FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:前日欧米株式相場の急落を引き継いだ下げ

トランプ大統領の対中関税引き上げ発言を嫌気した前日の欧米株式相場の急落を受けて、投資家心理が悪化しリスク回避の売り、一時下げ幅を400円に広げた。ただ、上海株やNYダウ先物が比較的落ち着いた値動きとなったことから一段安は免れた。結局、前日比321円安の2万1602円と3日続落して終了した。

 

東京外国為替市場:リスク回避の円買いが強まった

ドル/円は、トランプ米政権が10日に対中関税を引き上げる方針を示し、米中貿易摩擦が激化するとの警戒感から調整色が強まり、109.95円付近まで下落した。日経平均株価の大幅安も、リスク回避の円買いを誘った。ただ、110円割れの水準では国内輸入企業などがドル買い・円売りに動き、110.00円を挟んでもみ合う展開となった。午後は、日経平均株価が冴えない動きや中国1~4月期対米貿易黒字が昨年同期比で増加したことを背景に一時109.90円付近まで下落した。ただ、9~10日に再開される閣僚級の米中通商協議を見極めたいとの雰囲気から下げ渋り110.00円付近でもみ合った。ユーロ/ドルは、1.1205ドル前後で方向感に欠く値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

中国4月米国向け輸出は減少傾向鮮明

8日発表された中国4月米国向け輸出(ドル建て)がトランプ政権の10%関税の影響本格化により前年同月比▲13%、米国からの輸入(同)が同▲26%と昨年9月から8ヵ月連続で前年を下回った。春節(旧正月)の特殊要因を均し1-3月輸出水準(前年同期比▲9%)と比べても4月はマイナス幅が拡大した。昨年7-9月に米国が発動した10%追加関税によりその後駆け込み輸出が起きたが、すでにその反動減少に見舞われている。対米輸出の不振で輸出全体も4月は前年同月比▲3%と2ヶ月ぶり減少となった。

 

中国側の裏技に米国側が激怒し関税引き上げ

日本の十連休の終盤、トランプ大統領が5日のツイッターに『中国との通商協議は継続しているが、遅すぎる。中国側は再交渉しようとている。ノーだ』と投稿し、中国発の株安、リスク回避の円高が進行した。 連休中に数々の米国指標やイベントを無難にこなしたが、結局、タリフマンの発言に振り回された。駆け引きが合意に至らねば、米中次第で世界経済の回復時期が後ズレする可能性が出てくる。 今回の騒動の発端となったのは、基本的には中国側の変化にあることは事実である。知的財産権を守る法改正を伴う合意事項や、中国企業に支給されている国からの補助金を巡る合意事項の文言を突然削除することが判明した。ライトハイザーUSTR代表が慌ててトランプ米大統領に報告したことが関税引き上げ表明の理由となっている。
 関係者からの話によれば、『これまで両国で作成していた合意文書は全て英語だったが、最終的に中国語の文書が作られて、共産党幹部に回覧された。その時点で、かかる文言の削除が副首相のほうに命じられたのではないか』とのこと。米国側は、『当然そのままの文言で合意している』前提だったことから、『全く話が違う』ということになった。いずれにしても、9日から訪米する中国の交渉団次第ということになっているが、しばらくはかかるヘッドラインに振り回されることになる。 

 

英離脱協議の行方は視界不良のまま

大型連休中の英EU離脱協議に目立った進展はなし。2日の統一地方選で与党・保守党は歴史的な敗北を喫し、党内からメイ首相への退陣圧力が再燃している。首相は早期の離脱実現を目指し、与野党協議での追加譲歩に傾いている。 ただ、メイ首相の譲歩案は労働党が求める関税同盟の永久残留とは隔たりがあり、労働党が譲歩提案を受け入れるかは予断を許さない状態。仮に与野党間で合意に至ったとしても、議会での合意受け入れ採決や法制化作業の行方は不透明となっている。 また、首相が労働党に歩み寄れば、メイ降ろしが本格化する可能性が高い。与野党協議が決裂した場合、首相は代替案の投票で離脱方針の一本化を探る模様で、この場合も、細部での意見集約は難航が予想される。

 

原油相場の底堅さはドルの下支え要因

原油相場は前週以降、米FRBの利下げ後退や米中貿易協議の対立懸念などでも底堅さを維持させている。一因としては米国が産油国であるイラン、ベネズエラへの制裁を強化しており、供給制約の懸念がある。イランに関しては米国が5日、『イランによる数々の挑発的言動』に対応するため、空母打撃群と爆撃部隊を中東に派遣すると発表した。これまた原油相場の下支え要因となりやすい。
原油相場の底堅さは、米国でのインフレ底上げと金利低下の歯止めを通じて、ドルの下支え要因となりやすい。日本はイラン周辺の中東諸国からの原油輸入依存が高く、中東の地政学リスクは資源価格の上昇や資源調達難などによる円安材料となる。その反面、イラン発の有事緊張の高まりは、リスク回避による円高の潜在要因としても注視される。

 

欧米イベント

○14:45   4月スイス失業率(季節調整前、予想:2.3%)
○15:00   3月独鉱工業生産(予想:前月比▲0.5%/前年同月比▲2.6%)
○17:15   ラムスデン・イングランド銀行(英中銀、BOE)副総裁、講演
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:30   ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○21:15   4月カナダ住宅着工件数(予想:19.64万件)
○21:30   ブレイナード米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○23:30   EIA週間在庫統計
○9日02:00   米財務省、10年債入札
○9日05:00   オアRBNZ総裁、議会証言
○9日06:00   ブラジル中銀、政策金利発表(予想:6.50%で据え置き)
○南アフリカ総選挙

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

カテゴリー

カレンダー

4月 2024
« 1月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ページの先頭へ