FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:売り一巡後は押し目買いから下げ渋り

国内で休場だった年始の米ハイテク株安が嫌気されたほか、能登半島地震の影響を見極める動きが先行し、一時700円超安に下落した。一方、地震の影響は限定的との見方もあり、朝安後には下げ幅を縮めた。市場では、休場中の米国での金利上昇、株安をまとめて織り込んだ。地震や空港での事故が続いたことで、いったん手仕舞う海外投資家がいたかもしれないとの見方が聞かれた。売り一巡後は押し目買いも入り、下げ幅を縮小した。結局、前営業日比175円安の3万3288円と3日続落して終了した。

 

東京外国為替市場:米金利高と日本株の下げ幅縮小で円売り強まる

ドル/円は、日経平均株価の大幅安がリスク回避の円買いを誘い、一時142.86円付近まで下落した。しかし、仲値に向けて本邦輸入勢などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、143.30円付近へ上昇した。仲値発表後は、日経平均株価の下げ幅縮小が円売り要因となり、143.50円付近へ値を上げた。午後は、米長期金利の上昇や日経平均株価の下げ幅縮小を眺めてさらにドル買い・円売りが進み、一時143.88円付近までじり高となった。ただ、心理節目の144.00円に接近すると上げは一服した。その後は、利益確定や戻り待ちのドル売り・円買いも見られ、小幅に値を下げて143.70円台を中心に取引された。ユーロ/ドルは、1.09ドル台前半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

ドル買い比率は上昇で1カ月ぶり高さ:前週のFX概況

QUICKが4日に算出した店頭の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、「ドル/円」取引の総建玉に占めるドル買いの比率は2023年12月29日時点で59.4%だった。前の週末から2.9ポイント上昇し、およそ1カ月ぶりの高さとなった。米長期金利の低下により円高・ドル安が進む場面で、相場の流れに逆らう「逆張り」傾向がある個人投資家は円買い・ドル売りの持ち高を減らした。前週は12月28日に1ドル=140.27円と円は5カ月ぶりの高値をつけた。米国の早期利下げ観測から米長期金利が3.8%を割り込む水準まで低下し、ドル売り圧力が高まった。年末年始を前に「手仕舞いの動きが出やすかった」との声もあり、「ドル/円」取引では買いと売りの建玉ともに減少した。対ドル以外の通貨ペアである「クロス円」取引でも円売りが目立った。「ユーロ/円」取引のユーロ買い比率は2.1ポイント上昇の40.7%、「豪ドル/円」取引での豪ドル買い比率は前の週末から7.8ポイント上昇の57.9%だった。

 

トルコでは実質金利マイナス幅広がりがリアの重し

昨日トルコ統計局が公表した12月CPIは前月比が3%に届かず、前年比も64%台後半とどちらも市場予想から下振れる結果となった。トルコ中銀が四半期インフレレポートで予測した65%も下回っている。しかしながら、水準的には約1年ぶりの高い物価上昇率であり、インフレの落ち着きには程遠い状況である。実質金利マイナス幅も広がったままというなかでは、通貨リラの買いづらさに変わりはない。なお、世界住宅都市指数によると、昨年9月時点でトルコ最大の都市イスタンブールにおける住宅価格の上昇率は前年比77.6%まで拡大している。9月時点であり、トルコ中銀がその後に進めた金融引き締めの影響を確かめる必要はあるが、中銀の期待に反して利上げの継続が求められる可能性はある。

 

南アの食品価格は今年は下がるか?

過去2年間の南アの食品インフレ率は非常に高く、低所得者層をはじめ多くの国民を苦しめていた。食品が全体の出費を占める割合が高いことで、食品インフレ率の高まりは生活苦というだけでなく、生きるか死ぬかとなるほど、一部の国では国民を苦しめた。その食品インフレでは、今年は上昇が一服するのではないかとの予想が多くある。これは世界的な商品価格が低下傾向にあること、国際的な食料品価格も下落していること、南アでも豊作となっていることが要因である。また、南アでは乾燥した天気が続いているにもかかわらず、昨夏の降雨により地中に十分な水分が残っていることで、作物に恩恵を与えているからである。一方で、懸念材料としてはエルニーニョ現象、電力(エスコム)の負荷制限、物流上(トランスネット)の問題、そしてランド安などで、この悪影響が継続すれば、食品価格が思っているように下がらないリスクもあるとされている。

 

メキシコの穀物輸入量、記録的水準まで拡大

メキシコの穀物輸入量は今年、記録的な水準まで拡大した。現地の農業コンサルタント会社によると、メキシコは1-11月までの間に過去最高となる3744万トンの穀物を輸入した。前年同時期と比較すると8.8%増となる。穀物輸入拡大の要因となったのが、今年メキシコを襲った大規模な干ばつ。9月下旬には国土の4分の3が干ばつ状態となり、国内の農業生産高が大きく減少した。メキシコは海外からの輸入を拡大する以外に選択肢がなくなった。主食のトウモロコシ輸入は1-11月間で前年比16.9%増の1820万トンを記録。今年の最終的な輸入量は1950万トンに達すると予想されているほか、国内生産量の減少によって来年には2200万トンまで膨れ上がるとみられている。なお、メキシコはそのうちの88%超を米国から輸入しており、大部分を米国に頼っている状態である。

 

12月FOMCミニッツでは24年に計5回の利下げ予想を維持:ゴールドマン

米連邦準備理事会(FRB)が3日に発表した23年12月12~13日米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨(ミニッツ)で、全ての参加者が24年内の利下げシナリオを示した経済見通しを「きわめて不確実」としたうえで「経済状況によっては追加利上げもあり得る」とタカ派的な見解が示されたことでこの日は株安が進んだ。ゴールドマン・サックスは3日付のリポートで、ミニッツ内でこれまでのインフレの進捗状況やインフレ見通し、金利を高すぎる水準に維持することによる成長へのリスク、政策金利をハト派的にどの程度の期間制限的に維持する必要があるかについてのコメントが見られたことに着目した。市場ではタカ派的と受け止められたものの、「ハト派に傾く」と指摘し、今後の利下げ見通しに関して3月に1回目の利下げが実施され、24年計5回の利下げを実施するとの予想を維持した。

 

11月米求人件数は3ヵ月連続で減少:US Dashboard

3日に発表された2023年11月の米雇用動態調査(JOLTS)では、非農業部門の求人件数(季節調整済み、速報値)は前月比6万2000件減少の879万件と市場予想の876万件を上回ったものの、3ヵ月連続の減少で21年3月以来の低水準となった。米雇用を先導してきた「レジャー・接客業」の求人は前月比9万7000件減の114万3000件と2カ月連続で減少した。自発的離職者の割合である「離職率」は3ヵ月連続で2.3%と下げ渋っていたが、11月は2.2%へ低下した。「レジャー・接客業」の離職率も前月比0.2ポイント低下の4.1%と2カ月連続で低下した。現在の仕事を辞めて、他の仕事を探すことや、より高い給料・待遇を得ることに対する労働者の自信が薄らいでいることが示された。求人面からみて米労働市場の軟化傾向が改めて確認され、賃金上昇圧力の鈍化によりインフレ沈静化がより確かなもにとなったと受け止めることができそうである。

 

欧米市場イベント

○16:45   12月仏消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.2%/前年比3.7%)
○17:50   12月仏サービス部門PMI改定値(予想:44.3)
○17:55   12月独サービス部門PMI改定値(予想:48.4)
○18:00   12月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:48.1)
○18:30   12月英サービス部門PMI改定値(予想:52.7)
○18:30   11月英消費者信用残高(予想:14億ポンド)
○18:30   11月英マネーサプライM4
○21:30   12月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○22:00   12月独CPI速報値(予想:前月比0.1%/前年比3.7%)
○22:15   12月ADP全米雇用報告(予想:11.5万人)
○22:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.6万件/188.3万人)
○23:45   12月米サービス部門PMI改定値(予想:51.3)
○23:45   12月米総合PMI改定値
○5日01:00   EIA週間在庫統計
○ロシア(新年休暇)、休場

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