FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:急速な円高を嫌気した売り優勢

前週末の米国株主要3指数が下落したことや為替の円高が嫌気され、朝方から幅広い銘柄で売りが先行した。取引時間中に一段と円高が進行しドル/円が105円台に下落すると、為替に連動する先物売りが強まり、現物指数を大きく押し下げた。中国人民銀行が設定した対ドル基準値が1ドル=6.9225元と市場予想より元安だったことで、当局が元安を容認したとの見方が出た。人民元は一段安となり、オフショア、オンショアともに1ドル=7元台へ下落した。結局、前営業日比366円安の2万720円と続落して終了した。

 

東京外国為替市場:リスク回避の円買いに拍車

ドル/円は、日経平均株価の大幅安や米長期金利の急低下をながめて、下値を模索する展開となり、105.80円付近げ下落した。米中貿易戦争が長期化するとの思惑から、オプショア市場で人民元が急落したことも、リスク回避の円買いに拍車をかけた。その後は、国内輸入企業などが値ごろ感からドル買い・円売りに動き、106.10円台へ切り返した。しかし、一部メディアが『中国が国営企業に対して、米国産農産物の輸入停止を要請している』と報じたことから伸び悩み、106.00円前後でもみ合う展開となった。午後は、NYダウ先物の大幅安を嫌気して一時105.79円程度まで値を下げ、1月3日以来のドル安・円高を付けた。しかし、財務省・日銀・金融庁が3社会合を行うと発表、急激な円高がけん制されるとの警戒感から、下げは一服した。ユーロ/ドルは、1.11ドル台前半で方向感に欠く展開となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

トルコの政策金利は今後も低下:エルドアン大統領

トルコのエルドアン大統領は、最近引き下げられた政策金利について、今後も低下するとし、インフレ率も低下すると述べた。トルコ中央銀行は先月、政策金利を425bp引き下げ、19.75%とした。景気後退(リセッション)に陥っている経済を下支えする狙いだが、利下げ幅は予想を上回った。エルドアン大統領は『中銀は金利を引き下げたが、一段と引き下げる』と延べ『全ての国民に求める。我々の経済に関する憶測には耳を閉ざすべきだ』と述べた。後任のウイサル総裁は7月末、今後数ヵ月間中銀には金利を操作するかなりの余地があると説明した。

 

トルコとロシアの親密度が高まる

トルコの産業構造は、サービス業が約59%、工業は24%強、農業が5%弱とされ、主要産業であるサービス業の収入の約9割を占めるのが観光セクターと言われている。18年トルコ観光客数の国別内訳では、ロシアからが596万人強とトップ、2位ドイツの約451万人とは140万人以上の開きがある。3位はブルガリアの239万人弱、4位が英国の約225万人。ここまでは前年比で2割から3割増加だったが、これらに次ぐ200万人程度のジョージアやイランは前年比で減少した。2019年のトルコ観光業も好調で、上半期の外国人観光客数は1087万人と前年同時期比で13%増を記録した。なかでもロシアからは既に271万人弱がトルコを訪れ、17年上半期比では約15%の伸び率となっている。トルコ系が多く住むドイツからも180万人程度(約10%増)がトルコに来ているが、ロシア人がトルコ観光業の支えといって良い。トルコとロシアの関係は、ロシア製地対空ミサイル導入、両国を結ぶ天然ガスパイプライン、ロシア企業によるトルコ国内での原発建設など、関係強化が目立つ。トルコの重要産業である観光でもロシアに頼るところが大きくなれば、今後ますますの米国離れ、ロシア寄りの行動をトルコがとるようになっていくことが予想される。

 

メキシコ政府と国営石油会社の共倒れリスク

メキシコ政府が、経営不振の続く国営石油会社ぺメックスの救済に躍起になっている。公的資金を使った設備投資で生産を回復させ、負債を減らす計画だが、市場からは実現性に疑問の声があがる。既にぺメックスの社債格付けを引き下げる動きが出ている。資金負担の重さから政府も共倒れとなる恐れがあり、メキシコ国債の格付けへの悪影響も懸念されている。今回まとめた中期計画によると、まず政府がぺメックスへの資本注入と税金減免によって総額2690億ペソ(約1兆5200億円)の金融支援を実施する。米格付け会社ムーディーズは17日付けリポートで『計画している投資額では原油算出量の目標達成には至らない。より多くの政府支援が必要だ』と指摘している。国主導で救済に固執するメキシコ政府自体にも、危機の足音が近づいている。ロペスオブラドール政権になって以降、経済成長の減速は鮮明となっている。税収も減少基調が続いている。ぺメックスへの多額の支援や税金免除によって、財政状況のさらなる悪化も懸念される。

 

南アランドの戻りには限界も

国営電力会社エスコムの損失額が市場予想よりも少なかったことは南アランド(ZAR)にとっては好材料となった。しかし、依然として7月末に辞任したハデべ前最高経営責任者(CEO)の後任が決定していない。そのため、2月に発表された3分割案も暗礁に乗り上げたままとなっている。今年に入り、南アからの資金流失は債券市場を中心に急ピッチで進み、現時点では1998年にデータを取り始めてから最大ペースになっている。この流れはZARの上値を抑えることになる。また、ラマポーザ大統領を巡るアフリカ・グローバル・グループ(旧ボササ)からの違法献金問題などで、大統領が来年には辞職に追い込まれる可能性もあることも、ZARにはネガティブな材料となる。

 

米国市場では7月ISM非製造業景況指数が公表

米7月ISM非製造業景況指数は55.5と、6月の55.1を上回る見通しとなっている。好不況の節目となる50は上回るものの、大幅な改善は期待薄と見られている。7月の数値が市場予想を下回った場合、ドル売りが強まる可能性がある。

 

欧米イベント

○14:45   7月スイスSECO消費者信頼感指数(予想:▲8)
○15:30   6月スイス小売売上高
○16:00   7月トルコ消費者物価指数(CPI、予想:前月比1.60%/前年比16.90%)
○16:50   7月仏サービス部門PMI改定値(予想:52.2)
○16:55   7月独サービス部門PMI改定値(予想:55.4)
○17:00   7月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:53.3)
○17:30   7月英サービス部門PMI(予想:50.2)
○22:45   7月米サービス部門PMI改定値(予想:52.3)
○22:45   7月米総合PMI改定値
○23:00   7月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:55.5)
○6日02:30   ブレイナード米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○カナダ(市民の日)、休場

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