FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:売り一巡後は下げ止まる展開

香港ハンセン株価指数や上海総合株価指数がさえず中国減速懸念に売りが優勢となり、一時下げ幅を297円に広げ心理的節目となる2万1000円を割り込んだ。しかし、信用取引で追証が生じた個人投資家によるロスカット売り一巡による需給改善や押し目買い機会を伺っていた国内年金基金の買いで急速に下げ渋り一時プラス圏まで回復した。しかし、週末を控えて戻り売り待ちに押された。結局、84円安の2万1184円と続落して終了した。

 

東京外国為替:リスク回避の動きでもドル/円底堅い展開

ドル/円は、日経平均株価がプラス圏からマイナス圏に沈んだことから調整色が強まり、112.25円近辺まで軟化した。低調な米企業の決算を嫌気したNYダウ先物の下落もドルの押し下げにつながった。午後もこの流れは続き、日経平均株価の下げ幅拡大や米長期金利の低下をながめてさらにドル売り・円買いが進み、112.06円近辺まで値を下げた。ただ、下値では値ごろ感からドル買い戻す動きも見られ、112.15円を挟んでもみ合い相場となった。ユーロ/ドルは、1.1365ドル前後で小動きの展開となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

トルコ中央銀行は独立性を保ち引き締めスタンス継続

25日20時、トルコ中銀は政策金利である1週間物レポ金利を24.00%に据え置くことを決定した。据え置きは予想通りではあったが、通貨安の影響によるコスト高でインフレが進む可能性は残り、中銀は引き締めスタンスの維持を表明した。今後のインフレ動向次第で再利上げの可能性や、金利引き下げを望むエルドアン大統領の圧力に屈しなかったことを市場は好感し、トルコリラはトルコ中銀の発表後から堅調な動きとなった。

 

トルコと米国の軋轢は継続

2017年後半にトルコはロシアから2基の地対空ミサイルシステムS400を購入する契約を締結した。そして今年の春、エルドアン大統領とプーチン露大統領はS400の引渡し期間を短縮し、2019年にすることで合意した。NATO加盟国であるトルコがNATOの仮想敵国ロシアから最新兵器を購入することに対し、当然ながら米国は強く反発している。今年の夏には、米国議会が第5世代(最新鋭ステルス)戦闘機F35のトルコへの供給を凍結した。一部報道によれば、露製ミサイルシステムS400の設置を2019年10月に開始するとトルコ政府筋の話として伝えられた。米国人牧師の釈放、トルコのサウジ領事館での記者殺害事件において捜査協力などで、トルコと米国間の溝はなかり埋まりつつあった。しかし、露兵器を巡る問題が両国間の関係改善に水を差してしまう可能性もある。

 

双子の赤字拡大でドル安の条件が整う

米国の『双子の赤字』(経常赤字+財政赤字)が対GDP比で6.0%を上回ると、ドルが下落する傾向にある。1980年代半ばのレーガノミクス失敗は、プラザ合意というドル安誘導につながり、2002年頃のITバブル崩壊は、FRBの金融緩和策、2008年頃の住宅バブル崩壊(リーマンショック)は、FRBの金融緩和策でのドル下落相場につながった。 米国の2018年第2四半期の名目国内総生産(GDP)は、20.41兆ドル(※実質18.51兆ドル)なので、対GDP比6%は、1兆2246億ドルとなる。 米国の2017年第3四半期から2018年第2四半期までの3四半期分の経常赤字は3393.2億ドルとなっている。
米国の2018年度(2017年10月-2018年9月)の財政赤字は、7789.96億ドル(対GDP比は3.9%)となり、2017年度の6658.26億ドルから拡大した。
2018年度の米国の「双子の赤字」が対GDP比6.0%を超えることはほぼ確実となっており、ドルが下落する可能性が高まりつつある。

 

米国市場では7-9月期国内総生産(GDP)が公表

市場では前期比年率で3.3%の成長を見込んでいる。4-6月期の4.2%成長からは失速するが、2%程度の成長が続いていたことからすると、3%台半ばの成長率は依然強い。一方で、米商務省が利用している戻ると類似したモデルを使用していることから市場関係者が注目するアトランタ連銀の見通しは従来の3.9%から3.6%へ引き下げられた。また、10-12月期も3%の成長が予想されている。トランプ政権が実施した税制改革や財政策が奏功し、通年でも3%成長が達成可能だと期待されている。

 

欧米イベント

○15:00   11月独消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:10.5)
○15:45   10月仏消費者信頼感指数(予想:94)
○15:45   9月仏卸売物価指数(PPI)
○19:30   ロシア中銀、政策金利発表(予想:7.50%で据え置き)
○21:30   7-9月期米国内総生産(GDP)速報値(予想:前期比年率3.3%)
○23:00   10月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値、予想:99.0)
○23:00   ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○23:15   クーレECB理事、講演
○28日 欧州が冬時間に移行
○28日 ブラジル大統領選決選投票
 

 

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