FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米国株高を好感した買いも上値重い

米国株主要3指数が終値で史上最高値を更新したことを好感し、朝方から幅広い業種で買いが先行した。その後、米国が独立記念日で休場であることや5日に米雇用統計の発表を控えていることなどから動きづらい展開となった。市場では、7月のFOMCでの利下げ実施が織り込まれているなか、見送りという可能性も排除してはいけない。株価が史上最高値の中、雇用統計が強く出てしまったら、利下げを実施するお題目は見えにくくなるとの指摘もある。結局、前日比64円高の2万1702円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:米国市場が休場となるため持ち高調整の動き

ドル/円は、日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら、107.75円前後でもみ合う展開となった。本日は米国が独立記念日で休場となるため、積極的な売り買いは目立たなかった。午後は5日に発表される米6月雇用統計を前に、持ち高調整などのドル買い・円売りが入り108.85円近辺までじり高となった。しかし、心理的な節目の108.00円が視野に入ると、利食い売りも見られ108.80円前後でもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、1.1285ドル前後で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

欧州市場では5月ユーロ圏小売売上高が公表

4月実績は前月比▲0.4%だった。5月については、一部加盟国の雇用情勢がやや改善していることなどを考慮して、多少持ち直す可能性がある。ただし、主要国の個人消費は伸び悩んでおり、域内の小売売上高は弱含みの状態がしばらく続くとみられる。

 

トルコのインフレ率は鈍化傾向

トルコ統計局が発表した6月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比15.72%と、1年ぶりの低水準だった。前年同月の物価水準が高かったことが背景。市場では中銀の利下げ余地が拡大したとの見方が浮上している。6月のCPI上昇率は前月比では0.03%となり、市場予想の0.05%を下回った。CPI上昇率は、昨年10月に前年比25%を超え、15年ぶりの高水準を記録したが、その後は鈍化している。

 

1990年代以降のFRBの予防的利下げは4回

1990年代以降の米FRBの利下げ転換局面は1995年、1998年、2001年、2007年の4回あり、うち景気後退(リセッション)を回避したのは95年と98年の2回ある。しかも、95年と98年はpreemptive(予防的)利下げで『Too late』に陥ることなくその後景気回復へと誘い、再び利上げに転じている。クラリダFRB副議長は今春4月インタビューで『FRBはかつて1995年と1998年に保険的に利下げを行ったが、必ずしも景気後退と結びついた訳ではなかった』と述懐している。なお、全4回の利下げ転換局面のうち、3回(95年、98年、2001年)は初回利下げ前に米ISM製造業景況指数が好不況の分岐点『50』を下回っており、95年と2001年については実質GDP成長率が利下げ実施期に向かって大きく減速していた。

 

昨日米国経済指標はドル安要因だかドル底堅い展開

 米オートマチック・データ・プロセッシング(ADP)とムーディーズ・アナリティクスが3日発表した6月ADP雇用統計(民間雇用者数)は、前月比+10.2万人と市場予想の同比+14万人程度を下回った。また、米商務省が発表した5月貿易収支は、-555億ドルとなり、貿易赤字は5カ月ぶりの高水準となった。輸出は増加したものの、対中関税引き上げを前に輸入が拡大したことが、赤字拡大につながったとみられる。市場予想は-540億ドル程度だった。4月の赤字額は508億ドルから512億ドルに改定された。米労働省が5日に発表する6月米雇用統計も予想を下回る可能性があることから、米国株安はドル相場にとっても悪材料になり得る。また、貿易赤字の拡大は一般的にドル売り材料となる可能性があることから、4日の米独立記念日を挟んでドルの上値は再び重くなる可能性がありそうだ。

 

米大統領選を踏まえ瀬戸際政策による譲歩

トランプ大統領は、『安全保障への影響がなければ』との条件付きファーウェイ一部禁輸解除した。むろん、米国は安全保障を脅かす恐れがあるからファーウェイを『エンティティ・リスト』(EL)に入れた訳であり、もはやこれは大統領の一存で動かせない問題である。ELリストに登録された企業は米国からの輸出や米国製品の再輸出の他、米国由来の部品が25%超含まれていれば他国の会社が生産した製品でも事実上、輸出が禁じられる。案の定、米NEC(国家経済会議)クドロー委員長は30日、米FOXニュースのインタビューで制裁緩和を巡り『一般的な恩赦ではない』と説明、米商務省は安全保障上の脅威である外国企業リストELのファーウェイ登録は残すと明言した。つまり、汎用品など米国企業が高い国際競争力を持つ半導体や基本ソフト(OS)等に絡んだ解禁に留まり、大統領が習近平氏に甘言を弄した可能性が否定できない。激戦の農業州で大豆の対米輸出減少など不満が高まり、『第4弾』発動に至っては生活必需品が含まれ家計直撃で慎重論が支配的となっていた。米中首脳会談の暫定『休戦合意』は『第4弾』発動見送りの瀬戸際政策と換言できる。

 

欧米イベント

○15:30   6月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比▲0.1%)
○16:00   レーン・フィンランド中銀総裁、講演
○18:00   5月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比0.3%/前年比1.6%)
○18:10   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○米国(独立記念日)、休場

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