FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

米国は2000億ドル分の中国製品の追加関税率を25%に引き上げ

米政府は10日、中国からの2000億ドル相当の輸入品に対する関税を10%から25%に引き上げた。新たな関税は米東部時間10日午前0時1分(日本時間午後1時1分)以降の輸出品に適用される。

トランプ米政権は、欧州連合(EU)からの輸入品110億ドルに関税を導入すると表明し、欧州委員会が報復関税として200億ドルの米製品への課税を発表しており、欧米通商摩擦がユーロ圏の景況感悪化懸念を高めている。本日のドイツ3月の貿易黒字にも要注目となる。

 

日経平均株価:米中通商協議の先行き不透明で乱高下

朝方は、米国の対中関税引き上げの期限が迫り、売り方に株価指数先物を買い戻す動きが出た。米中通商協議継続ニュースの見方が出る中、上海株が上げ幅を拡大したことや為替市場でやや円安方向に振れたことも日本株の支えとなった。しかし、米政府が、中国からの2000億ドル相当の輸入品に対する関税を引き上げる見通しとなった。市場では、関税の実効までは時間的な猶予があり、引き続き協議の結果待ちだが、昼休み時間中に短期筋から先物売りが出て下げに転じた。引けにかけては米中貿易協議継続や週末ということもあり、先物主導で手仕舞いの買い戻しによる下げ幅を縮小した。結局、前日比57円安の2万1344円と5日続落で終了した。

 

東京外国為替市場:米中通商協議絡みで乱高下

ドル/円は、日経平均株価が買い先行となったことや、中国株高に支えられ110.04円前後まで上昇した。一部メディアが『米中通商協議は10日の午前も継続される』と報じられたことも、円売りを誘った。しかし、前日に付けた高値110.08円が意識されると、上げ幅は一服した。その後は、週末を控えた利益確定売や戻り待ちのドル売り・円買いに109.80円台へ押し戻された。午後は、トランプ政権は中国からの輸入品2000億ドル相当に課している関税を引き上げた。これに対して中国商務省も『米国に報復せざるを得ない』との声明を発表した。米中貿易摩擦が激化するとの警戒感から日経平均株価が下げ幅を拡大すると、リスク回避の円買いが強まって109.62円まで下落した。ただ、米中通商協議の行方を見極めたいとの雰囲気から下げ渋り、109.70円を挟んでもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、1.12ドル台前半で大きな方向感は出なかった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

南アフリカ総選挙では現政権が過半数維持する勢い

8日実施の南アフリカ総選挙(下院、400議席、任期5年)で、選挙管理委員会は10日未明、開票率70%超の時点での暫定結果を発表し、与党アフリカ民族会議(ANC)の得票率が約57%となった。汚職疑惑や景気低迷で批判を浴びていたが、過半数は維持する勢いだ。2014年の前回選挙で獲得した249議席を保つかどうかが焦点となる。過半数を維持した場合、昨年2月に大統領に就任したラマポーザ氏が、約2週間後の下院本会議で再任される。黒人主体の急進派、経済的解放の闘士(EFF)は、10日未明時点、前回から約3%増えて10%前後となっている。

 

昨日の米国経済指標:インフレ指標は安定的

米労働省が発表した4月生産者物価指数(PPI)は前月比+0.2%と、3月の+0.6%から低下し予想の+0.3%も下回った。前年比では+2.2%と上昇予想に反して3月と同水準にとどまった。変動の激しい食品やエネルギーを除いたコアPPIも前月比+0.1%と、3月+0.3%から予想以上に低下。前年比では+2.4%と、上昇予想に反して3月と同水準にとどまった。
先週分新規失業保険申請件数は前週比2000件減の22.8万件。予想22.0万件は上回った。失業保険継続受給者数は168.4万人と、減少予想に反して前回167.1万人から増加した。
同時刻に米商務省が発表した3月貿易収支は-500億ドルとなった。赤字幅は2月493億ドルから拡大したものの予想501億ドルは小幅下回った。

 

欧米イベント

○15:00   3月独貿易収支(予想:200億ユーロの黒字)
○15:00   3月独経常収支(予想:260億ユーロの黒字)
○15:00   4月ノルウェー消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.4%/前年比2.8%)
○15:45   3月仏鉱工業生産指数(予想:前月比▲0.5%)
○16:00   ビルロワ・フランス中銀総裁、講演
○16:00   プラート欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○16:30   ラウテンシュレーガーECB専務理事、講演
○17:30   3月英国内総生産(GDP、予想:前月比横ばい)
○17:30   1-3月期英GDP速報値(予想:前期比0.5%/前年比1.8%)
○17:30   3月英鉱工業生産指数(予想:前月比0.1%/前年比0.5%)
      製造業生産高(予想:前月比0.2%)
○17:30   3月英商品貿易収支/英貿易収支(予想:138億ポンドの赤字/46億ポンドの赤字)
○18:30   ビスコ・イタリア中銀総裁、講演
○21:00   3月インド鉱工業生産(予想:前年同月比1.3%)
○21:00   4月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前月比0.63%)
○21:30   3月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比2.8%)
○21:30   4月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化1万人/失業率5.8%)
○21:30   4月米消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.4%/前年比2.1%)
      エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比2.1%)
○21:30   ブレイナード米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○22:08   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○23:00   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○23:30   クーレECB理事、講演
○11日03:00   4月米月次財政収支(予想:1650億ドルの赤字)
○ロシア(振替休日)、休場
○12日 リトアニア大統領選

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