FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:急騰による短期的な調整的売りに押される展開

指数寄与度の大きい半導体関連や電子部品などハイテク銘柄が軟調に推移し、指数を押し下げた。年初から週前半までに日経平均は3000円超上昇しており、短期的な調整が入っているとの見方も聞かれた。市場では、ハイテク株が売られている以外は、物色の明確な方向感はみられないとの指摘があった。結局、前営業日比485円安の3万5751円と大幅反落して終了した。

 

東京外国為替市場:147円台後半で様子見ムード広がる

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、147.85円付近へ上昇した。朝方に発表された1月東京都区部消費者物価指数・CPI(生鮮食品除く)が前年比+1.6%と予想の+1.9%を下回ったことも円売りにつながった。しかし、米長期金利低下や日経平均株価の大幅安を眺めたドル売り・円買いに押され、147円台後半から147円台半ばへ水準を切り下げた。午後は、米長期金利や日経平均株価の動向を睨みながら、小幅に値を上げて147.70円台を中心に取引された。来週予定されている米連邦公開市場委員会(FOMC)や1月米雇用統計などのイベントを前に、様子見ムードが広がっている。ユーロ/ドルは、1.0840ドルを挟んで小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

ECBはFRBよりも先に利下げ開始か:エバコア

欧州中央銀行(ECB)は25日の理事会で、大方の市場予想に沿って政策金利の据え置きを決めた。その後の記者会見でのラガルド総裁の発言を通して、市場では想定していたほどタカ派姿勢ではなかったとの受けとめが広がった。エバコアISIは25日付リポートで、「ラガルド氏の全体的な論調は、賃金交渉と価格設定に関する完全なデータが6月に公表されるまで、金利を据え置くことに焦点を絞るのではなく、データ依存を強調した」と指摘した。ラガルド総裁の発言から、「ECB理事会の過半数が、3月の利下げをほぼ否定しているにもかかわらず、4月の利下げを否定することには抵抗感を示している」との見方を示しながら、利下げ開始時期が4月か6月かを巡っては「ラガルド氏は、市場が同氏の発言を4月への扉を開くものと受け止めることを知っていたはずであり、この時点では、市場が4月利下げを織り込むことに激しく反対していなかったと思われる」とも指摘した。リポートでは、「我々は長い間、3月は理事会が利下げするには早すぎると主張してきたし、理事会は6月に持ちこたえることを望んでいるかもしれないが、4月もほぼ同じように可能性が高い。今ではその可能性が高いかもしれない」との見解を示した。ECBが最終的には米連邦準備理事会(FRB)よりも先に利下げに踏み切る可能性があることを示唆していると強調した。

 

トルコ中銀は利下げの早期終了について踏み込んで言及

トルコ中銀は、昨年末にかけて示唆していた利下げの早期終了について、更に踏み込んで言及した。6月から8会合連続で引き締めを決定し、合計の利上げ幅は36.5%にも達している。確かに、非正統的な政策が実施されていた1年前とは全く違う状況である。しかしながら、トルコのインフレ率が5月に向けて70%超えと予測されているなか、利上げサイクル終了宣言はやや早過ぎたのではないか。実質金利マイナス幅がまだ暫く縮小しないのであれば、いくらトルコ金融政策の正常化が評価されているとはいえ、リラからドルやユーロなどへの資金の流れは続いてしまう。そうなるとリラ/円も上値を試しづらくなってしまう。

 

トランプ氏再選でメキシコへの影響は

15日の米アイオワ州共和党党員集会でトランプ前大統領が圧勝した翌日、メキシコペソは他の主要通貨と比較しても大きく下落した。トランプ前大統領の再選が現実味を帯びるなか、メキシコにどのような影響を及ぼすかについても注目が集まっている。トランプ前大統領が返り咲きを果たした場合、米国・メキシコ間で最大の懸念材料となるのが移民問題である。トランプ前大統領はアイオワ州党員集会の勝利演説で「メキシコとの国境を封鎖する」と約束しており、移民問題を巡って米国との関係が悪化すれば、米国・メキシコ間の貿易の流れにも悪影響を与える可能性がある。16日のメキシコペソ下落もこうした要因が意識された結果のようである。一方で、トランプ氏が前回大統領選に勝利した2016年ほどのリスクはないとの見方も。一部アナリストは「トランプ氏の攻撃的な発言・姿勢が影響を及ぼす可能性はあるが、中国と貿易戦争を始めた一方で米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の履行を推し進め、貿易相手国としてメキシコを選択したのは彼自身だ」として、トランプ氏が再選を果たしても米国・メキシコ間の関係が大きく崩れることはないとの見解を示している。

 

南ア中銀では予想通りに政策金利を据え置き

南アフリカ準備銀行(SARB)の金融政策委員会(MPC)では、市場予想通りに政策金利を8.25%で据え置き、無風に終わった。政策金利の据え置きはこれで4会合連続となった。MPCでの決定は全会一致で、SARBはインフレ環境の緩和を認めているものの、依然としてタカ派的姿勢を維持し、特に食料インフレ、電力、物流、インフラ危機など、インフレ見通しに対するリスクは依然として上向きにあると警告した。クガニャゴSARB総裁は「世界的および国内的要因によるインフレ軌道に対する深刻な上振れリスクは明らかであり、経済見通しは非常に不確実だ」と述べ、「ベースラインインフレ予測は、世界および国内のインフレが引き続き緩やかに抑制されるものだが、見通しに対するリスクは依然として上向きに評価されている。昨年の世界経済成長が予想を上回り、今年は地政学の緊張が続いているため、世界の石油市場は逼迫している」とも述べている。

 

米MMF資産が増加でも株・債券に流入との期待に冷や水:JPモルガン

米国のマネー・マーケット・ファンド(MMF)の資産が今年序盤に増加を続けており、待機資金が株式や債券に流入するという期待に水を差している。JPモルガンのストラテジストチームが25日、こうした分析結果を明らかにした。同チームによると、米国の課税MMF残高は年初からこれまでに750億ドル増加した。一方で過去約10年間を振り返ると、年初は季節的にMMFから資金が流出する傾向が見られた。こうした異例の資産増加について同チームは、MMFにとどまっている6兆ドルの資金が株式と債券、あるいはそのどちらかに向かうという見方に異を唱える形だと指摘した。昨年のMMF資産は1兆1000億ドル余り、率にして22%という過去10年で最大級の増加幅を記録。今年は、特に米連邦準備理事会(FRB)が利下げを開始すれば、利回り低下に伴ってMMFの魅力が薄れ、資金が流出するとの予想が出ていた。しかしJPモルガンが1995年以降の3回の利下げサイクルを調べたところ、FRBの利下げが始まった後もMMFには資金が入り続けたことが分かった。

 

米国市場では12月のOCE物価指数が公表:US Dashboard

12月の米個人消費支出(PCE)物価指数が発表される。市場予想では前年同月比2.6%上昇と前月から横ばいとなる見込み。3ヵ月連続で3%を割り込むとみられる。米連邦準備理事会(FRB)が物価指標として最も重視する、食品・エネルギーを除くコア指数は3.0%上昇と前月の3.2%上昇から伸び率が鈍化する見通しだ。物価目標とする2%の水準は上回るものの、米インフレ圧力の弱まりを示す結果となりそうだ。インフレの鈍化傾向が続けば、市場で早期利下げ観測が再燃する可能性がある。一方で、米景気は底堅さを保っている。米経済活動の約7割を占める個人消費支出は前月比0.5%上昇と、前月の0.2%上昇から伸びが加速する見込みだ。FRBは30~31日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を据え置くとみられており、消費の底堅さを背景に利下げ観測をけん制する可能性が高そうだ。

 

欧米市場イベント

○16:30   パネッタ伊中銀総裁、講演
○16:45   1月仏消費者信頼感指数(予想:90)
○18:00   シムカス・リトアニア中銀総裁、講演
○18:30   カザークス・ラトビア中銀総裁、ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、講演
○21:00   12月メキシコ貿易収支(予想:14.00億ドルの黒字)
○22:30   12月米個人消費支出(PCE、予想:前月比0.4%)
       12月米個人所得(予想:前月比0.3%)
       12月米PCEデフレーター(予想:前年比2.6%)
       12月米PCEコアデフレーター(予想:前月比0.2%/前年比3.0%)
○24:00   12月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比2.0%/前年比▲4.3%)
○インド(共和国記念日)、休場
○28日 フィンランド大統領選

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