FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米中貿易協議進展期待が高まり買い優勢

前日の米国株式市場の流れを引き継ぎ、朝方から半導体関連株など景気敏感株に買いが先行した。米中首脳会談を控えて貿易協議進展期待が高まるなか上海株などアジア株が総じて上昇し投資家心理が強気に傾き先物に海外短期筋の買いが入り全体相場を押し上げた。結局、251円高の2万1338円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:米中貿易戦争の後退でドル買い戻し

ドル/円は、日経平均株価の反発や米長期金利の上昇をながめて、ドル買い・円売りが進み108.05円近辺へじり高となった。一部の海外メディアが、大阪で開催されるG20サミットに先立ち、『米中が貿易戦争の一時休戦で合意』と報じたことも、リスク選好の円売りが強まった。午後もこの流れが続き、日経平均株価の上げ幅拡大に支えられ、108.13円まで値を上げた。ただ、前日から一本調子の上昇が続いていることで、上値では利益確定などのドル売り・円買いも見られ、108.10円を挟んでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、29日に予定されている米中首脳会談を控え、持ち高調整などのユーロ売り・ドル買いが入り、1.1348ドル付近まで軟化した。

 

米中首脳会談では制裁先送りで協議を継続の見通し

トランプ米大統領がG20での米中首脳会談次第で、対中制裁関税第4弾を発動するかどうかを決定すると明言しており、この首脳会談に世界中が注目している。『決裂』した場合は、米中報復関税がエスカレートし、両大国による経済戦争による世界経済の鈍化が懸念される。中国が米国の要求を受け入れる可能性は少なく、合意の期待感は薄いが、両国及び世界経済への大きな悪影響から、『協議を継続』し、対中制裁関税第4弾は先送りするとの結果になる可能性が高い。

大阪G20は、28日に貿易とデジタル経済について議論し、2日目の29日は女性の活躍や男女の格差是正、環境問題などについて話し合いが行われる予定。また、米中首脳会談はG20閉幕直後の29日になると見込まれている。

G20首脳宣言では、米国の反発を配慮し、『保護主義と闘う』との文言は盛り込まない方針で、『自由で公平な貿易を実現する』との文言を盛り込む方向で調整が進んでいる。

 

トランプ大統領はインドに対しては厳しい対応も

トランプ大統領はツイッターで『インドのモディ首相と話すのが楽しみだ。インドが何年も米国に対して高い関税をかけていたが、つい最近されをさらに引き上げた。これは受け入れられない、関税は撤回されなければならない』とつぶやいた。米国とインドの間では、米国が6月上旬、インドに適用していた『一般特恵関税制度(GSP)』から除外するとインドも米国に対して28品目の関税をすぐに引き上げて対立が続いている。市場では米中首脳会談に関しては米中が貿易センスおの停戦で暫定合意とサウス・チャイナ・モーニング・ポストが27日に報じてマーケットで好感する動きが広がっているが、対インドではトランプ政権が厳しい対応を取る恐れがある。

 

対イランに対してもトランプ流のディールか

米国とイランの対立は1980年の国交断絶から40年近くにわたり、今に始まった訳ではない。イランが米国を除く核合意当事国に原油輸出や金融決済で米国制裁を回避する方策を示すよう求め、期限が7月7日に迫る中、20日にイラン革命防衛隊が米国の無人偵察機を撃墜して中東情勢が緊迫化した。これに対しペンス副大統領やポンペオ国防長官にボルトン大統領補佐官など強硬派は主戦論を唱え、対イラン軍事攻撃を進言したが、トランプ大統領は一度ゴーサインを出したものの最終局面で距離を置いた。むろん、『最大限の圧力』で対話に追い込むのがトランプ流であり、軍事攻撃は対話機会を完全に頓挫させてしまう。『攻撃する』と言いながら実行しないのはオバマ前政権と同じ『弱腰』との批判が沸き起こったが、中東有数の軍事大国イランと戦争を始めれば短期決戦などあり得ない。そのため、トランプ政権は24日、軍事攻撃の代替策として最高指導者ハメネイ師を含む追加経済制裁を発表、近くザリフ外相にも制裁を科す等、米無人偵察機の撃墜等を巡りイラン指導部の責任を問う姿勢を明確にした。

 

ビットコインが一次急落:システムトラブル

米コインデスクによると、日本時間午前5:30分頃に1万3700ドル弱だったビットコイン価格が20分程度の間に1800ドル弱下落した。急落のきっかけと指摘されたのが米コインベースのシステム障害。同社は午前5時47分に障害を認識し調査中と公表した。価格情報がサイトで表示されなくなるなど事態が発生した。同社は6時13分に問題を特定し修復中とし、6時17分に修復が完了とした。コインベースはフェイスブックのリブら構想に参加している大手の仮想通貨交換会社で、システム障害が投資家心理を冷やした。そもそも高値警戒感が出ていたことも急落の背中を押した。年初に3700ドル程度だったビットコイン価格は22日に1万ドルを突破した。機関投資家マネーの流入もあり上昇ピッチを速めていた。その後、ビットコイン価格は1万3000ドル台半ばまで持ち直した。

 

欧米イベント

○18:00   6月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲7.2)
○18:00   6月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:104.6)
○18:30   5月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.5%/前年比6.3%)
○21:00   6月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.1%/前年比1.4%)
○21:30   1-3月期米国内総生産(GDP)確定値(予想:前期比年率3.1%)
      個人消費(確定値、予想:前期比1.3%)
        コアPCE(確定値、予想:前期比1.0%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22.0万件/166.5万人)
○23:00   5月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比1.0%/前年比0.4%)
○28日01:00   ノボトニー・オーストリア中銀総裁、講演
○28日02:00   米財務省、7年債入札
○28日03:00   メキシコ中銀、政策金利発表(予想:8.25%で据え置き)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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