FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米国株高と円安を好感した買い継続

米中貿易摩擦に対する懸念が和らぎ、前日の米国株が大幅高となった流れを引き継いだ。外国為替市場で1ドル=107円台まで円安が進んだことも輸出関連株の支えとなった。また、香港情勢、英国の欧州連合(EU)からの『合意なき離脱』リスクなど懸念材料が一旦後退したことも、投資家の心理的改善につながっている。結局、前営業日比113円高の2万1199円と4日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:リスク選好のドル買い・円売り継続

ドル/円は、週末を控えた短期筋などの利食いに押され、106.92円付近まで下落した。東京市場では約1ヵ月ぶりに107円台に乗せたことで、国内輸出企業のドル売り・円買いも観測された。もっとも、前日に発表された米経済指標は総じて強い数字となり、米景気減速懸念が和らいでいることから、下値を追う動きは限られた。その後、日経平均株価の続伸に支えられ、107.10円近辺まで値を戻した。午後は日経平均株価や米長期金利の動向をにらみながら、小幅値を下げて107.00円を挟んでもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、持ち高調整などのユーロ買い・ドル売りが入り、1.1045ドル付近へじり高となった。

 

欧州市場では7月独鉱工業生産が公表

6月実績は前月比▲1.5%だった。また、7月のドイツ製図尾業PMIは43.2で6月実績の45.0を下回った。独製造業の生産活動はさえない状態が続いているが、一部セクターで底入れの兆しが出ていることから、7月は前月比で微増となる可能性がある。

 

ヘッジファンドがアルゼンチンへの投資で大損

ヘッジファンドのオートノミー・キャピタルは昨年、アルゼンチンの景気は回復に向かうと判断し、同国の国債はデフォルト(債務不履行)に陥らないことに賭けた。事情に詳しい関係者によると、アルゼンチンの100年債にも投資した。しかし、8月のアルゼンチン大統領選挙の予備選で、現職で親ビジネス派のマウリシオ・マクリ大統領が敗北すると、ファンドは8月に約10億ドル(約1070億円)を失う大きな痛手を被った。

 

米8月の非製造業部門は堅調推移

5日に発表された一連の米経済指標で、8月は非製造業部門の活動が活性化し、民間部門の雇用増のペースも加速していたことが分かった。通商を巡る緊張の高まりで金融市場ではリセッション(景気後退)入りの懸念が出ているが、米経済が緩やかなペースで拡大し続けたことが示唆された。 米供給管理協会(ISM)が5日発表した8月の非製造業総合指数(NMI)は56.4と、2016年8月以来の低水準だった7月の53.7から上昇した。通商面での懸念がくすぶる中、新規受注が2月以来の高水準となった。ISMは『関税措置のほか、地政学的な懸念は払拭されていない』としながらも、『企業は事業環境についておおむね前向き』とした。

 

米国市場では8月雇用統計が公表

市場エコノミストの平均予想は失業率が3.7%と、7月と同様ほぼ50年来の低水準を維持すると見られている。また、非農業部門雇用者数は前月比+16万人と、7月+16.4万人に続いて順調な伸びを示すと予想されている。平均時給も前月比+0.3%、前年比+3.0%と強いペースでの上昇が予想されている。 先行指標の中でも労働省が発表する雇用統計と相関関係が最も強いとされている民間の雇用統計となるADP雇用統計の8月分は前月比+19.5万人と、伸びは予想を上回り4月来で最大を記録した。一部では8月雇用統計へのポジティブサプライズ期待も浮上した。
一方で、雇用低迷を示唆する先行指標も見られる。関税や貿易の不透明、世界経済の成長鈍化が響き特に製造業の雇用減速は避けられない。全米の製造業景況を示すISM製造業景況指数の8月雇用は47.4だった。2カ月連続の低下で、2016年9月以降初めて50を割り込み縮小した。50は活動の拡大と縮小の境目を示す。また、ISMサービスセクターでの雇用はかろうじて50を上回り拡大を継続した。ただ、ISM非製造業の雇用は53.1と、2017年3月来で最低を記録した。米国経済は7割が消費が占めるため、同指数の低下で雇用の伸びが低迷する可能性も残る。ポジティブサプライズの可能性があるが、ネガティブサプライズに備える必要があるかもしれない。



欧米イベント

○15:00   7月独鉱工業生産(予想:前月比0.3%/前年同月比▲3.9%)
○15:45   7月仏貿易収支(予想:44.54億ユーロの赤字)
○15:45   7月仏経常収支
○18:00   4-6月期ユーロ圏域内総生産(GDP)確定値(予想:前期比0.2%/前年比1.1%)
○19:30   ロシア中銀、政策金利発表(予想:7.00%に引き下げ)
○21:00   8月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前月比0.11%)
○21:30   8月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化1.50万人/失業率5.7%)
○21:30   8月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化15.8万人/失業率3.7%/平均時給、前月比0.3%/前年比3.1%)
○23:00   8月カナダIvey購買部協会景気指数(予想:53.0)
○7日01:30   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、講演

 

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