FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:半導体関連株が上昇をけん引

米ハイテク株高を好感する動きが優勢となり、半導体関連株の上昇が指数をけん引した。バブル後高値を更新し、心理的節目3万4000円に迫る場面もあった。買い一巡後は、ドル/円が円高方向に振れる中で伸び悩んだ。市場では、何度も上抜けられなかったザラ場高値を抜けたことで、上を目指す動きになりやすい。ただ、米消費者物価指数(CPI)の発表や台湾の総統選挙を控えており、警戒感が上値を抑えるリスクはあるとの見方が聞かれた。結局、前営業日比385円高の3万3763円と1990年3月以来33年10カ月ぶりの水準となった。QUICKが評価損益率を計算した、信用取引で買った株式の含み損益の度合いを示す信用評価損益率は12月29日申し込み時点でマイナス8.2%と、前の週のマイナス9.68%からマイナス幅が1.48ポイント縮小した。改善は2週連続となった。

 

東京外国為替市場:米長期金利が上昇するに連れてドル買戻し

ドル/円は、仲値に向けて本邦輸出勢などのドル売り・円買いが通常より多く持ち込まれ、143.85円付近までじり安に推移した。仲値発表後もドル売り基調が続き、143.42円付近まで下げ幅を拡大した。米長期金利がやや低下したこともドル売りを促した。午後は、持ち高調整のドル買い・円売りが見られ、143円台半ばから143.80円台へじり高に推移した。米長期金利がやや上昇したこともドル買い要因となった。ユーロ/ドルは、米長期金利の持ち直しを眺めたユーロ売り・ドル買いがやや優勢となり、1.0960ドル台から1.0940ドル台へじり安に推移した。

 

ドル買い・ユーロ買い比率は低下:前週のFX概況

QUICKが9日に算出した店頭の外国為替証拠金取引(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると「ドル/円」取引の総建玉に占めるドル買い比率は5日時点で49.6%だった。前の週末から9.8%低下し11月10日以来、約2カ月ぶりの低水準だった。米金利の低下一服で円安・ドル高が進む場面で、個人投資家は円売り・ドル買いの持ち高解消に動いた。5日発表の2023年12月の米雇用統計で非農業部門の雇用者増加数が市場予想を上回ると円相場は一時145.98円と昨年12月中旬以来の高値をつけた。昨年末にかえて個人投資家は相場の流れに逆らう「逆張り」で円売り・ドル買いの持ち高を積み上げていた。このため、円安進行で利益確定や持ち高調整の買いを入れた。「ユーロ/円」取引のユーロ買い比率も低下し、6.3ポイント低い34.4%だった。

 

実質金利マイナスの状態ではトルコリラ安の流れを止めるのは難しい

先週トルコ統計局が発表した12月消費者物価指数(CPI)は前月比が3%に届かず、前年比も64%後半とそれぞれ市場予想を下回る結果となった。しかしながら、CPI前年比は約1年ぶりの水準まで上げてきており、ここから5月頃にかけて70-75%まで加速が見込まれている。一方でトルコ中銀は、昨年6月から進めてきた金融引き締めがそろそろ終了するとの見通しを示している。主要な欧米金融機関は今月25日の金融政策委員会(MPC)で2.5%引き上げが決定され、それで一連の利上げサイクルが終了するとの予測である。少数派ではあるが、米大手投資銀行ゴールドマン・サックスは今月も利上げなしとの予想を表明している。インフレ率が金利を上回る実質金利マイナスの状態では、リラ売り外貨買いの流れを止めるのはなかなか難しい。ドル/リラがトップアウトしない限り、リラ/円も本格的に反発というのは見込め無さそうである。ただ外国人投資家からは、シムシェキ財務相やエルカン総裁のもとで進められた金融財政の正常化路線を評価する声は高まっている。先週も欧米の大手資産運用会社からトルコに投資したとの話が伝わった。

 

南アでは国家だけでなく地方の財政も困難に直面

南ア最大都市ヨハネスブルクのグワマンダ市長は、市議会は2024年に向けて憂慮すべき財政状況に直面していると述べた。同市幹部によれば、23年5月に市を引き継いだ際にサプライヤーの請求書未払いが60億ランド以上あり、「破産寸前の自治体」になっているとしている。南アフリカが国家だけでなく地方の財政も困難に直面していることは、同国経済が今後成長する上で足かせになるかもしれない。

 

24年末のJPモルガンの顧客調査

JPモルガンが顧客を対象に行った調査によると、2024年末のS&P500種株価指数のターゲットについて、5000と答えた比率が30%と最も多かった。4750が19%、5250が16%だった。平均は4815だった。24年末のフィラデルフィア(FF)レートについて、4.5%との予想が43%と最も多く、4.0%が21%、5.0%が20%と続いた。平均は4.37%だった。米10年債利回りについて、3.5%との予想が最も多く、4.0%が26%と続いた。平均は3.69%だった。ドル指数は100との予想が38%と最も多く、105が29%、95が18%だった。平均は101だった。今後数日~数週間で株式エクスポージャーを拡大すると答えた比率は47%と前回調査から増加した。現在の株式のポジショニングについて、過去平均の60~70パーセンタイルと50~60パーセンタイルがそれぞれ21%ずつだった。

 

欧米市場イベント

○15:45   12月スイス失業率(季節調整前、予想:2.3%)
○16:00   11月独鉱工業生産(予想:前月比0.2%/前年同月比▲4.0%)
○16:45   11月仏貿易収支
○16:45   11月仏経常収支
○19:00   11月ユーロ圏失業率(予想:6.5%)
○未定   ポーランド中銀、政策金利発表(予想:5.75%で据え置き)
○21:00   12月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前年比4.55%)
○22:30   11月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比▲1.7%)
○22:30   11月カナダ貿易収支(予想:20.0億カナダドルの黒字)
○22:30   11月米貿易収支(予想:650億ドルの赤字)
○10日02:00   バー米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○10日02:30   ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○10日03:00   米財務省、3年債入札

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