FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米中貿易交渉の過度な警戒感が後退して下げ幅縮小

中国が対米報復関税を発表し米中対立激化への警戒感に前日のNYダウ617ドル安の急落を嫌気して売りが先行した。一時下げ幅を400円超へ広げ2万1000円割れとなった。しかし、トランプ大統領が米中貿易交渉に楽観的な見方を示したことで下げ渋った。結局、前日比124円安の2万1067円と7日続落で終了した。

 

東京外国為替市場:米中通商協議についての過度な懸念が後退

ドル/円は、トランプ大統領が米中通商協議について楽観的な見方を示すと、短期筋などのショートカバーが持ち込まれ、109.40円前後へ上昇した。東京市場では久しぶりの109円台前半で取引が始まったこともあり、国内輸入企業のドル買い・円売りも観測された。その後も、NYダウ先物の上昇や日経平均株価が2万1000円を回復したことに支えられ、109.65円近辺までじり高となった。午後もこの流れは続き、109.70円近辺まで上昇した。しかし、米中貿易摩擦が激化するとの根強い懸念から上げは一服、109.65円を挟んでもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、1.1240ドル前後で大きな方向感は出なかった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

15日に中国市場では4月の鉱工業生産と小売売上高などが公表

同じ4月分の製造業PMIや貿易統計での輸出は、前月改善からの反動減速となっていた。改めて中国の回復の鈍さが示されると、リスク回避の円高や中国経済の影響度が高い豪ドル、NZドル、カナダ・ドルといった資源国通貨の下落が後押しされる。
一方で中国では4月に輸入が改善した。中国では4月から減税がスタートしたほか、資金供給強化などの内需刺激策が強化されており、小売売上高などの内需指標は打たれ強さを示す可能性もある。

 

中国の消費マインドは低下傾向継続

中国自動車工業協会が13日発表した4月の新車販売台数は、前年同月比14.6%減の198万台だった。景気減速に加え、米中貿易摩擦の長期化で消費者の購入意欲が低下していることが響き、10カ月連続で前年実績を下回った。減少幅も前月(5.2%)から拡大し、2カ月ぶりに2桁の落ち込みとなった。

 

こう着する米中通商協議

9-10日に行われた米中協議は今後も協議を継続することで決裂は回避されたものの、物別れに終わった。米政府が求めている法改正の確約に対し、中国側は自国の利益を阻害する要求は受け入れない姿勢を強調した。中国共産党機関紙の人民日報は13日の社説で『中国は自国の尊厳を放棄することは決してない』、『誰しも中国が自国の根本的な利益を阻害する要求を受け入れることを期待すべきではない』と指摘した。
 中国は協議を継続する姿勢を示しているものの、重要な原則で譲歩することはないと強調している。これは今に変わったのではなく、最初から中国は『重要な原則』で譲歩するつもりはなかった。中国の強気は経済への大きな影響から中国の譲歩を期待していたトランプ米政権にとっては予想外だった。また、貿易摩擦(貿易不均衡)を巡る問題ではなく、先端技術分野を主戦場として強気に攻めてくるトランプ米政権の姿勢も中国にとっては想定外である。いずれにせよ、お互いに手を引けなくなっているのが厄介となる。中国は米国のやり方が『中国の主権と尊厳』を阻害する行為と見ており、譲歩するのは難しい。一方、2020年の米大統領選に向けて成果がほしいトランプ大統領も後戻りができない。

 

欧州議会選挙後の主要人事に注目

欧州委員会委員長、欧州理事会常任議長、欧州中央銀行総裁の人事は、月末の欧州議会選挙後に本格化しよう。主要人事が重なる今回は、3ポストを一体的に決定する可能性がある。鍵を握るのは委員長人事である。議会最大会派の筆頭候補が就く場合、ドイツが手に入れると予想される。 ただ、フランスのマクロン大統領が筆頭候補制に反対している。妥協案として浮上するのが、最大会派出身でフランス人のバルニエ元外相の委員長就任である。さらに待望論が聞かれるのが、ドイツのメルケル首相の常任議長就任である。ドイツとフランスの大物政治家がタッグを組む最強人事はあるのか、期待が膨らむ。

 

強弱混在が続く米経済指標に注目

14日の4月輸入物価については、資源反発のほか、昨年からの中国輸入製品関税引き上げを受けた緩やかな物価上昇が注視される。15日の4月小売売上高は前月改善の反動減速が予想されているが、株高やイースター商戦などにより、底堅さを示す可能性も無視できない。15日の住宅市場指数や住宅着工件数については、金利低下や雇用改善、春季入りなどによる持ち直しが焦点になる。一方で、、15日の鉱工業生産は、根深い貿易摩擦や自動車・ハイテクなどの減速が重石になる。15日のNY連銀、16日のフィラデルフィア連銀の各製造業景況指数や、17日のミシガン大学消費者信頼感はいずれも最新5月指標だけに、米中対立再燃や米国株反落などが悪材料になりやすい。

 

欧米イベント

○15:00   4月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比1.0%/前年比2.0%)
○15:00   4月独卸売物価指数(WPI)
○15:30   4月スイス生産者輸入価格(予想:前月比0.2%)
○15:30   4月インドWPI(予想:前年比3.07%)
○16:00   3月トルコ鉱工業生産(予想:前月比0.9%)
○16:00   ビルロワ・フランス中銀総裁、講演
○16:15   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○16:30   4月スウェーデンCPI(予想:前月比0.6%/前年比2.1%)
        コア指数(予想:前月比0.5%/前年比1.9%)
○17:30   4月英雇用統計(失業率/失業保険申請件数推移)
○17:30   1-3月英失業率(ILO方式、予想:3.9%)
○18:00   3月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比▲0.3%/前年比▲0.8%)
○18:00   5月独ZEW景況感指数(予想:5.0)
○18:00   5月ユーロ圏ZEW景況感指数
○21:30   4月米輸入物価指数(予想:前月比0.7%)
○15日01:45   ジョージ米カンザスシティー連銀総裁、講演
○米露外相会談(ソチ)

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