FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:利益確定売りに押される展開

前日のNYダウが一時410ドル超の下落となり結局204ドル安と反落したことを受け、日経平均株価も軟調推移となった。前日に18年10月高値から12月安値の下げ幅に対して『半値戻し』を達成したことで利益確定売りが出やすかった。中国・全人代で19年のGDP成長率を2年ぶりに引き下げたことで、中国の景気減速懸念に一時下げ幅を163円まで広げた。しかし、押し目買いも入り引けにかけて下げ足を縮めた。結局、前日比95円安の2万1726円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:111台後半でもみ合う展開継続

ドル/円は、本邦実需筋などのドル買い・円売りに支えられ、一時111.94円まで上昇した。しかし、午前に発表された中国非製造業PMIが予想を下回ったことを受けて、利食い売りなどに押されて111.80円台へ軟化した。午後は、日経平均株価の下げ幅縮小や中国株の持ち直しをながめて111.95円近辺までじり高となった。ただ、前日につけた112.01円がレジスタンスとして意識されると上げは一服し、111.90円を挟んでもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、米中通商交渉が合意に近づいているとの観測からポジション調整などのユーロ売り・ドル買いが入り1.1325ドル付近へ下落した。

 

★欧州市場では1月ユーロ圏小売売上高が公表

12月実績は前月比▲1.6%と急減したが、市場予想と概ね一致した。食品を除く売上やオンライン販売の減少が要因となっている。ドイツの小売売上高が大幅に減少したことも影響した。1月はドイツの小売売上高の反動増が予想されるが、オンライン販売の大幅な増加期待できないことから、ユーロ圏全体の売上高は市場予想を下回る可能性がある。

 

米名目GDP前年比と米10年債金利から市場を読む

米国では悪材料が相次いだ昨年10-12月期の米GDPは名目前年比が+5.3%となり、前期の+5.5%から鈍化したものの高い伸び率が堅持されている。一方で同期に米10年債金利のほうは、2.68%方向に低下する場面があった(債券価格は上昇)。結果、『名目GDP前年比-10年債金利』の格差は+2.62%となり(前期は+2.69%)、3期連続で+2.6%超えの大幅乖離が維持された。米国で『名目GDP前年比-10年債金利』の格差が3期連続以上の2.6%超えとなったのは、2014-2015年があった。その前でいえば、2012年に観測されている。いずれもその後は1-2年後を含めて、短期調整的な景気減速や株安を挟みながらも、景気改善と株高の軌道は慣性的に維持されてきた。さらにさかのぼると、1976年から1979年以来となる緩和環境となるものだ。当時の名目GDP前年比は1977年1-3月の+9.2%をボトムとして、1979年1-3月には+14.7%へと成長モメンタムが増幅されている。こうした前例を含めて、『名目GDP前年比-10年債金利』の格差がプラス化となっている局面では、FRBによる利下げ転換は観測されていない。いずれも利下げ転換までには1-2年の期間を有しているほか、1980年代以降の前例では、同格差がマイナス転換(=引き締め環境による景気悪化)になって、初めてFRBは利下げへと移行している。

 

再びパウエル米FRB議長を批判:転ばぬ先の杖批判

トランプ米大統領は週末にメリーランドで開催された保守政治活動会議(CPAC)のラリーで、ドル高や米国の金利上昇、量的引き締めを導いたとして米FRBのパウエル議長を再び批判した。『ドルが高すぎる』として、ドル安誘導に努めた。トランプ大統領は、米国経済に有益に働く理に適う『強いドル』が望ましく、米国の企業が他国と取引ができなくなりビジネスチャンスを奪われる『強すぎるドル』は望まないと訴えた。米国経済の回復が中断すようなことになったり、金融市場に混乱がもたらされた場合、その責任をFRBに担ってもらう策略だと市場は分析している。

 

米雇用統計では賃金上昇率が高まる傾向維持なら丸く収まる

米雇用統計が週末に発表されるほか、ベージュブックの発表が注目される。雇用統計は、2月分も市場は好調な結果を予想しているが、景気に遅行する性質を勘案すれば十分あり得る。 ここのところ就業者の増加幅が大きい一方で、失業率は上昇気味となるなど、一見すると矛盾する動きが目立っているが、これは労働参加率の改善で説明可能だ。労働参加率の水準はまだ低く、改善も緩やかではあるが、着実に上昇傾向を辿っている。 労働参加率改善を促しているのは、賃金を中心とした雇用環境の改善にあると考えられる。インフレ懸念が極めて低いなかでの景気の減速懸念から、FF金利先物は先行きの利下げを織り込むような格好となっている。 しかし、賃金上昇率が高まるような傾向を維持していれば、“結局全てが丸く収まる”ことを期待しているような市場の動きにも変調が生じる可能性が出てくる。

 

米国市場では2月ISM非製造業景況指数が公表

2月ISM非製造業景況指数は57.2と、1月の56.7を上回る見通しである。FRBの3月利上げ観測が後退しているが、想定以上に強い内容となれば株高・ドル高を誘発する手掛かりとなる。

 

欧米イベント

○16:30   2月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.4%)
○17:50   2月仏サービス部門PMI改定値(予想:49.8)
○17:55   2月独サービス部門PMI改定値(予想:55.1)
○18:00   2月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:52.3)
○18:30   2月英サービス部門PMI(予想:49.9)
○18:30   10-12月期南アフリカ国内総生産(GDP、予想:前期比年率1.8%/前年同期比0.6%)
○19:00   1月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比1.2%/前年比1.9%)
○21:30   ローゼングレン米ボストン連銀総裁、講演
○23:30   カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、ミネソタ州議会で証言
○23:45   2月米サービス部門PMI改定値(予想:56.2)
○23:45   2月米総合PMI改定値
○24:00   2月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:57.3)
○24:00   12月米新築住宅販売件数(予想:前月比▲8.7%/60万件)
○6日00:35   カーニー・イングランド銀行(BOE)総裁、英上院経済問題委員会の公聴会に出席
○6日01:30   バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○6日04:00   1月米月次財政収支(予想:250億ドルの黒字)
○ブラジル(カーニバル)、休場

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