FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米中通商企業の先行き懸念が重石

中国は通商協議の一時的中断の用意があるとの観測報道が嫌気されたほか、上海株のマイナス転換やNYダウ先物の軟調推移も重石となった。市場からは、先月26日に発表された日本企業の決算で市場予想を下回る見通しを出した企業が散見された。控えめに出てくることは想定されたことではあるが、米中協議が長期化または頓挫すれば、回復を見込んでいたシナリオが狂ってくる。米中協議への懸念がじわりと効いてきている。との指摘もあった。結局、前週末比335円安の2万1923円と続落して終了した。

 

東京外国為替市場:米中貿易摩擦激化懸念からドルの重石に

ドル/円は、トランプ米政権が10日に対中関税を引き上げる方針を示したことを背景に、110.65円近辺まで下落した。日経平均株価が節目の2万2000円を一時1ヵ月ぶりに下回ったことも、リスク回避の円買いを誘った。しかし、上海株価指数が買い先行で始まったことや連休明けとなる本邦実需筋がドル買い・円売りに動きたことで、110.70円台まで戻した。午後は、日経平均株価の下げ幅をながめて、110.61円近辺までじり安となった。ユーロ/ドルは、米中貿易摩擦激化するとの懸念から持ち高調整などのユーロ買い・ドル売りが入り1.1215ドル近辺まで上昇した。

 

豪準備銀行の政策金利の据え置きで豪ドル買い戻し

豪準備銀行(中央銀行)は本日開催した理事会で政策金利を1.50%に据え置くことを決定した。市場参加者の多数は0.25%の利下げを予想していたことから、金利据え置きを受けて豪ドル買いが強まった。

 

トルコリラの重石となっている要因

今週前半には、エルドアン大統領率いる与党・公正発展党(AKP)が要請している『イスタンブール市長選の再投票』について、トルコ高等選挙評議会(YSK)が審議結果を発表する。YSKの決定に対してエルドアン大統領の圧力は増しているようであり、先週は複数のYSKメンバーが大統領府に呼ばれたという話も噂ベースだが伝わった。また、週末にはYSK委員長が大統領と会ったとの噂もでている。地元イスタンブールを取り戻すために大統領は必死だが、先行き政局不安を招きトルコリラ売りにつながっている。また、チャウショール・トルコ外務相は、トルコがキプロス沿岸で天然ガス油田の掘削工事を開始することを表明した。それに対して米国や欧州諸国は強く反発している。トルコが関係を深めているイランに対しても米国は経済制裁を強め、くわえて軍事的行動も示唆した。トルコと欧米諸国との関係悪化への懸念は高まっていることも通貨リラの売り圧力となっている。

 

ラマダン入りで世界的にテロ攻撃を警戒

サウジアラビアなど中東のイスラム圏で6日、イスラム教徒が日の出から日没まで飲食や喫煙を断つラマダン(断食月)が始まった。預言者ムハンマドが神(アラー)の啓示を受けた最も神聖な月とされ、信仰心が高まる。イスラム過激派は例年ラマダンに合わせテロ攻撃を繰り返しており、各地で厳戒態勢が敷かれている。過激派組織『イスラム国』(IS)が3月にシリア最後の拠点を失って以降、初のラマダンとなる。IS最高指導者バグダディ容疑者とされる男は4月末、動画で『ジハード(聖戦)は最後まで続くことを敵は知るべきだ』と主張している。世界中でIS過激思想の支持者らが触発される恐れもある。

 

米中貿易協議に関してNY市場は楽観的

米国のトランプ大統領は全中国輸入品に対して25%の関税を課すと警告した。これを受け、中国政府は8日から開催を予定していた協議に出席するための代表団派遣を中止することを検討していると報じられた。先週までは、協議が順調に進んでおり今週末の協議で合意成立も期待されていた。 他の報道によると中国政府は依然代表団の派遣を計画しているが、交渉を指揮している劉副首相が含まれるかどうかはまだわからない。警告はトランプ大統領が交渉を有利に進めるための手段に過ぎないとの見方も少なくない。動向は流動的で、特に今後1,2日の動きに焦点が集まっている。
ただ、大手金融機関のストラティジストは比較的楽観的。ゴールドマンサックスのアナリストは、米国政府が10日までに対中輸入品2,000億ドルに対して関税を引き上げることはかろうじて回避できる可能性が強いとの考えを示した。また、シテイ銀のアナリストも貿易摩擦の激化を予想していないとしている。UBSは『警告のタイミングからして、貿易交渉のレバレッジを最大限に引き上げる手段だ』と受け止めている。ウォールストリートの期待通りに、関税の引き上げがかろうじて回避できた場合は、リスクオンの動きが再開することになる。

 

欧米イベント

○15:00   3月独製造業新規受注(予想:前月比1.5%/前年同月比▲5.4%)
○15:45   3月仏貿易収支(予想:45億ユーロの赤字)
○15:45   3月仏経常収支
○18:20   カンリフ・イングランド銀行(BOE)副総裁、講演
○20:00   カプラン米ダラス連銀総裁、講演
○23:00   4月カナダIvey購買部協会景気指数(予想:53.0)
○8日01:30   ホールデン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○8日02:00   米財務省、3年債入札
○8日04:00   3月米消費者信用残高(予想:160億ドル)
○7-8日   4月ロシア消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.3%)

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