FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:前日米国株安と円高基調を嫌気

米9月ISM製造業景気指数が約10年ぶりの低水準となったことが引き続き嫌気されたほか、貿易を巡る米国とユーロ圏の対立も暗い影を落とし、米国の3指数が軒並み大幅安となったほか、ドル/円で1ドル=106円台まで円高に振れたことなどを受けて幅広く売られ、一時500円を超す下げとなった。結局、前日比436円安の2万1341円と大幅続落で終了した。

 

東京外国為替市場:リスク回避の動きが継続し107円前後でもみ合い

ドル/円は、今週発表された米経済指標が予想を下回ったことで世界経済の減速懸念から107円を割り込み、一時106.97円付近まで下落した。日経平均株価の大幅安も、リスク回避の円買いを誘った。しかし、9月24日につけた106.96円が下値の目処として意識されると、下げは一服した。その後は、国内輸入企業などがドル買い・円売りを持ち込み107.16円近辺まで切り返した。午後は、日経平均株価や米長期金利の動向をにらみながら、107.10円台を中心として狭いレンジでのもみ合い相場となった。ユーロ/ドルは1.09ドル台半ばで小幅な値動きに終始した。欧州勢参入待ちの様相となっている。

 

ニトリHD会長の年末に向けての為替相場

ニトリホールディングスの似鳥昭雄会長は2日に都内で開いた決算説明会で、外国為替相場について『年末に向けて1ドル=100円~105円の間で推移するのではないか』と述べた。8月に1ドル=105円53銭で下期決済見込み分の予約を締結したと説明したうえで、下期に来期分の為替予約をするかどうか検討する考えを示した。
併せて、米中貿易摩擦の影響で米景気が下振れる可能性があるほか、日本経済も消費増税などにより景気が落ち込む見通しだと述べた。そのうえで同社の業績については『あまり良い状況ではないが、準備をしてきたので増収増益を達成していきたい』と語った。

 

欧州市場では8月ユーロ圏小売売上高が公表

7月実績は前月比▲0.6%だった。衣料品販売などが落ち込んだ。6月に増加した反動が出た。8月については伊商品の売り上げは多少持ち直すと見られているが、その他の項目についてはまちまちとみられており、小幅な増加にどどまる見込み。

 

世界に拡大する過剰債務がリスク要因

米企業(非金融部門)の債務残高は08年の金融危機前の水準を超えた。パウエル氏は『(08年の)住宅ローンバブルの再来という声と、心配は不要だという両極端な見方があるが、真実はおそらくその中間』とした。とりわけ、信用力の低い企業向け『レバレッジ・ローン』の残高が1年で20%も増え、その資金源ローン担保証券が金融システムのリスクになると警戒される。大手銀行は資本増強などで健全性が増したが、リスクの高い企業債務は、非銀行部門から資金供給されている。米債務拡大は低格付企業の過剰債務だけではない。NY連銀の調査によれば、1-3月期の全米家計債務残高が13兆6680億ドルと前期比+1240億ドル、9期連続でリーマンショック前(08年7-9月期)の12兆6800億ドルを超え、過去最高を更新した。『借金漬け』は米中に限らない、リーマンショック以降に顕著となったのが新興国の債務急拡大である。その借入とCP、 社債等の残高は08年後半の名目GDP比 80%から18年3月末の10年間に同144%まで一挙に膨らんでいる。因みに、2019年3月末の新興国の家計債務の対名目GDP比は、韓国92.1%、香港73.2%、タイ68.9%、マレーシア68.0%、中国53.6%、シンガポール53.6%といずれも50%超と高水準が続いている。韓国、香港、中国の直近値は統計以来の過去最高の債務水準にある。世界的に拡大する過剰債務が世界経済及び株価のリスク要因として横たわる。

 

米9月雇用統計は米景気先行きのカギ

市場エコノミストの平均予想は失業率が3.7%と、8月と同様ほぼ50年来の低水準を維持、非農業部門雇用者数は前月比+14.8万人と、伸びは2カ月連続で鈍化後、拡大が予想されている。雇用統計の先行指標の中で相関関係が強いとされるADP雇用統計の9月分は前月比+13.5万人と、伸びが予想+14.0万人を下回り6月来で最小となった。また、8月分も+19.5万人から+15.7万人に大きく下方修正されるなど、雇用の伸びがピークをつけたことが再表明される可能性もある。米国経済で製造業が占める割合は3割ほどに過ぎない。しかし、製造業の雇用が予想以上に悪化し、全体指数を一段と押し下げる可能性も除外できない。 貿易の不透明性や世界経済の成長減速で製造業の鈍化が避けられないものの、強い雇用が消費を支え、年内の経済が順調に成長するというのが、今のところFOMCメンバーなどの見通しで、基本路線となっている。ただ、もし、消費を支えると期待されている強い雇用市場がくずれた場合、成長期待も大きく後退することになる。

 

欧米イベント

○15:45   エバンズ米シカゴ連銀総裁、講演
○16:00   9月トルコ消費者物価指数(CPI、予想:前月比1.38%/前年比9.70%)
○16:45   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○16:50   9月仏サービス部門購買担当者景気指数(PMI)改定値(予想:51.6)
○16:55   9月独サービス部門PMI改定値(予想:52.5)
○17:00   9月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:52.0)
○17:00   レーン・フィンランド中銀総裁、講演
○17:00   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○17:30   9月英サービス部門PMI(予想:50.3)
○18:00   8月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比▲0.3%/前年比▲0.5%
○18:00   8月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比0.3%/前年比1.9%)
○20:30   9月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○21:30   クオールズ米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.5万件/165.4万人)
○22:45   9月米サービス部門PMI改定値(予想:50.9)
○22:45   9月米総合PMI改定値
○23:00   8月米製造業新規受注(予想:前月比▲0.2%)
○23:00   9月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:55.0)
○23:00   テンレイロ英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○4日01:10   メスター米クリーブランド連銀総裁、講演
○4日02:00   カプラン米ダラス連銀総裁、講演
○米財務省3年、10年、30年債入札条件
○中国(国慶節)、韓国(建国記念日)、休場

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