★日経平均株価:日銀のETF買い入れ観測で先物買いで反転
昨日発表された米9月ISM非製造業景気指数が約3年ぶりの低水準となり、米国の追加利下げ期待が高まり米国株式市場はプラス圏で終了した。しかし、外国為替市場でドル/円が106円後半まで円高が進行したことで、日本株は朝方から売りが先行した。午後、日銀による上場投資信託(ETF)の買いいれ観測が浮上し、相場の下値は堅いと見た短期筋などが先物に買いを入れた。結局、前日営業日比68円高の2万1410円と3日ぶりに反転して終了した。
★東京外国為替市場:106円台後半でもみ合う展開
ドル/円は、今週発表された米経済指標の下振れで、FRBの追加利下げ観測が急速に高まっているため、持ち高調整などのドル売り・円買いが入り106.75円程度まで下落した。本日は実質的な五・十日にあたり、仲値にかけて国内輸入企業のドル買い・円売りが通常より多いと期待されていたものの、需給に大きな偏りは見られなかった。午後は、日経平均株価の動向をにらみながら、106.80円台中心とした狭いレンジでもみ合いとなった。今晩公表される米9月雇用統計やFRB要人の講演を前に、様子見ムードも強かった。ユーロ/ドルは、1.09ドル台後半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。
★欧米貿易摩擦懸念高まる:安全資産への資金シフトの可能性も
世界貿易機関(WTO)は2日、欧州連合(EU)による航空機大手エアバスへの補助金は不当として米国が年間75億ドル(8000億円)相当のEU製品への報復関税を認めた。米国は航空部品などを対象に近く関税を発動、EUも米国に報復関税を検討、米中貿易戦争に加え欧米貿易摩擦により世界経済が一段と減速するとの警戒感が高まっている。世界経済牽引役の米国経済にリセッションの暗雲が覆うことになれば投資家は一段と世界景気底割れリスクへの警戒感を強め安全資産シフトを進める可能性がある。
★昨日の米国経済指標の振り返り:米国の景気後退懸念高まる
米供給管理協会(ISM)が発表した9月ISM非製造業景況指数は52.6と、引き続き50を上回り活動の拡大を示したものの予想55.0を下回り2016年8月以降3年ぶり低水準となった。同時刻に商務省が発表した米8月製造業受注は前月比‐0.1%と、3カ月ぶりのマイナスに落ち込んだ。しかし、予想-0.2%は上回った。米8月耐久財受注改定値は前月比+0.2%と、速報値から変わらずだった。輸送用機除く改定値も前月比+0.5%と、速報値から修正はなかった。国内総生産の算出に用いられる製造業出荷・資本財(航空機を除く非国防)改定値は前月比+0.3%と、速報値+0.4%から下方修正されたほか、企業の設備投資の先行指標となる製造業受注・資本財(航空機を除く非国防)改定値は前月比‐0.4%と、4カ月ぶりのマイナスとなった。一方、事前にマークイットが発表した米国の9月サービス業PMI改定値は50.9と予想や速報値に一致し、8月から改善した。9月総合PMI速報値は51.0と、過去最低となった8月から上昇した。3年ぶりの低水準に落ち込んだ米国のISM非製造業景況指数を受けて米国経済が景気後退入りするとの懸念が強まった。
★米ISM製造業指数の50割れの過去のケース
米株『強気相場』11年半、米景気拡大が11年目に入り流石に市場は疲れ果て上昇モメンタムが削がれつつあるが、米ISM製造業指数が好不況節目50を割り込むも政策対応でリセッションを回避したケースが1979年以降6回あり、いずれも米国株はその後2年上げ相場のアノマリーがある。1979年以降、米ISM製造業指数が好不況の分岐点「50」を割り込み、その後リセッションに至ったケースが1979年、1981年、1989年(10月ブラックマンディ)、2000年(ITバブル崩壊)、2008年(リーマンショック)の7回ある。一方、同指数が「50」を割り込みながらも政策対応によりリセッションを回避したケースが6回(1985年、1995年、1998年、2002年、2012年、2015年)あり、注目すべきはリセッション回避の6回のケースでいずれも米国株がその後2年間にわたり上昇するというアノマリーを有している。
★米国市場では9月雇用統計が公表
9月中旬の失業保険新規申請件数は21万人程度で推移しており、8月の同時期をわずかに下回っている。非農業部門雇用者数は8月実績の前月比+13.0万人程度をやや上回る見込み。失業率は雇用の拡大が続いていることから、8月実績の3.7%を若干下回る可能性がある。
★欧米イベント
○15:15 インド中銀、金融政策決定会合(予想:5.15%に引き下げ)
○15:45 8月仏財政収支
○20:25 デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○21:30 8月カナダ貿易収支(予想:10.0億カナダドルの赤字)
○21:30 8月米貿易収支(予想:545億ドルの赤字)
○21:30 9月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化14.5万人/失業率3.7%/平均時給、前月比0.3%/前年比3.2%)
○21:30 ローゼングレン米ボストン連銀総裁、講演
○22:00 9月ロシア消費者物価指数(CPI、予想:前月比▲0.1%)
○23:00 9月カナダIvey購買部協会景気指数
○23:25 ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○5日03:00 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、あいさつ
○6日 豪州が夏時間に移行
○6日 ポルトガル総選挙
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