FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:投資家心理の改善から全面高

前日の米国株式市場は主要3指数がそろって上昇したことで、朝方から先物主導で広範囲で物色され、投資家心理が回復した。好材料が続いたことから、これまで市場を取り巻いていた不安感が解消された。特に、中国と米国が10月初めにワシントンで通商協議を開催することで合意したと中国商務省が明らかにしたことが、買い材料視された。そのため、8月2日以来、約1ヵ月ぶりに2万1000円台を回復した。結局、前営業日比436円高の2万1085円と3日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:米中通商交渉の進展期待からドル買い

ドル/円は、国内輸入企業のドル買い・円売りや日経平均株価の大幅高に支えられて、106.50円付近までじり高となった。その後、一部メディアが『米中は10月にワシントンで通商協議を開催する』と報じた。この報道で、米中通商交渉の進展期待が高まると、短期筋などからショートカバーが持ち込まれ、106.75円付近まで上伸した。午後は、世界経済の減速に対する根強い懸念から、利益確定や戻り売り待ちのドル売り・円買いに押される展開となり、106.50円近辺まで下落した。しかし、今晩発表される8月ADP全米雇用レポートや8月ISM非製造業景況感指数を見極めたいとの雰囲気から、下値を追う動きは限られ、106.60円を挟んでもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは1.10ドル台前半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

香港の抗議活動に対し中国政府の譲歩もここまで

香港の抗議活動のきっかけとなった逃亡犯条例改正案の撤回を認めた中国政府だが、普通選挙の実施などそれ以外の反対派の要求を受け入れる気配はない。エスカレートする運動を「『一国二制度』に挑戦する反政府活動」と位置付けており、今後はより強硬な姿勢で臨む可能性がある。中国外務省の副報道局長は4日の記者会見で「国務院香港マカオ事務弁公室が昨日、中国の見解を説明している」と、撤回への具体的なコメントを避けた。同弁公室の徐露穎報道官は3日の記者会見で香港政府への支持を重ねて表明。10月1日の建国70周年までの事態沈静化に向け、実害のない改正案撤回までは譲歩した格好となる。しかし、反対派が掲げる『五大要求』のうち、残る四つに習近平指導部が応じる可能性は低い。中国国旗を海に投げ捨てるなど破壊行為を無罪放免にすることはもちろん、1人1票の普通選挙を認めることは、国内的にもできない。

 

英下院は合意なきEU離脱阻止法案を可決

英議会下院は4日、10月31日に英国を合意なしで欧州連合(EU)から離脱させようとするジョンソン首相の動きを阻止する法案を可決した。また、10月15日の総選挙実施を求める首相の提案を否決した。これにより、英国のEU離脱を強行に進めようとする同首相は手を縛られる結果となり、問題の行方は合意なき離脱から離脱断念まで、先行きが読みにくい状況が続くことになる。下院は、3ヵ月の離脱延期を要請することを政府に強制する法案を可決した。野党・労働党のコービン党首は、同法案が上院でも承認され成立すれば早期の総選挙実施に同意すると表明した。上院での承認は9日になる可能性がある。ただ、同党首はジョンソン首相が選んだ選挙日程に同意するかどうかは明らかにしなかった。

 

6日のパウエルFRB議長の講演に注目が集まる

米連邦準備制度理事会(FRB)は8月12日前に集められた情報を基にした米地区連銀経済報告(ベージュブック)では、前回からさらに緩慢な成長が継続したことが報告された。関税や貿易に関しての懸念も強まるが、見通しは依然楽観的だった。 関税や貿易に関する文言は7月17日に公表された前回のベージュブックの54から62に増えた。個人消費指標は強弱まちまちで、賃金や物価の上昇ペースも緩慢と指摘された。全般的に『まちまち』『緩慢な伸び』が目立つ内容となった。米商務省が4日に発表した米国7月の貿易赤字が予想ほど縮小せずアトランタ連銀は第3四半期の国内総生産(GDP)見通しを従来の+1.7%から+1.5%へ下方修正した。実質個人消費支出が3%から2.8%、非居住投資が-1.7%から―2.4%へそれぞれ下方修正されたため。
FRB高官の意見が異なる中、6日に予定されているパウエルFRB議長の講演にさらに注目が集まる。

 

FRB内でも利下げの是非や利下げ幅で意見まとまらず

世界経済の減速などを背景に米連邦準備理事会(FRB)の追加利下げへの思惑が高まる中、複数のFRB当局者が4日、それぞれの講演で経済や金融政策に関する発言を行ったが、追加利下げの是非や利下げ幅を巡りFRB内で意見がまとまっていないことが浮き彫りになった。 FOMCを9月17-18日に控え、この日はFRB当局者が公の場で講演する最後の機会だった。FRB当局者は、通商政策を巡る不透明感が米企業に影響を及ぼしているという見解ではおおむね一致している。今後の利下げは、米個人消費動向をどのように捉えるかが左右するとみられる。ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は、個人消費は『堅調』で、米経済は『好ましい状況』にあると指摘。ただ、講演後記者団に対して、個人消費が今後もこれまで同様に拡大するとは思わない、と語った。

 

欧米イベント

○14:45   4-6月期スイス国内総生産(GDP、予想:前期比0.2%/前年比0.9%)
○15:00   7月独製造業新規受注(予想:前月比▲1.5%/前年同月比▲4.2%)
○16:00   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○16:30   スウェーデン中銀、政策金利発表(予想:▲0.25%で据え置き)
○18:00   4-6月期南アフリカ経常収支(予想:1345億ランドの赤字)
○20:30   8月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○21:15   8月ADP全米雇用報告(予想:14.9万人)
○21:30   4-6月期米非農業部門労働生産性・改定値(予想:前期比2.2%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.5万件/168.5万人)
○22:00   8月ロシア消費者物価指数(CPI、予想:前月比▲0.2%)
○22:45   8月米サービス部門購買担当者景気指数(PMI)改定値(予想:50.9)
○22:45   8月米総合PMI改定値
○23:00   7月米製造業新規受注(予想:前月比1.0%)
○23:00   8月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:54.0)
○23:30   テンレイロ英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○24:00   EIA週間在庫統計
○米財務省3年、10年、30年債入札条件
○日ロ首脳会談(ロシア・ウラジオストク)

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