FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:バブル崩壊後高値を更新

日経平均は心理的節目の3万4000円を回復した後も上値追いの展開となり、ザラバでバブル崩壊後高値を更新した。1990年3月上旬以来、約33年10カ月ぶりの高値水準となった。9日の米国株式市場でのハイテク株高に加え、為替のドル高・円安が日本株を押し上げた。市場では東証の改革要請や新NISAへの期待なども株価を押し上げ要因となっているとの見方もあった。結局、前営業日比678円高の3万4441円と大幅に3日続伸した。終値ベースで1990年2月28日以来、約33年11カ月ぶりの高値となった。東京証券取引所が10日発表した12月第4週(25日~29日)の投資部門別株式売買動向(東証・名証の合計)によると、海外投資家(外国人)は2020億円売り越しとなり、売り越しは3週ぶり。個人投資家は2834億円売り越しとなり、売り越しは3週連続となった。信託銀行は891億円の売り越しとなり、売り越しは2週連続となった。

 

東京外国為替市場:145円台が視野に入ると上値の重い展開に

ドル/円は、144.41‐44円水準で始まった。本日は五・十日にあたり、仲値に向けて本邦輸入勢などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、144.70円付近へじり高となった。その後も、日経平均株価の大幅高でリスク選好の円売りが強まり、144.80円台へ値を上げた。午後に入ってもドル買い・円売り基調は続き、一時144.93円付近まで上昇した。ただ、心理的節目の145.00円に接近すると上げは一服した。その後は、利益確定や戻り待ちのドル売り・円買いも見られ、やや値を下げて144.70円台を中心に取引された。明日発表される12月米消費者物価指数(CPI)を見極めたいとのムードが広がっている。ユーロ/ドルは、手掛かり材料難から積極的な売り買いは目立たず、1.09ドル台前半で小動きに終始した。

 

11月の実質賃金の減少率は前月から拡大

厚生労働省が10日発表した2023年11月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月比で3.0%減少した。名目賃金の伸びを上回って消費者物価指数(CPI)が上昇し、実質賃金は2022年4月以来、20カ月連続で減少した。減少率は10月(2.3%減)から拡大した。名目賃金にあたる1人あたりの現金給与総額は前年同月比0.2%増の28万8741円と、23カ月連続で増加した。基本給にあたる所定内給与が1.2%増、残業代など所定外給与が0.9%増となった。賞与など特別に支払われた給与は13.2%減だった。パートタイム労働者比率は0.46ポイント上昇の32.42%、時間あたり給与は4.6%増の1307円だった。

 

トルコ財務相がNY行きを取り止めがトルコリラの重し

ドル/リラは30リラに迫ってきている。シムシェキ・トルコ財務相が、予定していたニューヨーク行きを取り止めたこともリラの買いづらさに影響しているのかもしれない。同財務相は今週、米大手銀行JPモルガン主催のイベントにエルカン・トルコ中銀総裁と共に出席し、投資家向けにプレゼンテーションを行う予定だった。シムシェキ氏はオンラインでは参加予定とされているが、トルコの状況を直接聞きたかったファンドマネージャー達を落胆させたことは確かである。

 

南アに対するエネルギー政策の不信感が高まる

南アの統合資源計画(IRP)は、石炭の長期使用と原子力の使用を主張する一方で、再生可能エネルギー技術は安全なエネルギー供給を提供しないと発表した。国営電力会社の元CEOのデルイター氏が「66000MW相当の再生可能エネルギープロジェクトが進行中」と在職中は述べていたにもかかわらず、このような発表を行ったことで、再び南アに対するエネルギー政策の不信感が高まっている。

 

メキシコでは国外労働者による送金額が前月からの大幅減少を懸念する声も

メキシコ銀行(中央銀行)が2日に発表した11月の国外労働者によるメキシコへの送金額は49億810万ドルとなった。前年同月比では約1.9%増となり、前年同月の水準を43カ月連続で上回る結果となった。1-11月までの送金額はこれで約577億9000万ドルとなり、過去最高額を記録した昨年1年間の送金額が585億1000万ドルであることを考慮すると、12月分を加味すれば過去最高額を更新するのは確実な情勢である。その一方で考慮すべきなのが足もとの送金額の減少具合。国外労働者による送金は基本的に11月に減少し、クリスマス休暇に向けて12月に増加する傾向があるため、11月の減少自体は珍しいことではないが、今月の減少率は前月比15.5%と過去5年間の平均である同5.7%を大きく上回るものだった。専門家からは今月の大幅減少について、「米国の雇用環境が弱まりつつある影響が顕在化してきたのではないか」との指摘も聞かれた。
さらに、メキシコペソ高とインフレによる影響を考慮した送金による購買力は、13カ月連続で低下しているとのデータもある。11月の購買力は前年同月比で12.7%減となっている模様で、過去最高額の更新を額面通りに受け取るべきではない。

 

新年最初の5営業日にS&P500がマイナスになると年間でも弱い経験則

米株には新年最初の5営業日(First Five Day、FFD)が強ければ、その年は強いというジンクスがある。今年は2~3日のFFDの期間にS&P500指数が0.13%安となり、アノマリー通りならことはやや弱い相場展開が予想される。相場のアノマリー分析に詳しいトレーダーズ・アルマナックによれば、1950年以降、FFDがマイナスになった年のパフォーマンスは上昇14回に対して下落が12回で、平均騰落率はプラス0.3%だった。直近でFFDがマイナスとなった年は22年(1.87%安)で、この年にS&P500は年間で19.44%安となった。この年は1月の月間でも5.25%安となっており、月間で弱ければその年も弱いというジンクスも合致していた。

 

欧米市場イベント

○16:00   11月トルコ失業率
○16:00   11月トルコ鉱工業生産
○16:00   12月ノルウェー消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.2%/前年比4.8%)
○16:45   11月仏鉱工業生産(予想:前月比横ばい)
17:20   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○21:00   MBA住宅ローン申請指数
○23:00   シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○23:15   ベイリー英中銀(BOE)総裁、議会証言
○24:00   11月米卸売売上高(予想:前月比▲0.3%)
○11日00:30   EIA週間在庫統計
○11日03:00   米財務省、10年債入札
○11日04:30   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○11日05:15   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演

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