FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:円安進行で買い戻しの動きも

朝方は前日の米国株の下落した流れを受けて売りが先行した。しかし、米長期金利が持ち直したことで為替がやや円安方向に振れたことを眺めてプラス転換した。ただ、米中貿易摩擦の先行きに対する不透明感は残されたままで、基本的に見送りムードが続いている。結局、前日比23円高の2万0649円と小幅続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:米長期金利上昇でドルの買い戻し

ドル/円は、国内輸入企業のドル買い・円売りや日経平均株価の持ち直しに支えられ、106.07円近辺までじり高となった。米長期金利が上昇したことも、ドルの買い戻しにつながった。しかし、前日に発表された8月米ISM製造業景況感指数が景気判断の分岐点となる50を下回り、米景気先行き不透明感が強まっていることから伸び悩み105.90円台へ小緩んだ。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数の動向をにらみながら、106.00円台を挟んでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、1.0975ドルを挟んだ小幅な値動きに終始した。欧州勢参入待ちの様相となっている。

 

中国の低格付け企業の財務にボディーブロー

米ドル高が中国企業の財務にボディーブローのように効いてきた。信用力の低い企業が海外で発行したドル建ての高利回りは(低格付け)債から資金が流出し、格付けが同じ水準の米社債との利回り差拡大に歯止めがかからない。進み続ける対ドルでの人民元安に投資家の警戒感が高まっている。『ICE・バンクオブアメリカ・メリルリンチ・アジア・ドル建てハイイールド・コーポレート・中国発行体』は3日、満期まで保有した場合の最終利回りが9.01%に上昇した。今年3月1日以来の約半年ぶりに9%を突破した。世界中で金利低下が進む中、運用に四苦八苦する債券投資家にとって7月までは中国のドル建て債は魅力的な存在だった。そのため、借り換えや運転資金のためにドルを調達したい中国企業にとっても、旺盛な投資家の需要は『渡りに船』となった。しかし、米中関係が劇的に悪化した8月に市場の楽観ムードは一変した。米中摩擦がもたらした市場のリスク回避ムードは新興国から米国への資金還流を促し、ドル高を助長する。そして。投資家に中国企業のドル返済負担の高まりを意識させた。

 

英議会は離脱延期法案の審議入りへ

英下院は3日に欧州連合(EU)から離脱延期を要請する法案の審議入り動議を可決した。野党および与党保守党内で合意なき離脱に反対する議員らが議会の議事進行の主導権を握るための動議を提出した。328対301で可決された。ジョンソン首相は動議の成立後、法案が下院で可決された場合、前倒し総選挙の実施を目指す意向を示した。動議の可決で、離脱日を1月31日に延期する要請をEUに行うよう政府に義務付ける法案が4日にも可決される可能性が出てきた。なお、動議に賛成票を投じたフィリップ・ハモンド前財務相など21人の保守党議員は、党除籍となる。

ジョンソン首相は動議可決後に議会で『選挙は望んでいないが、議会があす交渉を停止し、数年に及ぶ可能性のある無意味な離脱延期を強制するための法案を可決すれば、選挙が唯一の解決策となる』と強調した。

 

米8月ISMは予想外の3年ぶり50割れでリセッション懸念

米供給管理協会(ISM)が発表した8月ISM製造業景況指数は49.1と上昇予想に反して7月51.2から低下し、2016年8月以降3年ぶりの50割れで活動の縮小を示した。50は活動の拡大と縮小の境目を示す。製造業活動は35カ月連続で拡大したのち縮小に転じた。ユーロ圏や中国に続く。今後、製造業関連の雇用などにも一段と影響を与えると見られる。 回答者は米中貿易摩擦に対して、より懸念を表明。サプライチェーンが製造拠点を中国から移しているとの指摘もあった。指数10項目のうち9項目が50を割り込み活動の縮小を示した。内訳の中でも最も重要な項目となる新規受注は50.6から47.2に落ち込んだ。43カ月連続で活動拡大したのち、顧客の需要は2015年12月以来初めての縮小に転じた。輸出は43.3と、2009年4月以降、リセッション以来の低水準に落ち込んだ。雇用も51.7から47.4と、2016年9月来の50割れ。34カ月連続で活動拡大後、縮小に転じた。仕入れ価格は3カ月連続の50割れとなった。

 

米国市場では7月貿易収支が公表

6月実績は▲552億ドルだった。対中物品貿易赤字は縮小したものの、対世界の物品貿易赤字は694億ドルに拡大しており、全体の貿易収支はわずかな改善にとどまった。7月については、対中輸出・輸入額はいずれも減少する可能性があるが、全世界向けの輸出額は減少する可能性があることから、貿易収支の顕著な改善は期待できない。

 

欧米イベント

○16:50   8月仏サービス部門PMI改定値(予想:53.3)
○16:55   8月独サービス部門PMI改定値(予想:54.4)
○17:00   8月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:53.4)
○17:30   8月英サービス部門PMI(予想:51.0)
○18:00   7月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比▲0.6%/前年比2.0%)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:00   レーン・フィンランド中銀総裁、講演
○21:30   4-6月期カナダ労働生産性指数(予想:前期比0.1%)
○21:30   7月カナダ貿易収支(予想:4.0億カナダドルの赤字)
○21:30   7月米貿易収支(予想:535億ドルの赤字)
○22:15   カーニー英中銀(BOE)総裁、ホールデン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、ハスケルMPC委員、ブリハMPC委員、議会で発言
○22:25   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○23:00   カナダ銀行(BOC、中央銀行)、政策金利発表(予想:1.75%で据え置き)
○23:00   メルシュ欧州中央銀行(ECB)専務理事、議会で発言
○23:00   カプラン米ダラス連銀総裁、講演
○5日01:30   ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事、ブラード米セントルイス連銀総裁、イベントに参加
○5日01:30   デギンドスECB副総裁、講演
○5日02:00   カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
○5日03:00   米地区連銀経済報告(ベージュブック)
○5日04:15   エバンズ米シカゴ連銀総裁、講演
○東方経済フォーラム(安倍晋三首相が出席、滞在中に日ロ首脳会談、ロシア・ウラジオストク、6日まで)

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