FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:日銀の株ETF観測で買い戻し

4日間で約800円下げた後だけに、短期的な戻りを見込んだ買いが先行して日経平均株価は反して始まったが、相場の戻りが鈍いとみたヘッジファンドなどが売りを出して上値を抑えた。その後、米長期金利の上昇がもたらした中国・アリババ集団の株安が懸念材料と受け止められている。指数清殿大きいソフトバンクの大幅安が市場心理の重荷になった。ただ、日銀による株ETF買い観測が浮上氏下げ幅を急速に縮め上げに転じた。結局、前日比36円安の2万3506円と5日ぶりに反発した。

 

東京外国為替市場:113.00円を挟んでのもみ合い相場

ドル/円は、本邦実需筋などのドル買い・円売りに支えられ113.11円までじり高となった。ただ、米中貿易摩擦が激化するとの懸念がくすぶっており、上値を追う動きは限られた。その後は、日経平均株価がプラス圏からマイナス圏へ転じたことから、持ち高調整などのドル売り・円買いに113.00円前後まで押し戻された。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数の動向をにらみながら113.00円を挟んだもみ合い相場となった。ユーロ/ドルは、1.1510ドル前後で方向感の欠く展開となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

米国債上昇の余波が日本株にも影響

9日に財務省が発表した9月の『対外及び対内証券売買契約等の状況(月次・指定報告機関ベース)では、居住者による中長期債のネット取得が4兆5000億円と2016年6月以来の高水準となった。9月上旬のネット買い越しが6324億円、中旬が3兆2288億円、下旬6576億円と、米10年債利回りが3%を超えた水準で日本勢の買いが膨らんだことが予想される。内訳では、銀行等(銀行勘定)が3兆8069億円の買い越しとなっており、買いの主体が邦銀だったことが推測される。しかし、9月の米10年債金利は2.8%台からほぼ一本調子で3%超へと上昇、10月に入って3.2%台へと上昇した。9月中の買いはすべてが評価損になっていると考えられる。米金利が一段と上昇すると、邦銀による損失覚悟の売りが誘発されることが警戒される。米債の損失確定する際には、単純な損出しだけでなく、含み益となっている資産を売却するという『あわせ切り』を行う可能性が高い。円再で利益を捻出することは難しく、保有株の売却によって益出しを行うリスクが連想される。

 

15日の為替政策報告書で中国を為替操作国と認定する可能性も

2016年、トランプ大統領は大統領選挙での公約で、中国製品の輸入関税を引き上げ、中国を為替相殺国に認定すると警告していた。2018年、トランプ大統領は、米中貿易戦争の宣戦布告し、7月に対中制裁関税第1弾340億ドル、8月に第2弾160億ドル、9月に第3弾2000億ドルを発動し、さらに第4弾2670億ドルの発動を示唆している。そして、中国と欧州連合、その他の国々は為替を操作していると非難しており、認定基準を緩和するだけで、10月の為替報告書で『為替操作国』と認定することが可能となる。米国は短期的には対米貿易黒字が最大の中国の輸出を抑制する戦術である。中期的には習中国国家主席が目論む『中国製造2025』を阻止するための知的財産権防衛という戦略を打ち出している。米財務省が10月15日前後に議会に提出する為替報告書で、中国を為替操作国に認定する可能性が高まっており、米中貿易船から米中通貨安戦争へ拡大する可能性が高まる。

 

米長期金利の上昇が新興国リスクを高める

米金利の上昇を受けて新興国市場の動向が一段と不安定化する恐れがある。今週発表される経済指標のなかでは、11日の米消費者物価が注目される。総合ベースの前年対比上昇率は、前月に続いて鈍化が予想されているものの、ここのところ原油価格が上昇傾向を再び強めていることから、物価上昇に対する懸念を鎮めるものとはなりそうもない。総合ベースの物価と同じく前月に前年対比上昇率が鈍化したコアベースの物価は、今回(9月分)は小幅上昇率が高まる予想となっているが、これを超えるようだと景気過熱による物価上昇圧力の高まりを懸念させるものとなるため、米金利上昇プラス新興国市場からの資金流出懸念を一層高めるリスクがある。こうした新興国の懸念は、10/11から行われるG20財務相・中銀総裁会議でも取り上げられる可能性が高い。

 

欧米イベント

○15:00   9月ノルウェー消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.4%/前年比3.2%)
○15:45   8月仏鉱工業生産指数(予想:米金利の上昇を受けて新興国市場の動向が前月比0.1%)
○17:30   8月英貿易収支(予想:109億ポンドの赤字)
○17:30   8月英鉱工業生産指数(予想:前月比0.1%)
      製造業生産高(予想:前月比0.1%)
○17:30   8月英国内総生産(GDP、予想:前月比0.1%)
○18:10   ホールデン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:30   9月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.2%/前年比2.8%)
      食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比2.5%)
○21:30   8月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比0.5%)
○23:00   8月米卸売在庫(予想:前月比0.8%)
○23:00   8月米卸売売上高(予想:前月比0.2%)
○11日00:30   米財務省、3年債(360億ドル)入札
○11日01:15   エバンズ米シカゴ連銀総裁、講演
○11日02:00   米財務省、10年債(230億ドル)入札

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