FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:円高を嫌気した売り広がる

NY市場で米FRB当局者から利上げ見送り支持発言などが出たことで、日米金利差拡大思惑が後退して1ドル=107円台へ円高が進行した。そのため、円高により採算悪化懸念から機械・電気機器など輸出関連株中心に売りが膨らみ、一時下げ幅をを326円へ広げた。結局、前日比263円安の2万0163円と4日ぶり反落して終了した。

 

東京外国為替市場:リスク回避の円買いで108円割れ

ドル/円は、日経平均株価の下げ幅拡大や米長期金利の低下をながめてドル売り・円買いが進み、107.85円付近へ下落した。中国商務省が『米中貿易協議では広範囲で深く、綿密に連絡を取ることで合意した』との声明を発表した。市場が期待していた成果などの具体的な内容が示されなかったこともあり、リスク回避の円買いが強まった。午後は、NY時間に予定されているFRB当局者の講演を控えて様子見ムードが広がり、109円台でもみ合いの展開となった。ユーロ/ドルは、FRBの利上げ打ち止め観測から一時1.1569ドル付近まで上昇し、昨年10月中旬以来のユーロ高・ドル安をつけた。しかし、高値警戒感から伸び悩むと利食い売りなどに1.15ドル台半ばへ小緩んだ。

 

米FRBでは政策がハト派に傾斜する可能性

2019年のFOMCはブラード・セントルイス連銀総裁、エバンス・シカゴ連銀総裁、ローゼングレン・ボストン連銀総裁といったハト派メンバーが新たに加わることになり、政策がハト派に傾斜する可能性が見込まれる。タカ派はジョージ米カンザスシティー地区連銀総裁のみ。このため、本年の利上げ観測が後退しつつあり、ドル売り圧力となる可能性がある。また、米FRBが公表したFOMC議事録(2018年12月18-19日開催分)の中でも、12月の時点ですでに、政策決定当局者は、利上げの期間や将来の利上げのタイミングに関し、一段と不明確になったと判断。追加利上げについて辛抱強くなる余地があると多くが判断したことが明らかになった。FOMCは12月の会合で2018年度で4回目の利上げを決定したが、数人のメンバーが、下方リスクが上昇した可能性を指摘し、12月の利上げに反論したメンバーもいたことも明らかになるなど、ハト派色が濃い内容となった。 そのため、さらなる慎重な発言は、ドルの上値を一段と抑制することになる。

 

米政権側の結束の乱れが露呈

米下院は9日、閉鎖された連邦政府機関の再開に向け、支出を手当てする法案を可決した。下院多数派の民主党が主導した法案はトランプ大統領が求めるメキシコ国境の壁建設費を含まないが、8人の共和党議員が賛成に回り、政権側の結束の乱れが露呈した。トランプ大統領はこれに先立ち、議会を訪れた際、共和党は壁建設に向けて「完全に結束している」と強調していた。法案は下院で賛成240、反対188の賛成多数で可決された。賛成の内訳は民主党232、共和党8だった。共和党が多数派の上院で法案が可決される見込みはなく、政府閉鎖の解決につながる可能性は低い。

 

期待剥落でアジア市場でミニリスクオフ

米中貿易交渉の声明では、昨夕から『もう間もなく声明を出す』とアナウンスされたものの、『一部の構造改革などで合意に至らなかった部分があった』ようで、『更に上のレベルでの話し合いが行われている』という理由から、米中の貿易交渉に関する声明は曖昧なものにとどまった。今朝になって、中国商務省から『米国とは広く、深く、そして詳細に渡って連絡を取ることで合意した』との声明が表明されたが、結局は『期待以上』のものは何も得ることは出来なかった。
 また、トランプ米大統領は、国民に向けたメキシコ国境の壁建設の必要性を訴える演説のあと、一夜が明けたホワイトハウスで民主党のペロシ下院議長とシューマー上院院内総務と会談したものの、『時間の無駄だった』とのツイートを残すとともに、会談の場を退席するといった事態になった。演説では『決着をつける』と表明しておきながら、結局は何も進展がなかった。希望のなくなった市場は、アジア時間からミニリスクオフといった反応となっている。

 

再び米国債格下げショックの懸念も

オバマ第44代米大統領は、2009年は前年秋のリーマンショックによる経済恐慌に対する財政拡大による景気刺激策、2010年は医療保険制度改革と金融規制改革に取り組んだ。しかし、2010年11月の米議会中間選挙で、『ティーパーティー』と呼ばれた草の根保守運動により、不信任を突き付けられて『ねじれ議会』となった。
2011年8月、オバマ米政権は、下院共和党と債務上限(14.29兆ドル)引き上げを巡る不毛な論争に明け暮れていた。連邦政府機関の閉鎖に追い込まれたものの、8月2日に『債務上限引き上げ法(Budget Control Act of 2011)』により債務上限を14.694兆ドルへ引き上げて、デフォルトを回避し、債務を10年間で2.4兆ドル削減する計画を決定した。しかし、8月5日、米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、米長期国債の格付けを最上位の「AAA」から「AA+」に1段階格下げし、8日(月曜日)に米国債格下げショックが市場を襲った。今回も米財務省は、3月2日までに債務上限が引き上げられなければデフォルト(債務不履行)を引き起こすと警告している。 そして、フィッチ格付け会社は、『米債務上限に関する問題が浮上すれば、『AAA』格付けを再考する』と警告している。

 

欧米イベント

○16:00   12月ノルウェー消費者物価指数(CPI、予想:前月比▲0.1%/前年比3.4%)
○16:45   11月仏鉱工業生産指数(予想:前月比横ばい)
○21:30   欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨(12月13日分)
○22:30   11月カナダ新築住宅価格指数(予想:前月比横ばい)
○22:30   11月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比▲0.5%)
○22:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22.5万件/171.4万人)
○22:35   バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○24:00   11月米卸売売上高(予想:前月比▲0.1%)
○24:00   11月米卸売在庫(予想:前月比0.5%)
○11日02:00   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、講演
○11日02:30   ビルロワ・フランス中銀総裁、講演
○11日02:40   ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
○11日03:00   エバンズ米シカゴ連銀総裁、講演
○11日03:00   米財務省、30年債入札
○11日03:20   カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
○10-11日   12月ロシア消費者物価指数(CPI)確報値
○トランプ米大統領、メキシコ国境訪問

※米政府が一部閉鎖されているため、指標の発表は流動的となっています。

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

カテゴリー

カレンダー

5月 2024
« 1月    
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

ページの先頭へ