FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:円安と中国株式市場が堅調推移となったことを好感

前日の米国株式市場はさえない展開となったものの、外国為替市場でドル/円が円安方向に振れていることが好感され、輸出関連株を中心に幅広く物色された。国慶節の休場明けとなる中国株式市場が堅調となっていることも買い安心感を与えた。結局、前営業日比212円高の2万1587円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:リスク選好のドル買いも上値重い展開

ドル/円は、市場では『本邦年金資金から日本株に買いが観測された』との指摘があり、日経平均株価が堅調に推移するなか、一時107.44円と本日高値を更新した。もっとも、9月18日高値や日足・一目均衡表転換線などが重なる107.48円が依然としてレジスタンスとして意識されていることから上値も限られている。

ユーロ/ドルは、円絡みの取引が中心となったため1.0975ドル付近でこう着していたが、予想を上回る独指標を受けて1.0982ドルまで小幅に上げた。欧州勢待ちの様相となっている。

 

財新の中国サービス部門PMIは7ヵ月ぶりの低水準

財新/マークイットが発表した9月の中国サービス部門PMIは51.3と、2月以来7ヵ月ぶりの低水準となった。新規受注は大幅に増えたものの、コスト負担の増加が響いた。8月は52.1だった。ただ、景況拡大のと悪化の分かれ目である50は引き続き上回った。中国国家統計局が発表した9月の非製造業PMIは53.7で、8月の53.8からやや低下しており、財新のPMIも同様の傾向を示した。

財新サービス部門PMIでは、9月の新規受注は2018年1月以来のペースで伸びた。新規サービスの展開や一段と強い需要が背景にある。一方、人件費や燃料費、原材料費が増えたため、コスト負担は1年ぶりの高水準を付けた。企業が競争力を追求するなか、販売価格の引き上げは限定的となり、利益率が圧迫された。

 

香港の長期的なデモで訪問者数激減

香港特別行政区・入境事務所の発表によると、2019年国慶節連休の初日から5日間(10月1-5日)における香港訪問者数は延べ160万3000人、うち中国本土からの訪問者数は54万人にとどまった。7日付『信報』は前年実績比でそれぞれ38.0%減、54.8%減だったと指摘している。一方、香港においてデモ参加者がマスクなどを着用することを禁止する『覆面禁止法』が施行された5日のみの同地訪問者数は58.3%減の19万7000人、うち本土からの訪問者数は同73.0%減の6万1000人だった。

 

欧州市場では独8月鉱工業生産が公表

7月実績は予想に低下し、製造業の不振でドイツ経済が第3四半期にリセッション(景気後退)に突入する可能性を示唆した。8月は反動増が予想されているが、資本財の生産が継続的に増加することは期待できないため、9月は伸び悩む可能性がある。

 

米国市場では短期市場でステルス的な量的緩和継続

米ニューヨーク連銀は7日午前、短期金融市場に470億ドルの資金を供給した。資金供給は15営業日連続となる。資金を供給したのは国債などを担保に金融機関が短期資金を融通し合う『レポ取引』の翌日物だった。応札は上限の750億ドルを下回った。
ニューヨーク連銀は今回の資金供給を11月4日まで続ける方針を示している。2週間など期間物の資金供給も10月に計8回実施する予定となっている。依然として短期市場で資金需給の逼迫が続いており、資金供給を通じて金利の急上昇を避ける狙い。

 

米中貿易閣僚級協議再開も最後にハードルが上がり物別れか

今週10日、11日に米中貿易閣僚級協議が再開される。世界で第1、第2位の経済を持つ両国は2018年以降、お互いの輸入品に関税を発動している。金融市場に不透明感を与えているほか、企業や消費者の信頼感を抑制し、企業の設備投資の低迷に繋がっている。中国政府はトランプ大統領が進めている広範な貿易協議での合意に一段と消極的になっているとみられる。交渉を指揮する劉鶴副首相は中国側の提案に中国の産業政策または政府の補助金の改革を公約することを含まないとしている。
中国商務省は、中国側はすでに米中が合意している部分でディールの準備があるとし、困難な問題に関しては来年度交渉するとの案を提示してきている模様。クドロー国家経済会議(NEC)委員長も短期ディールも含めてオープンだと指摘したほか、中国がすでに大豆の購入を再開していることから期待感も広がった。ただ、トランプ大統領があくまでも広範なディールでの合意を主張した場合は、期待感が大きく後退することになる。

 

欧米イベント

○14:45   9月スイス失業率(季節調整前、予想:2.1%)
○15:00   8月独鉱工業生産(予想:前月比▲0.1%/前年同月比▲4.3%)
○15:45   8月仏貿易収支(予想:44.8億ユーロの赤字)
○15:45   8月仏経常収支
○18:30   テンレイロ英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○18:30   レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、デコス・スペイン中銀総裁、講演
○21:15   9月カナダ住宅着工件数(予想:21.45万件)
○21:30   8月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比▲1.0%)
○21:30   9月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.1%/前年比1.8%)
      食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比2.3%)
○9日02:00   米財務省、3年債入札
○9日02:35   エバンズ米シカゴ連銀総裁、講演
○9日03:30   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、講演
○9日06:00   カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
○米中次官級貿易協議(ワシントン、最終日)

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