FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:上海株高と円安を好感して底堅い展開

前週末のNYダウが201ドル安やハイテク株安を受けて売りが先行し一時下げh場を204円へと広げたものの、上海株が底堅く推移し投資家心理の悪化が和らいだ。また、1ドル=114円前後の円安を好感した買い戻しに上げに転じた。結局、前週末比19円高の2万2269円と小反発して終了した。

 

東京外国為替市場:日本株と上海株にらみの展開で114円台回復

ドル/円は、本邦実需筋などのドル買い・円売りや日経平均株価がマイナス圏からプラス圏へ転じたことに支えられ114.00円付近へじり高となった。上海総合株価指数をにらみながら114.00円近辺でのもみ合いが続いた。本日はベテランズデーの振り替え休日で、米債券市場が休場となるため、説教的な売り買いが手控えられた。ユーロ/ドルは、2019年予算案を巡るイタリア政府とEUの対立を警戒したユーロ売り・ドル買いが進み、一時1.1309ドル付近まで低下した。

 

米中貿易摩擦の影響に怯える本邦企業の業績見通し

上場企業の2018年9月中間連結決算発表が9日、ピークを迎えた。同日までに決算を公表した1140社を対象に集計したところ、9月中間純利益は前年同期比10.0%増と好調だったが、下半期は米国と中国の貿易摩擦、人件費などのコスト増で減速した。通期(19年3月期)予想は前期と比べ0.7%減と小幅マイナスに転じる見通しとなった。
各社が懸念しているのは、米中貿易摩擦と人件費、物流費、原料価格などの高騰となっている。足元の円相場は前期111円円安に比べ114円前後と円安方向にある。そのため、事業には追い風のはずだが、中間決算発表時に通期の業績予想を下方修正したのは196社と上方修正(181社)を上回った。 

 

米中間選挙の狩猟後も米中貿易摩擦激化する可能性が高い

 米中貿易摩擦は9月末に「第3弾目」に突入し、中国の輸出入への悪影響が懸念されている。しかし、9月の輸出は発動直前の駆け込みで押し上げられる一方、輸入は制裁による下押しが鮮明となる対照的な動きがみられ、貿易制裁にもかかわらず対米黒字が拡大した。 ただし、10月以降は貿易制裁の影響の顕在化が懸念され、米国では中間選挙を経ても対中強硬姿勢が変わる可能性は低く、中国の外需には不透明要因が山積となっている。ただ、10月の輸出額は前年比+15.6%と加速した。対米輸出には下押し圧力が掛かったが、その他向けの輸出の堅調さが全体を押し上げた。人民元安に伴う輸出競争力向上に加え、世界経済の自律回復も押し上げに寄与したとみられる。
 一方で、足下では米中貿易摩擦の激化を受けて、製造業のみならず、非製造業も輸出向け新規受注の悪化を示唆しており、輸出が勢いを維持出来るかは極めて見通しにくい状況にある。 輸入額も前年比+21.4%に加速した。対米輸入は前年割れが続く一方、代替輸入の活発化などが輸入を下支えする。ただし、加工組立関連の素材・部材などの輸入は軒並み頭打ちするなど、先行きの生産鈍化が懸念される。
 その一方、景気下支えに向けた輸入関税引き下げやインフラ投資拡充の動きは輸入を下支えしており、今後は効果発現も期待される。当面は外需向け需要と、景気対策向け需要とのせめぎ合いが続く。 輸出入の堅調を背景に貿易黒字は拡大したが、対米黒字は前月から縮小した。先行きの黒字縮小は緩やかなものに留まり、米国の対中強硬姿勢の改善も見込めず、米中貿易摩擦は一段と激化する可能性が高い。

 

中国は資産効果薄れ新車販売台数の減少止まらず

中国汽車工業協会は、10月の中国の新車販売台数が前年同月比11.7%減の238万100台だったと発表した。4ヵ月連続の前年割れで、1~10月の累計販売台数がマイナスに転じた。2018年通年でも28年ぶりにマイナス成長となる見通しとなっている。不動産価格の高騰が収まったことなどで高額消費にブレーキがかかっている。単月の新車販売台数が2ケタ減となるのは、2ヵ月連続となる。株安や不動産価格の高騰が収まっていることで資産効果が薄れ、自動車が代表とされる高額消費が伸び悩んでいる。中国の個人投資は1億4000万人以上いるとされるが、中国の株価は年初から焼く2割下落している。

 

イタリアの財政問題でユーロの上値の重石

イタリアのトリア経済・財務相は9日、欧州委員会から修正を求められている予算案について、主な柱は変更しないと述べた。 同相は議会の公聴会で『政府はこのところ、予算で特に問題視されている点について、欧州委員会への回答書の作成で忙しい。予算の主要な柱を政府は確認することになる』と述べた。欧州委員会は今月13日までに新たな予算案を提出するようイタリア政府に求めている。
同相は、2019年の財政赤字を国内総生産(GDP)比で最大2.4%とする計画を順守する決意を示し、景気減速によって、拡張的予算の重要性が増したと主張している。明日の欧州時間からイタリアの財政問題でユーロのボラティリティが高まりやすい。

 

英国のEU離脱では最後まで北アイルランド問題がネックに

メイ英政権を支える北アイルランドの地域政党、民主統一党(DUP)は9日、英国の欧州連合(EU)離脱交渉を巡り、英国を分断する合意を支持しないと表明した。合意は少なくとも95%で達成されているものの、当局者らによると、英領の北アイルランドと陸続きのアイルランドの国境の扱いで依然もめている。
リークされたDUP宛てのメイ首相の書簡を基に英タイムズ紙が報じたところによると、EUは合意なしのブレグジットとなる場合には、北アイルランドのあるアイルランド島と英国本土のグレートブリテン島を隔てるアイリッシュ海に、関税に関する境界を設けることを望んでいる。 メイ首相はDUPに対し、このような英国の分断が発生することは決して容認しないと伝えた。

 

欧米イベント

○18:00   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○21:00   9月インド鉱工業生産(予想:前年同月比4.3%)
○13日04:30   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
○米国は債券市場が休場(ベテランズデーの振替)
○カナダはバンクホリデー(リメンバランス・デーの振替)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

カテゴリー

カレンダー

4月 2024
« 1月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ページの先頭へ