FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

中国経済指標の持ち直しでリスク回避がやや後退

中国の12月財新メディア非製造業PMI(購買担当者指数)は53.9と前月比+0.1ポイント上昇し、景気判断の分岐点50上回り18年6月(53.9)以来6ヵ月ぶり高水準となった。2日発表された中国12月製造業PMIは49.7と前月比-0.5ポイント低下の17年5月以来1年7ヵ月ぶり節目50を割り込んだ。なお、12月31日に中国国家統計局が発表した12月製造業PMIは49.4と前月比-0.6ポイント低下し分岐点50を割り込んだが、同非製造業PMIは53.8と前月比0.4ポイント上昇した。外需が落ち込むも中国政府の金融財政の政策総動員により非製造業の内需は底入れが期待される。

 

日経平均株価:アジア株価指数の持ち直しで下げ幅縮小

大発会となった本日の日経平均株価は、前日NYダウ660ドル安の大幅反落や年末・年始に発表された米中経済指標の悪化が嫌気され売りが先行した。また、米アップルの売上高見通しを下方修正を受け世界景気減速懸念が強まり1ドル=107円台後半の円高も嫌気され一時下落幅を773円に広げた。ただ、本日発表された中国の12月財新メディア非製造業PMIが市場予想を上回る結果となったことから、アジア株がプラス圏で推移したことから、下げ幅を縮小した。結局、前営業日比452円安の1万9561円と続落して終了した。

 

東京外国為替市場:リスク回避の動き弱まり円売りがやや優勢

ドル/円は、日経平均株価の下げ幅が一時700円を超えたことか嫌気され、一時107.52円付近まで下落した。ただ、足もとの急激なドル安・円高に対する警戒感から下げは一服した。その後、中国商務省が『7~8日に米中の貿易協議を次官級で実施する』と発表すると、ショートカバーが持ち込まれて108.20円付近まで反発した。午後に入っても円売りの流れは続き、108.45円付近まで上昇した。ただ、今晩予定されている12月米雇用統計を控えて、上値では利益確定や戻り待ちのドル売り・円買いも見られ、108.20円台を中心にもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、1.1395ドル前後で大きな方向感は出なかった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

トルコのインフレ低下も財政支出拡大を懸念

トルコ統計局は3日、12月の消費者物価指数(CPI)が前年同月に比べ20.3%上がったと発表した。前月の21.6%から上昇率は縮小した。インフレの低下は2ヵ月連続。政府の減税措置や値下げキャンペーン、原油相場下落が効いたもようだ。18年末のインフレ率はほぼ市場予想通りとなった。トルコの中央銀行は2018年10月に同年末のCPIについて従来の予測を大幅に修正し、23.5%としていた。政府は18年12月末に、年末に期限が切れた自動車や家具などを対象とした減税措置を統一地方選が予定される19年3月末まで延長すると発表した。エルドアン大統領は事前に19年1月から住宅の電力料金を10%、住宅と中小企業を対象とする天然ガス料金も10%値下げすると発表していた。市場は選挙を控えたエルドアン政権の財政支出拡大を懸念している。

 

市場では19年末の米FRBの利上げは2回と予想

現在のフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は2.25%~2.50%になっている。フライマリー・ディーラー20社中14社が19年末は2.75~3.00%と予想している。1回当たり0.25%ずつ上げるとして、2回の利上げに相当する。FRBが景気をふかしも冷やしもしない中立金利(2.75%)とみなす水準に達する。バークレイズなど6社は3.00~3.25%と中立金利以上に上げるとみている。各社がFRBの見通し通りの利上げを予想するのは、19年の米景気や物価上昇率が底堅さを保ち、労働市場の引き締まりも続くとみている。

 

米潜成長率を超える伸び続く見通し

19年の実質国内総生産(GDP)成長率は20社平均で2.4%とFRB見通し(2.3%)とほぼ同水準とみている。FRBが物価指標として重視する食料・エネルギーを除くコア個人消費支出(PCE)デフレーター上昇率の各社の予想は2.0~2.3%と、FRB見通し(2.0%)並みかやや上回る。2%弱の潜在成長率を上回る成長が続く中、物価も緩やかな上昇を続けるとの見方をしている。労働需給の引き締まりも利上げを後押しするとみている。18年11月に3.7%だった失業率は、19年中に20社平均で3.4%とFRB見通し(3.5%)並みに低下すると予想している。米国野村証券など4社は3.2%、ゴールドマン・サックスは3.0%と予想している。また、FRBより高いのはスコシアバンク(3.90%)など4社にとどまる。

 

米国市場では12月の雇用時計が公表

2019年は米国経の成長鈍化が懸念される中、労働市場は引き続き強い伸びが予想されている。市場では、失業率が3.7%と、ほぼ50年来の低水準を維持すると予想している。また、非農業部門雇用者数が18.1万人の増加を予想している。市場では、2019年の労働市場や賃金の緩やかな拡大を予想している。労働省が発表する雇用統計の先行指標の中でも相関関係が強いとされるADP雇用統計の12月分は前月比+27.1万人と、市場予想の+18.0万人を上回り、2017年2月来で最高水準となった。週次の失業保険申請件数は増加したものの、米国政府機関閉鎖が要因に挙げられている。一方で、貿易戦争、関税の影響もあり製造活動は弱く、これにともない製造業の雇用も鈍化すると予想されている。全米の製造業活動を示すISM製造業の雇用は56.2となり、2018年4月来で最低となった。また、コンファレンスボードが発表した米国の12月消費者信頼感指数での雇用の見通しも大きく悪化した。今後6ヶ月間で雇用が増加するとの回答は16.6%と、11月の22.7%から6.1%低下し、低下幅は1977年来で最大を記録した。今後の小売りでの雇用が鈍化する可能性が警戒される。パウエル米FRB議長は4日に米国経済学会の年次総会で前イエレン議長、元バーナンキ議長とともに共同記者会見を予定しており、昨年のタカ派的な姿勢から慎重な姿勢に修正されるかどうかに焦点が集まる。

 

欧米イベント

○16:00   12月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比0.1%)
○16:45   12月仏消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.1%/前年比1.8%)
○17:50   12月仏サービス部門PMI改定値(予想:49.6)
○17:55   12月独雇用統計(予想:失業率5.0%/失業者数変化▲1.1万人)
○17:55   12月独サービス部門PMI改定値(予想:52.5)
○18:00   12月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:51.4)
○18:30   11月英消費者信用残高(予想:9.5億ポンド)
○18:30   11月英マネーサプライM4
○18:30   12月英サービス部門PMI(予想:50.7)
○19:00   11月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比▲0.2%/前年比4.1%)
○19:00   12月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比1.8%)
○19:00   12月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比1.0%)
○22:30   11月カナダ鉱工業製品価格(予想:前月比横ばい)
○22:30   11月カナダ原料価格指数
○22:30   12月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化0.55万人/失業率5.7%)
○22:30   12月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化17.7万人/失業率3.7%/平均時給、前月比0.3%/前年比3.0%)
○23:45   12月米サービス部門PMI改定値(予想:53.4)
○23:45   12月米総合PMI改定値
○5日00:15   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長がイエレン前議長、バーナンキ元議長とともにAEA年次総会でインタビューに応じる
○5日00:15   ボスティック米アトランタ連銀総裁、パネルディスカッションに参加
○5日01:00   EIA週間在庫統計
○5日03:30   バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演

※米政府が一部閉鎖されているため、指標の発表は流動的となっている。

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

カテゴリー

カレンダー

4月 2024
« 1月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ページの先頭へ