FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:リスク回避の動きが後退し先物主導で買い戻し

前日に400円超下落したため、短期的に戻りを狙った個人投資家の買いが優勢だった。ソフトバンクやファストリなど前日に大きく売られた主力株の上げが目立った。また、日経オプションの価格から算出する日経ボラティリティ・インデックスが大幅に下落したのも、投資家の不安心理を和らげた。後場にはNYダウ先物が上昇し16日の米国株の反発を見込んだ買いが先物中心に入り現物株の値がさ株が買われ相場全体を押し上げた。ただ、主要企業の4-9月期決算発表を控え、商いは低調だった。

 

東京外国為替市場:日経平均株価上昇で112円台回復

ドル/円は、本邦実需勢などのドル買い・円売りや日経平均株価の上げ幅が一時100円を超えたことに支えられ、一時112.05円まで上昇した。麻生財務大臣が『日米間の為替条項の議論は行われない』と発言したことも、ドルの押し上げにつながった。その後は、サウジアラビア国籍のジャーナリスト殺人疑惑を巡って、米国と中東の緊張が高まりつつあることから伸び悩み112円を割り込んだ。午後は、下値で海外短期筋などから利益確定や持ち高調整のドル買い円売りが入り、一時112.15円まで上げた。日経平均株価の上げ幅が200円を超えたこともドル買いを誘った。ユーロ/ドルは、1.15ドル台後半で方向感に欠く値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

米国のサウジアラビア制裁措置と報復措置リスク

サウジアラビア政府が、サウジアラビアの反体制ジャーナリストのジャマル・カショギ氏がトルコのサウジ領事館での尋問中に死亡したことを認めたことで、米国による制裁の可能性、サウジアラビアによる報復措置の可能性に要警戒となる。 トランプ米政権はサウジアラビアとの間で1100億ドルの武器輸出契約を締結しており、原油価格抑制のための原油増産を要請している。サウジアラビアの報復措置としては、原油価格の上昇を放置すること、保有している米国債(1670億ドル)や米株式の売却などが警戒される。カショギ氏は、米国同時多発テロを断行したアルカイダに対するサウジアラビア王族の資金支援に関する秘密情報を握っており、ムハンマド・サウジアラビア皇太子が真相解明に動いていた、との報道もあり、サウジアラビア内部での政権闘争もからみ、石油ショックなどへ深刻化する可能性に要警戒となる。

 

米国発の貿易・通貨戦争懸念:日米貿易交渉と為替条項の協議

米財務省はすでに韓国やメキシコなどとの貿易交渉で為替条項の協議を行ってきたが、米国の要求は『為替介入の透明性向上を義務付け、競争目的での通貨安誘導の回避を約束させる』という内容だった。日本はG7加盟国としてG7の為替ルールを遵守しており、これまでに①介入はG7合意に即した『急激な変動』への対処のみであり、しかも円高阻止だけで通貨安の誘導介入は原則行っていない。②介入の前には米国事前連絡し、了承を得ている、③介入の実施日や規模は公表し、透明性に留意している、といった非G7国との違いがある。そのため、日米間での本格的な為替条項を巡る対立が表面化するリスクは限定的となる。

 

欧州リスクとなる要因:ユーロ安・ポンド安要因

イタリアの財政赤字問題が引き続き警戒される。また、格下げリスクやイタリア国債の一段の混乱による同国銀行への打撃のほか、15日前後までの正式予算案のEU提出や17-18日のEU首脳会議での判断、対立迷走を含めて一喜一憂の波乱が警戒される。イタリアの財政が著しく軌道を逸脱する危険があると欧州委員会が判断した場合、1週間以内に同国政府に警告し、2週間以内に予算の是正を求める意見表明を行う必要がある。

ドイツ南部バイエルン州の州議会選挙が14日投開票され、メルケル連立政権の一角を担うキリスト教社会同盟(CSU)が第1党を維持したものの、単独過半数を確保できず、歴史的敗北を喫した。メルケル政権が進めてきた難民受け入れ政策への反発が背景にあり、ドイツでの政治不安や欧州全体での反難民ムードの高まりが改めて懸念される。

英国のEU離脱を巡り、英領北アイルランドとEU加盟国アイルランドの間に税関などの『ハード・ボーダー』を復活させないための方策を協議したが、決裂となってポンドが下落した。17日からのEU首脳会議で再協議が調整されており、歩み寄りと12月までの交渉遅延に神経質となる地合いが続きそうだ。

 

米国市場では9月鉱工業生産が公表

8月実績は前月比+0.4%となった。自動車生産が増えたことが要因となっている。9月については、自動車関連、家電製品、鉱業生産の増加が予想されており、4ヵ月連続で増加となる可能性が高い。

 

欧米イベント

○15:00   8月独輸入物価指数(予想:前月比0.2%/前年比5.2%)
○16:00   8月トルコ鉱工業生産(予想:前月比▲2.4%)
○17:30   9月英雇用統計(失業保険申請件数推移0.75万件/失業率2.6%)
○17:30   6-8月英失業率(ILO方式、予想:4.0%)
○18:00   10月独ZEW景況感指数(予想:▲12.0)
○18:00   10月ユーロ圏ZEW景況感指数
○18:00   8月ユーロ圏貿易収支(季節調整前)
○20:00   モルガン・スタンレー第3四半期決算
○20:30   ゴールドマン・サックス第3四半期決算
○21:30   8月対カナダ証券投資
○22:15   9月米鉱工業生産指数(予想:前月比0.2%)
       設備稼働率(予想:78.2%)
○23:00   10月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:67)
○17日05:00   8月対米証券投資動向
○17日05:15   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演

 

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

カテゴリー

カレンダー

5月 2024
« 1月    
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

ページの先頭へ