★日経平均株価:節目の2万1000円を割り込む
寄り付きは下落スタートとなったものの、値ごろ感を意識した年金基金など機関投資家の運用比率維持の押し目買いが入ったほか、ヘッジファンドなど海外短期筋の先物の買い戻しが入り、一時上げに転じた。しかし、米中貿易戦争や米FRBの利上げによる世界景気減速懸念が重石となった。また、ソフトバンク新規上場による株式需給緩和を嫌気した売りに押された。そのため、心理的節目だった2万1000円を割り込んだ。結局、前日比127円安の2万0987円と続落して終了した。
★東京外国為替市場:株価下落でリスク回避の円買いが優勢
ドル/円は、日経平均株価が節目と見られていた2万1000円を割り込んだことで調整色が強まり、112.19円まで下落した。しかし、下値では値ごろ感からドルの押し目買いが見られ、下げ一服した。その後は、株価の下げ幅縮小をながめてショートカバーが入り、112.60円近辺へもと直した。ただ、米金利先高観が後退していることからドルの反発は限られ、利食い売りなどに112.30円台へ押し戻された。一部メディアが『トランプ米大統領は21日の暫定予算期限切れを前に、24日に米政府機関を閉鎖するように示唆した』と報じたこともドル売りを誘った。午後は、日経平均株価の下げ幅拡大がリスク回避の円買いを誘い、112.25円近くへじり安となった。ただ、FOMCを控えて下値を追う動きは限定され、112.30円台でもみ合い推移した。ユーロ/ドルは、1.13ドル台後半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。
★通信会社ソフトバンク新規上場:値動きは低調
ソフトバンクグループの国内通信子会社が19日東証1部に株式を新規上場した。上場に伴う市場からの資金吸収額は約2兆6000億円と、国内の新規株式公開(IPO)として過去最大の案件とあって、東証など兜町は祝賀ムードに包まれた。ただ、初値が1463円と公開価格1500円を下回るなど、値動きは低調とあって、投資家や証券会社の営業マンの熱気はいまひとつだった。終値は1282円と公開価格を14.5%下回った。
★米FOMCの利上げとドル/円相場
現在の米連邦準備理事会(FRB)の政策金利は2.00~2.25%である。2015年12月から0.25%刻みに8回利上げをした。利上げ決定後の東京市場17時時点の円相場を見ると、最初の2回こそ円安となったが、その後はいずれも円高が進む結果となった。
○FRBが利上げを決めた直後の東京市場17時時点(前日比)
利上げ決定日 直後の東京市場
①2015年12月16日 0.51円の円安
②2016年12月14日 2.64円の円安
③17年3月15日 1.47円の円高
④ 6月14日 0.67円の円高
⑤ 12月13日 0.67円の円高
⑥18年3月21日 0.76円の円高
⑦ 6月13日 0.71円の円高
⑧ 9月26日 0.25円の円高
利上げで米国株が調整し、リスク回避の円高が進むなど、円高になった背景は複数ある。ただ、その中で最も大きいのは利上げの織り込み度合いである。利上げが想定内になればなるほど、目先の利益確定による円買い・ドル売りが出やすくなり、先行きの利上げ見通しが注目されやすい。
★トランプ大統領 対 パウエルFRB議長
米国大統領がFRB議長・理事を罷免するには、「連邦準備法(Federal Reserve Act)」10節2項に基づいて、「正当な理由」(※職務怠慢、不正行為)が必要となっている。すなわち、米大統領の金利引き下げ要請を聞き入れないというだけでは、クビに出来ない。 トランプ米大統領は、イエレンFRB議長(民主党員)を、異例の1期限りで続投を見送り、『ミスター平凡』と揶揄されていたパウエルFRB議長(共和党員)を任命した。FRB理事としてFOMCで反対したことがなかったことが任命の理由だと思われるが、意に反して利上げ路線を踏襲したことで、トランプ米大統領の逆鱗に触れている。
★FOMCに向けて世論調査では:98%が利上げ実施
米連邦公開市場委員会(FOMC)の開催を控えて実施されたCNBCの世論調査によると、回答者の98%が米連邦準備制度理事会(FRB)が12月会合で、追加利上げに踏み切ると見ていることが明らかになった。調査には43名のエコノミスト、ファンドマネジャー、ストラティジストが回答した。 しかし、2019年の利上げに関しては様相が変わる。前回の調査で、回答者平均で3回または2回の利上げを予想していたが、現状では1回または2回の利上げ予想に引き下げられた。また、前回まで市場の大半は、FRBが中立水準を上回るまで利上げを継続すると見ていたが、今回の調査ではFRBが中立水準を上回るまで利上げを継続することはないとの予想が上回った。
今後12カ月間に景気後退入りする確率は23%と、トランプ大統領就任後最高に達した。12月に利上げ後のFOMCの行動は88%が利上げを予想しているものの、回答者の12%はFRBが12月利上げ後、2019年10月までに利下げに転じると見ている。
★欧米イベント
○16:00 11月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比▲0.1%)
○18:00 ハンソン・エストニア中銀総裁、講演
○18:30 11月英消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.2%/前年比2.3%)
CPIコア指数(予想:前年比1.8%)
小売物価指数(RPI、予想:前月比0.1%/前年比3.2%)
○18:30 11月英卸売物価指数(PPI、食品とエネルギーを除くコア指数、予想:前年比2.3%)
○19:00 10月ユーロ圏建設支出
○21:00 MBA住宅ローン申請指数
○22:00 11月ロシア失業率(予想:4.8%)
○22:30 7-9月期米経常収支(予想:1243億ドルの赤字)
○22:30 11月カナダCPI(予想:前月比▲0.4%/前年比1.8%)
○24:00 11月米中古住宅販売件数(予想:前月比▲0.6%/年率換算520万件)
○20日00:30 EIA週間在庫統計
○20日04:00 米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表(予想:2.25-2.50%に引き上げ)
○20日04:00 FOMC、経済・金利見通し発表
○20日04:30 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見
○英中銀金融政策委員会(MPC、20日まで)
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