FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米国株大幅高につれたリスク選好の買い

前日の米国株式市場が主要企業の好決算を受けて大幅高となり、市場心理が改善した。日本株にはヘッジファンドなど短期スタンスの投資家による買い戻しが広がった。米半導体製造装置が大手が市場予想を上回る業績見通しを公表したことで先行きへの警戒感が後退し、上げ幅は一時400円を超えた。結局、前日比291円高の2万2841円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:日本株の上値重くなると持ち高調整の売り

ドル/円は、日経平均株価の大幅高や本邦実需などのドル買い・円売りに支えられ、一時112.40円まで上昇した。しかし、112.40円超えにはオプション関連などのドル売り・円買いオーダーが観測されているため、上値が重くなり112.30円台での推移となった。午後は、日経平均株価の上値が重くなると、持ち高調整などのドル売り・円買いが優勢となり、112.16円近辺まで下落した。また、15日期限の米財務省による為替報告書公表が未提出であることから、為替条項に対する警戒感が再燃したこともドル売りを誘った。ユーロ/ドルは、英国のEU離脱交渉についてルクセンブルク外相が12月まで延長する可能性を示唆したことから、1.15ドル台に持ち直した。

 

イタリアだけでなくドイツの景気指数悪化がユーロの重石

イタリアの財政不安や英国のEU離脱交渉への懸念だけではない。昨日発表された10月の景気指数が大幅に悪化するなど域内主要国ドイツの政治経済に不透明感が急速に強まっているの要因となっている。欧州経済研究センター(ZEW)が昨日発表した10月のドイツ景気予測指数はマイナス24.7と約6年ぶりの低さだった今年7月に並ぶ水準だった。マイナス幅は前月から14.1ポイント拡大と大幅に悪化した。この数字は市場関係者に向こう半年間の景況感を聞き、楽観的な見方から悲観的な見方を差し引いて指数化している。ドイツ自動車産業を代表とする輸出主導型の経済で、世界経済変調の影響が敏感に受ける。米長期金利の急上昇や世界的な株式相場の大幅調整といった金融・資本市場の不安定な動きが、指数に色濃く反映された。さらに米中貿易摩擦の激化はすでにドイツの輸出を下押し始めている。政治情勢にも不透明が漂う。14日実施のバイエルン州議会選では政権与党のキリスト教社会同盟(CSU)が大敗した。28日ヘッセン州議会選でも連敗すれば、メルケル首相の責任論にも発展しかねない。

 

『為替条項』を材料とした円高・株安への警戒感は後退

米財務省が今週中にも米議会に提出する予定の為替政策報告書では、中国と日本が4月同様に監視対象国のままなのか否かに要警戒となる。中国に関しては、トランプ米大統領の大統領選挙時の公約通りに為替操作国と認定されるのか否か、日本に関しては、ムニューシン米財務長官が日本との新しい『物品貿易協定(TAG)』交渉において『為替条項』導入に言及したことで、『実質実効為替レート』で25%、『名目為替レート』でも円安、という表現の変更に要注目となる。昨日は、茂木経済財政相が『為替条項』に関する協議は、日米財務相により協議される、と述べ、麻生財務相が日米財務相会談の場で、ムニューシン米財務長官から『為替条項』への言及はなかった、と述べたことで、『為替条項』を材料とした円高・株安への警戒感は後退している。日米通商協議は、来年1月から開始されると報じられており、目先の材料ではなくなったのかもしれない。

 

米国の好調な雇用を確認:FRBの利上げを正当化する結果

米労働省が発表した8月JOLT求人件数は713.6万件となり、減少予想に反して7月からさらに増加し、再び過去最高記録を更新した一方で、雇用者数は580万人と過去最高に達した。離職は570万人だった。また、仕事を探している労働希望者の623万人を上回った。特に、建設業の労働者不足が深刻で、29.8万人の求人件数で、昨年に比べ39%増。その他、金融、保険、ヘルスケアの求人が目立った。労働市場のひっ迫を受けて、企業は賃金インフレの圧力に一段と直面することになる。最新9月の平均賃金は前年比+2.8%だった。 JOLT指数の項目の中で特に雇用者の労働市場への自信を示すとして注目される退職者数は360万人と前月7月からほぼかわらずで、統計開始した2000年12月以降で最高を維持した。米8月JOLT求人件数は米労働市場のひっ迫を示す新たな証拠となり、FOMCの利上げ軌道をさらに正当化する結果となった。

 

米国市場ではFOMC議事要旨(9月25-26日分)が公表

トランプ大統領はFRBの利上げ継続方針に批判的な発言を繰り返しており、大統領の発言が市場に与える影響を注視する必要がある。12月利上げの手掛かりを得られるか注目される。また、2020年まで利上げスタンスが継続するか、議論の内容が注目される。

 

★欧米イベント

○16:30   プラート欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○17:30   9月英消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.2%/前年比2.6%)
      小売物価指数(RPI、予想:前月比0.2%/前年比3.5%)
○17:30   9月英卸売物価指数(PPI、食品とエネルギーを除くコア指数、予想:前年比2.3%)
○18:00   8月ユーロ圏建設支出
○18:00   9月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(予想:前年比2.1%)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:00   8月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比0.3%)
○21:30   8月カナダ製造業出荷(予想:前月比▲0.6%)
○21:30   9月米住宅着工件数(予想:122万件、前月比▲5.6%)
         建設許可件数(予想:127万8000件、前月比2.0%)
○22:00   9月ロシア失業率(予想:4.7%)
○22:15   カンリフ・イングランド銀行(BOE)副総裁、講演
○23:30   EIA週間在庫統計
○18日01:10   ブレイナード米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○18日01:30   バイトマン独連銀総裁、講演
○18日02:00   ブロードベントBOE副総裁、講演
○18日03:00   米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(9月25-26日分)
○欧州連合(EU)首脳会議(ブリュッセル、18日まで)

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