FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米中貿易摩擦の激化に警戒感売り優勢

米中貿易摩擦の激化に警戒感が広がったことで、朝方から幅広い銘柄が売られた。さらに、トランプ大統領の支持者集会で、中国は米国との通商協議で『ディールを破った』とし、合意に達しなければ厳しい関税に直面することになる』と発言したことが伝わると投資家心理が一段と冷やされ、下げ幅を拡大した。ただ、中国上海株の下げ渋りや、本邦一部企業による決算発表での自社株買い計画を好感、日銀による株式ETF購入の思惑などで下げ渋る展開となった。結局、前日比200円安の2万1402円と4日続落で終了した。

 

東京外国為替市場:リスク回避の円買いが優勢

ドル/円は、トランプ大統領が『中国は貿易協議で約束を破った』と発言したことから、リスク回避姿勢が強まって一時109.84円近辺まで下落し、約1ヵ月半ぶりの安値となった。日経平均株価の下げ幅が200円を超えたことも、円買いを誘った。しかし、3月25日につけた109.71円が下値の重要なサポートとして意識されると、下げは一服した。その後はトランプ大統領が『中国に関しては心配無用、全てうまく行く』との見解を示すと、値ごろ感からのドルを買い戻す動きも見られ、110.00円付近へ切り返した。午後に入ると、本邦実需などの売り買いが一巡したことから、109.95円前後でもみ合い相場となった。ユーロ/ドルは、1.1195ドルを挟んで小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

大詰めを迎える米中貿易閣僚級協議

中国の4月輸出が予想外のマイナスに落ち込んだことは世界経済への懸念を強めることになった。 ライトハイザーUSTR代表は中国が合意していた重要な事項ほぼ全てに関して再交渉を要請してきたため、対中輸入品に対する関税を引き上げる米国政府の方針を確認した。これに対し、中国も報復措置をも辞さない構えを示した。
トランプ米大統領は8日のツイ―トで『中国が合意を撤回した理由は、20年の大統領選を見据え民主党との交渉を望んでいるため』『本日、副首相が合意を成立するために訪米するとの中国政府からの報告を受けた』『同時に、1000億ドル規模の関税でもいい。米国には有益だが、中国にはよくないだろう』と言及した。
中国の通商代表団を指揮する劉副首相も訪米する。9日から米中貿易閣僚級協議が開催され大詰めを迎える。米国政府は2日目の協議終了を待たずに10日午前0時1分(日本時間10日午後1時1分)に関税引き上げに踏み切る方針を表明している。果たして関税の引き上げが回避されるかどうかが焦点となる。
報道によると、先週末に中国政府が公式に米国政府に送った通商協定草案で、数か月にかけて合意してきた重要な課題に関する150ページにわたる内容が削除されていた。このため、米国政府は中国製品対する関税を引き上げる方針を表明したとされている。世界で最大、第2位の貿易摩擦の深刻化は世界経済にも悪影響を与えることが警戒される。

 

トランプ大統領は自動車追加関税の決断を先送りか?

米商務省は2月に通商拡大法232条に基づく自動車関税報告書を提出し、トランプ大統領は今月18日までに関税を課すか同かを決める予定となっている。しかし、トランプ政権側と接触した自動車メーカー幹部は、トランプ大統領はさらに180日延ばす公算が大きいと語った。背景には現在も米国が欧州連合(EU)および日本とこの問題で協議を続けていることがある。

自動車・自動車部品輸入への追加関税は米議会でも反対の声が広がっている。8日には超党派の159人の下院議員がクドロー国家経済会議(NEC)委員長宛にの書簡で、『自動車セクターと米経済に打撃を与えかねない通商面の制約を課す』ことをやめるよう、クドロー氏がトランプ大統領に進言することを求めた。

 

具体性欠きポンド買いにつながらず

メイ英政権と最大野党・労働党は、欧州連合(EU)離脱を巡る協議に『真剣』に取り組んでいると首相官邸が8日の声明で言及した。『われわれはこれまで話し合った内容の詳細を確認しようとしており、今後数日のうちに両者間の作業グループの会合がさらに開かれ、文書のやりとりがさらに行われることになるだろう』と首相官邸。
労働党も『今週2回目となる協議を終え、交渉チームは合意の余地を確保しようと努力しており、来週初めに協議を再開する』と声明を発表した。

昨日は、『英国の欧州連合(EU)離脱を巡る与野党協議が決裂寸前』と報道されており、続報に要警戒となる。

 

南アフリカの総選挙の結果は11日:南アランドの変動要因

アフリカ最大の工業国で日本企業も多く進出する南アフリカの総選挙は8日、投票が行われ、開票作業が始まった。かつてアパルトヘイト=人種隔離政策の撤廃運動を率いた与党は、経済格差や汚職への不満からかつてない逆風にさらされていて、過半数を維持できるかが焦点となっている。南アフリカでは、5年に1度、総選挙で議会下院の400議席すべてが改選され、その投票が8日、全国で一斉に行われた。
南アフリカでは、アパルトヘイトの撤廃後、25年にわたって与党ANC=アフリカ民族会議が60%以上の得票率を得て政権を担ってきましたが、一向に解消しない人種間の経済格差や前のズマ大統領の汚職疑惑によって、かつてない批判にさらされている。選挙結果は、今月11日までに判明する見通し。

 

欧米イベント

○17:00   ノルウェー中銀、政策金利発表(予想:1.00%で据え置き)
○21:00   3月ブラジル小売売上高指数(予想:前年同月比▲2.6%)
○21:30   3月カナダ新築住宅価格指数(予想:前月比横ばい)
○21:30   3月カナダ貿易収支(予想:24.5億カナダドルの赤字)
○21:30   4月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.2%/前年比2.3%)
      食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比2.5%)
○21:30   3月米貿易収支(予想:502億ドルの赤字)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22万件/167万人)
○21:30   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、あいさつ
○22:00   4月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.06%)
○22:45   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○23:00   3月米卸売売上高(予想:前月比0.2%)
○23:00   3月米卸売在庫(予想:前月比横ばい)
○10日02:00   米財務省、30年債入札
○10日02:15   エバンズ米シカゴ連銀総裁、講演
○米中閣僚級貿易協議(ワシントン、10日まで)
○欧州連合(EU)非公式首脳会議(ルーマニア・シビウ)
○ロシア(戦勝記念日)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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