FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:世界経済減速を警戒した売り優勢

世界経済減速を警戒した欧米株安が日本やアジアに波及し世界連鎖株安の様相を呈し、一時下げ幅を700円超へ広げ2週間ぶりの2万1000円を割り込んだ。特にヘッジファンドなど海外投資家が世界景気敏感株である日本株売りに傾斜するも日銀の上場投信(ETF)買い思惑にやや下げ渋った。結局、前週末比650円安の2万977円で終了した。

 

東京外国為替市場:ドルの上値が重い展開

ドル/円は、日経平均株価の大幅安や米長期金利の低下を背景に109.72円へ下落した。22日に発表された米製造業関連指標が低調な結果となったことも、引き続きドルの重石となった。ただ、下値では値ごろ感からドル押し目買いが入り下げは一服した。午後は本邦実需筋のドル買い・円売りや米長期金利の低下一服に支えられて、110.05円近辺までじり高となった。ただ、世界経済の減速懸念から上値では利食い売りも見られ、110.00円を挟んでもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、1.1300ドル前後で方向感を欠いた展開となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

EU側の堪忍袋の緒が切れた決定

メイ英首相は21日からのEU首脳会議の雨に離脱案の承認を取り付けるために英議会で19日に3度目の採決を行う意向だったが、バーコウ英下院議長が『下院で既に2回否決された離脱合意案と同一内容の合意案を会期中に改めて採決できない』との声明を発表し、首相のもくろみは宙に浮いた。これでメイ首相は6月30日までの離脱延期をEUに要請し、EUの対応・離脱延期の期限が焦点となった。EU側も経済や社会に混乱をもたらす『合意なき離脱』を望んでおらず、合意しないまま英国を離脱に追いやることはしたくないのが本音である。21日のEU首脳会議は、今週中にも英議会で再び離脱案の採決し、可決なら5月22日に『合意の離脱』、否決なら4月12日までに『合意なき離脱』か『離脱の長期延期』のどちらかを選択するようにと、英国の最終通告を突きつけた。いつまでも呑気な英国に対し、ついにEU側の堪忍袋の緒が切れた。4月12日、5月22日というのはEUが大きな政治イベントである5月23-26日の欧州議会選挙を意識した決定となる。

 

短期的には円高だが中期的には円安:JPモルガン証券レポート

25日のレポートで、前週末の米国市場でFF金利先物の利下げ織り込み度が拡大する中、為替市場でドル安・円高が進んだことについて『当社は引き続き年内は金融政策の変更がないとみている。仮に今年3月以降のドル/円とFF金利先物の利下げ織り込み度の相関が維持されている間に市場の織り込みが利下げ無しまで回復すると、ドル/円は112円ちょうど近辺まで反発することになる』と指摘した。足元の為替市場でFF金利先物の利下げ織り込み度とドル/円の正相関の関係が出ていることを踏まえた分析だ。その上で『2020年には1度の利上げを予想しているが、仮に今年3月以降の相関が維持されている間に、市場が1回の利上げを織り込むと、ドル/円は、113円台半ばまで反発することになる』とも見込んだ。レポートでは『短期的には、更に円高方向へ調整する可能性は排除できないが、利下げの織り込みはやや行き過ぎと考えられることから、当社は引き続きドル/円は年央に向けて114円方向へ上昇するとの見通しを維持する』とし、中期的なドル高円安シナリオを維持した。

 

世界的に中銀の対応余地を狭めるリスク

欧米の主要中銀が急きょ金融政策をハト派路線へと転換した影響が世界に広がっている。その結果、より規模の小さい国では、経済がおおむね健全であるにもかかわらず、政策金利は今後何年にもわたり低水準、もしくはマイナスに張り付いたままとなる恐れがある。こうした金融緩和政策は、不安定な資産バブルの温床となる可能性があるほか、次回のリセッション(景気後退)時に、中銀の対応余地を狭めることにもなりかねない。

 

米中通商協議が開催:予断を許さない状況が継続

28-29日に北京で米中通商協議が開催され、米国側はライトハイザー米通商代表部(USTR)代表ムニューシン米財務長官、中国側は劉鶴中国副首相が協議に臨む。トランプ大統領は3-4週間以内での決着を示唆しており、4月に先送りされている米中首脳会談での最終合意への期待感が高まっている。しかし、トランプ大統領は『交渉は極めて順調に進捗していると考えている。合意は急いでいない。米国にとり正しいディール(取引)である必要があり、そうでなければディールは行わない』と述べている。中国側が米国の要求に抵抗しており協議は難航しているとの報道もあり、予断を許さない状況が続く。

 

★欧米イベント

○18:00   3月独Ifo企業景況感指数(予想:98.5)
○18:15   コスタ・ポルトガル中銀総裁、講演
○18:30   クーレ欧州中央銀行(ECB)理事、講演
○19:00   ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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