一時休戦の後に米中摩擦が激化したことを勘案すれば、合意文書作成での紆余曲折も予想され、既視感を覚えるような内容に留まっている。米中協議を受けた部分合意に伴い人民元相場への恣意的な操作も難しくなっていることを勘案すれば、中国当局にとっては引き続き『持久戦』を強いられる展開が続くと予想される。

 

米国市場では9月小売売上高が公表

8月実績は前月比+0.4%だった。ただし、主要13項目のうち7項目が減少した。飲食店の売上高などが減少した。自動車・同部品の売上高は堅調だった。9月について、食品・飲料、衣料などの売上高はさえない状態が続く可能性があり、全体の売上高は小幅な伸びにとどまる可能性がある。

 

欧米イベント

○17:30   9月英CPI(予想:前月比0.2%/前年比1.8%)
      CPIコア指数(予想:前年比1.7%)
       小売物価指数(RPI、予想:前月比▲0.1%/前年比2.6%)
○17:30   9月英卸売物価指数(PPI、食品とエネルギーを除くコア指数、予想:前年比1.9%)
○18:00   8月ユーロ圏貿易収支(季調済、予想:180億ユーロの黒字)
        ユーロ圏貿易収支(季調前、予想:175億ユーロの黒字)
○18:00   9月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(予想:前年比0.9%)
○18:00   9月ユーロ圏HICPコア改定値(予想:前年比1.0%)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:00   8月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比1.5%)
○21:30   クノット・オランダ中銀総裁、講演
○21:30   8月対カナダ証券投資
○21:30   9月カナダCPI(予想:前月比▲0.2%/前年比2.1%)
○21:30   9月米小売売上高(予想:前月比0.3%/自動車を除く前月比0.2%)
○22:00   カーニー英中銀(BOE)総裁、討議に参加
○22:00   9月ロシア鉱工業生産(予想:前年比3.0%)
○23:00   10月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:68)
○23:00   8月米企業在庫(予想:前月比0.2%)
○23:00   レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○23:45   エバンズ米シカゴ連銀総裁、講演
○17日02:00   バイトマン独連銀総裁、講演
○17日02:00   カプラン米ダラス連銀総裁、講演
○17日03:00   米地区連銀経済報告(ベージュブック)
○17日04:00   ブレイナード米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○17日05:00   8月対米証券投資動向
○17日06:00   ビルロワ・フランス中銀総裁、講演

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