FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米貿易摩擦緩和期待から下げ幅縮小

前日のNYダウが2.32%安にナスダックも2.8%安の大幅下落を嫌気して売りが先行した。海外短期筋の先物への売りに一時下げ幅を785円に広げたものの香港英字紙が『貿易交渉を担当する中国副首相が訪米する予定』と報じて米中貿易摩擦緩和期待や1ドル=114円への円安を好感した買戻しに下げ幅を縮めた。結局、前日比459円安の2万1810円と大幅反落して終了した。

 

東京外国為替市場:ドル/円はもと直しの展開

ドル/円は、日経平均株価の下げ幅が700円を超えたことを嫌気され、一時113.58円まで下落した。ただ、心理的節目となる113.50円が意識されると、下げ幅は一服した。その後は、本邦実需筋などのドル買い・円売りや上海総合株価指数の持ち直しに支えられ、113.70円台へ切り返した。午後には、一部メディアが『中国の劉鶴副首相が貿易問題の解決に向けて訪米する見通し』と報じた。これを受けて、米中貿易摩擦を巡る過度な懸念が後退、ショートカバーが持ち込まれて114.04円近辺まで上昇した。日経平均株価が下げ幅を縮小したことも、過度なリスク回避姿勢を和らげて円売りを誘った。ユーロ/ドルは、一本調子の下げに対する警戒感から持ち高調整などのユーロ買い・ドル売りが入り、1.1250ドル近辺まで値を上げた。

 

13日がイタリア予算案の再提出期限

イタリアのEUへの2019年予算案の再提出を目にユーロ安が続いている。イタリアは13日までに再提出する予算でEUの定める財政規律ルールを守るよう求められているが、前途多難な状況となっている。イタリアの再提出予算について①期限までに提出されない、②期限内に提出され、EUから見て十分かつ実現可能な赤字削減計画が示される、③期限内に提出されるが不十分な内容となる、の3つのケースが想定される。そのうえで『不十分な予算案』の可能性が最も高い。期限までに提出されない場合は文句なしでイタリア財政への懸念が強まり、ユーロ売りが膨らむ可能性が高いが、イタリア政府が提出しない選択をする公算は小さい。現実味のある赤字削減計画を盛り込めればユーロは買い戻される公算が大きいものの、市場では『実現可能な策が出せるならこんなギリギリになる前に提出しているはず』との冷ややかな声が多い。不十分であっても再提出した予算に対し、イタリア政府は今後発表するEUの意見を多少は織り込むかもしれないが、『玉虫色』のまま年内にぎかいを通す見込み。仮にEUの財政規律を守れなくても、議会の多数派であるポピュリズム『五つ星運動』が予算案を否決するとは考えられない。再三財政規律を守るように求めてきたEUも、イタリア議会を止める法的な力はない。そのため、『年内に予算案は通る』というのがメインシナリオとなっている。イタリア景気の下振れや金融機関の経営悪化などの中長期的な懸念は継続する半面、イタリアがただちにEU離脱にかじを切るといった波乱が起こるわけではない。ショックとあく抜け感のないまま、だらだらとユーロ安が進む可能性が意識されている。

 

ヘッジファンドの運用不振で解約売り増加か

10月の世界同時株安で運輸尾成績が記録的に悪化したヘッジファンドが、年末で資金を引き揚げようとする投資家からの償還請求(解約)に対応するための売りを膨らませているとの見方が出ている。そのため、今年は『45日ルール』への警戒感が高まっている。米調査会社ヘッジファンド・リサーチが算出する、世界のヘッジファンドの運用成績を示す『グローバル・ヘッジファンド指数』は10月にマイナス3.1%と2011年8月以来の低水準となった。12日時点で年初来の運用成績はマイナス4.3%で、このまま年末を迎えれば2011年(マイナス8.9%)以来7値ぶりの低水準となる。世界のヘッジファンドからは9月まで6ヵ月連続で資金が流出し、その額は340億ドルにのぼる。世界同時株安で10月以降も資金流出が続いている可能性が高い。解約通知は30日前や90日前と様々な契約があり、必ずしも『45日前』だけではない。しかし、10月の運用成績が記録的に悪化したことで、償還請求やそれに伴うファンドの閉鎖による株売りが警戒さているのは事実。ただ、換金売りが今週で峠を越えるとすれば、『来週以降は需給的に売り圧力は弱まる』可能性がある。

 

米2年債金利が利上げの有無とドル/円の行方を左右

為替相場では引き続き米国債金利の上昇動向が波乱要因となる。前週は米FRBによるFOMCで12月や来年にかけての利上げ継続姿勢が示されたほか、米国の10月PPI(生産者物価指数)が6年ぶりの高い伸び率を示し、先行きのインフレ懸念が米国債金利の高止まりを支援している。今週はFRB幹部の講演や米国のCPI(消費者物価指数)などの経済指標により、米債金利が一段と上昇となるか否かが注視される。米債金利の上昇はドル/円でドルの下支え要因となる反面、米国発の世界株安によるリスク回避の円高要因として警戒される。ただし、あくまでドル/円に限れば、米国の政策金利FFに先行する2年債金利は『来年にかけての利上げ持続』を織り込む形で、前年比での上昇傾向が堅持されている。1980年代以降の過去実績として、米2年債金利の前年比プラス化が維持されている限り、翌年にかけての利上げ継続とドル/円でのドル高トレンドが持続するパターンが繰り返されてきた。反対に米2年債金利が前年比マイナスに転じてくると、翌年にかけての利上げ打ち止めとドル/円でのドル反落が遅行観測されてきたが、現在はそうした変調シグナルは尚早となっている。

 

欧米イベント

○16:00   10月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比0.2%)
○16:00   7-9月期ノルウェー国内総生産(GDP、予想:前期比0.6%)
○17:00   プラート欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○17:15   10月スイス生産者輸入価格(予想:前月比0.1%)
○17:45   ラウテンシュレーガー欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○18:30   10月英雇用統計(失業保険申請件数推移/失業率)
○18:30   7-9月英失業率(ILO方式、予想:4.0%)
○19:00   11月独ZEW景況感指数(予想:▲25.0)
○19:00   11月ユーロ圏ZEW景況感指数
○20:00   9月ブラジル小売売上高指数(予想:前年同月比1.6%)
○24:00   カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
○24:00   ブレイナード米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○14日04:00   10月米月次財政収支(予想:980億ドルの赤字)
○14日04:00   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○14日04:20   ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
○13-14日   7-9月期ロシア国内総生産(GDP)速報値(予想:前年比1.4%)
○2019年度伊予算修正案の欧州委員会への提出期限

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